第1話 少女機械戦士
「私は、この世界で幸せに生きたい」
庵納コズミック研究所で誕生した私は、生まれた瞬間に、そう思った。だが、それは叶わぬ思いだろう。
「カオリ、お前は、極悪秘密結社と戦うために開発された、絶対不倒の少女機械戦士だ」
生みの親である、庵納博士が、そう言った。
研究室の鏡に映った私の姿は、白いビキニアーマーに銀色のマントを羽織っている。
「今、極悪秘密結社の怪人が街で暴れている、行って、そいつを倒すのだ」
庵納博士の指令に従い、私は、激しい雨が降っている街を、
グオオオオォォォォォーン。
世界最速のバイク・フェアリーで走り抜けた。そして到着した場所では、
「ぎゃーっ、助けて」
雨のなかで、逃げ惑う人々に襲いかかる、カエルの怪人。
「俺様は怪人カエルンバーだ」
そう言いながら、次々と人を捕まえ、巨大な口で丸呑みにして喰らう、カエルンバー。
私はフェアリーを横滑りさせ、
ギュヴオオォォォーッ。
カエルンバーと人々の間に割って入った。
「止めろ、怪人!」
「何だ、お前は?」
私は脚を高く上げ、フェアリーから下りて、
「絶対不倒の少女機械戦士・庵納カオリ」
と、名乗りながら、カエルンバーに一歩、歩み寄る。この時、空には雷鳴が響き渡り、
ザザザザザザサアーン。
さらに雨は強まり豪雨となった。アスファルトの道路に雨水が川のように流れる。
「可愛い顔して、そんなに睨みつけるなよ」
カエルンバーは嫌らしい目付きで、白いビキニアーマー姿の私を舐め回すように見た。
「フォフォ〜、セクシーな戦士だな」
「スケベな目でみるなよ、変態怪人」
「見ちゃうよ〜ン、スケベだモ〜ン」
次の瞬間、カエルンバーは、バッと、跳躍して、
「いただきま~すッ!」
と、大きな口を開け、空中から、襲いかかってくる。だが、私は、
「アクトレス・キック!」
跳び回し蹴りを、カエルンバーのでっぷりとした腹に叩き込んだ。
バチゴォンッ!
その一撃で、カエルンバーは吹き飛び、
「うぎゃ~あっ!」
断末魔の叫びをあげて、
ドバアァァーン!
豪雨のなかで、大爆発する。
こうして私は初戦には勝利した。だが、これからも戦いは続くだろう。