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万色無双の役立たず  作者: 士口 十介
学園篇
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悪夢のダンジョン走破戦

「これより寮対抗戦、ダンジョン走破を開始する!」

寮対抗戦の審判は参加しなかった寮、ユニコーンやフェニックス、ユグドラシルから選ばれる。

その審判の声で対抗戦は始まった。


だが、ダンジョンの入り口でベヒモスとリバイアサンの連中が二列縦隊で動こうとしない。

いや、ゆっくりとだが動いている。


「これじゃ先に進めないぞ。」

フレデリックの言う通り、重装の騎士が二列縦隊でゆっくりと進んでいく場合、ダンジョンの通路を占拠し、間を通ることが出来ない。

よしんば彼らを押しのけて通ろうとしても、攻撃されたと申請し、失格させるつもりだろう。


「そやけど、あいつらどないして俺らがここを選ぶと知ったんやろ?」

カーティスがそう疑問を投げかける。

「・・・リバイアサン・・・青色系統魔法の、“啓示(デビネーション)”ね。」

パメラがそれに答える。


「ベヒモスとリバイアサンらが手を組んだちゅうことか?」


「多分、フェンリルやハフニールも組んでいる可能性が高いな。」

フレデリックがそう言うと、

それを盗み聞きしていたのかロドリコが


「当然だろう。いつも出場しない底辺の寮なんかに活躍させるわけにはいかないからな。

特に無能がいるような寮には一ポイントも与えんよ。」



“ダンジョン走破戦”の名前の通り、ダンジョンを移動する。

ベヒモスとリバイアサンの連中はダンジョンのトラップにも邪魔されずに正しい通路を移動している。

どうやら“啓示(デビネーション)”の呪文でトラップの解除方法や正しい道順を知ったのだろう。



訓練用ダンジョンなので、正しい道順は一本であるのも災いした。

遠回りのコースやショトカットが無いのである。


「このままでは本当に0ポイントだ・・・。」

俺は前の連中に聞こえない様に小声で話す。

「と言っても俺らにはどうすることもできへんで。」

とカーティスは言っているが、何とか隙は無いか探している。

他の連中も、まだあきらめてはいない。


そんな中、

「大丈夫、俺、考え、ある。」

アルフレートがそう呟く。

彼には何か考えがある様だ。



そして俺達は何もできないままゴールへ近づいた。



「今だ!キキ!行け!」

アルフレートがそう命令すると、一羽の蝙蝠がベヒモスの封鎖の間を抜けて行く。


「そうか、魔獣使いにとって魔獣は体の一部と扱われるから・・・。」


「このまま、キキ、たどり着く、俺達、勝てる。」


だが、


「おや、まだ討ち漏らしたモンスターがいたか・・・。」


そう言うとロドリゴはアルフレートの魔獣に対してスキルを発動させた。


「炎の矢(フレームアロー)」


ロドリコの手から放たれた炎の矢は蝙蝠の羽を貫いた。


「キキ!!」

アルフレートが叫ぶ。


「キー、キー」

落とされた蝙蝠のキキはか細い返事をした。

炎の矢(フレームアロー)によって撃ち落されたが、死んではいない様だ。

よわよわしく這いずっている。


「おや、死んではいない様だ。」

ロドリコはにたりと笑いながらそう言った。


「やめろ!!!」


グシャ


ロドリコは地面を這いずる蝙蝠を踏みつぶした。


「ふん。汚らしい物に触れて鎧が汚れてしまったな。」


「うわぁぁぁぁぁぁ!!!!」

アルフレートの悲痛な叫びがこだまする。


「お前!ゆるさない!」

「まて、アルフレート!」

アルフレートがロドリコに食って掛かろうとするのを俺達は必至で止める。


魔獣使いは動きやすくするため騎士と比べて軽装である。

まして頭に血が上っている状態ではまともな戦いにはならないだろう。

一方的になぶられて終わりだ。


そんな俺達を横目にロドリコは

「なんだ、この蝙蝠はおまえの魔獣だったのか。

急に出てくるからモンスターと思って殺してしまったよ。」

ニタニタ笑いながらそう言った。


俺達は何もできずにその場に立ち尽くすしかなかった。


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