対抗戦の開始
対抗戦の日が近づいて来た。
各寮から五人が代表として出場する。
最初の競技は“ダンジョン走破”。
学園内にある訓練用ダンジョンを使い、最下層にたどり着いた者からポイントが与えられる。
ポイントは1位から順番に100P、50P、25P、10P、5P、0Pとなっている。
他の競技、“目標探査”や“五対五戦”もポイントの付け方は同じである。
ダンジョンは別々の場所に入り口が三つある。
最下層までの距離やモンスターの種類もコース毎に違っている。
モンスターやトラップによる優劣がある為一概に言えないが、どのコースも難易度的には同じものに設定される予定だ。
「さて、俺達はどのコースで進むか?」
フリッツが皆に尋ねる。
「わいはトラップやモンスターどっちでも大丈夫やで。」
と、レンジャーのカーティスはどちらが多くなっても問題が無い様だ。
ダンジョンでレンジャーは活躍できないと思われがちだが、それは大きな誤りである。
彼らは優れた視力や聴力で異変を察知しパーティを影ながら支える。
モンスターの知識も屋外や迷宮を問わず知識があり、知識的に魔獣使いには劣るが、急所や死亡後の処理に関する特定の知識は魔獣使い以上なのだ。
魔獣使いのアルフレートは
「問題ない。ダンジョン、得意な子、いる。」
状況に合わせて魔獣を選べるのが魔獣使いの特徴である。
魔獣の中にはダンジョンに住んでいた魔獣も存在し、アルフレートはそんな中の一匹を連れて行くつもりなのだろう。
「ところで、ヴィンフリート。無色系統は幾つになったんだ?」
「やっとLv11になった所だ。」
俺はフリッツにそう答えた。
パメラの協力の階もあって何とかLv11にはなった。
だが残念なことにLv12にはまだ遠い状態だった。
「そうか、ならば今回はモンスターが多めの方が良いな。」
どうやらフリッツはモンスターを鑑定させてのレベルアップを画策している様だ。
確かに、対象がモンスターだと人間が対象の時よりも上がりやすい。
「そうすると、“ハフニール”や“ベヒモス”とかち合う可能性が高いわね。」
パメラの言う通り、攻略するダンジョンが同じものになった場合、妨害が可能な為、攻略の難易度が上がる。
トラップが少なくモンスターが多いコースは“ハフニール”や“ベヒモス”が間違いなく選ぶだろうと思われた。
「ほんなら、両方が半々の所が無難やな。」
カーティスの言葉に一同考え込む。
「仕方がない、ここは衝突を避けるために、半々の所を選ぶか・・・。」
フリッツの言葉で走破するダンジョンが決まった。
そして、ダンジョン走破戦の日がやって来た。
各寮の代表は、それぞれの入り口に集まることになっている。
俺たちティアマト寮の代表もその入り口に集まっていた。
「なんだ?無能が参加するとはティアマトはよっぽど人がいないと見える。」
なぜロドリコがここに居る?
やつはベヒモス寮だから・・・。
「予想外よ。ヨルムンガルドは良いとして、ベヒモスとリバイアサンもここに来てるわよ。」
俺たちは肉弾戦に特化している物が多いベヒモスやリバイアサンはモンスターの多い入り口を選ぶと考えていた。
「今回はいつもと違って参加すべきではない者が多く参加している。」
ロドリコは俺達の前に立ち
「我々はそんな余分な者たちを排除するためにこちらから入ることにしたんだ。」
ダンジョン走破戦とは言えダンジョン内での妨害はある程度、許されている。
だが攻撃などの直接的な妨害は許されていない。
どの様な方法で排除するつもりなのだろうか?