第2話 悲しき怪人、サルサルサー
猿の怪人、サルサルサーは俊敏な動きで町に出没しては人々に危害を加えていた。
「例の猿の怪人が、ショッピングセンターで暴れているとの情報が入った、カオリ、出動だ」
庵納博士の指令で、私は、白いビキニアーマーに銀色のマントを纏い、世界最速のバイク・フェアリーを走らせる。
現場に到着すると、すでにショッピングセンターからは人々が避難していて、無人の店内で、
「ウキッ、ウキキッ」
猿の怪人が、お菓子を食い散らかしていた。
「あれが、サルサルサーか」
私はフェアリーに乗ったまま、ショッピングセンターに突っ込み、
「覚悟しろ、怪人サルサルサー!」
前輪でサルサルサーを跳ね飛ばした。
「ウキーッ!」
悲鳴をあげて、吹っ飛んだサルサルサー。その左腕が千切れたようだ。
「アギャーッ!」
叫び声をあげながら、サルサルサーは欠損した左腕から、おびただしい血を流し、ショッピングセンターから逃走する。
「まて、サルサルサー」
私はフェアリーを走らせて追跡するが、身軽なサルサルサーは民家の屋根に上がり、
ピョン、ピョン。
と、町並みの屋根から屋根へと飛び移って姿を消した。
一旦はサルサルサーを見失った私だが、血痕を頼りに根気よく追跡を続けると、
「やっと、見つけたぞ」
夕暮れの公園で、サルサルサーは一匹でブランコに乗り、ユラユラと揺れていた。しかし、
「あ、あれは」
そのブランコの周りを見て、私は、驚きの声を漏らす。
「何て、酷いことを!」
公園の地面には、サルサルサーが殺したであろう、数人の小学生の死体がバラバラになって転がっていたのだ。
「いったい、何人殺されたのかも分からない」
惨状である。辺り一面、血の海だった。
「なぜ、こんな子どもを」
そう言いながらフェアリーから下りて、公園に入る私。むせ返るような血の匂いが飽和している。
対するサルサルサーは無言のまま、ジッと、悲しい目で私を見ていた。
「アクトレス・キック!」
私は跳び回し蹴りを叩き込み、
バゴォーン!
サルサルサーは夕暮れの公園で爆死する。だが、
「サルサルサーは倒したけど」
数人の小学生が殺され、私は、その命を救うことは出来なかった。




