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傷ついた戦士と国の叫び

「助けて……」

戦士の声はかすれ、かろうじて聞こえる。

体には深い傷があり、錆びた鎧の下から血が滲んでいる。


「彼を癒せる」

アリスに向き直る。

「影の守り手」として、「命の泉」から得た力を思い出す。この力は植物や森を癒すだけでなく、傷も治すことができた。


戦士の傍に膝をつく。慎重に手を傷口に近づける。

目を閉じ、心の中にある「湖の精霊」との繋がりを感じる。内側から湧き上がる癒しのエネルギーが、手を通じて戦士の傷に流れ込んでいく。

肩の上のフィンが輝き、その紫の光がエネルギーの流れを強める。


傷は目に見えて塞がり始めた。錆びた鎧の染みも消え、肌は再び生き生きとした色を取り戻す。戦士の呼吸が整い、苦痛の表情が和らいでいく。


数分後、戦士は深く息を吸い、目を開いた。

「俺は……俺は大丈夫だ。どうやってこれを?」

驚きながら私たちを見上げる。


「湖の力だ。俺は影の守り手。この国にバランスを取り戻すために来た」


「俺はカイル。この廃墟の街の最後の守り手の一人だ。我が国が味わっているこの苦しみを止めるために戦ってきたが……力が及ばなかった」

戦士はゆっくりと起き上がる。肩の重荷が降ろされたように。


「ここに何が起こったんだ、カイル? なぜ君の国はこんな状態なの?」

アリスが弓を下ろしながら尋ねる。


「ずっと前に、我が国のバランスが崩れた。魂喰らいと呼ばれる者たちが現れ……彼らは風と大地の精を貪り、全ての命を吸い取っていく」

カイルの顔に悲しみの影が浮かぶ。


ヴェリディアン・レルムで出会った影の存在を思い出す。魂喰らいも、あのエネルギーを喰らう存在なのだろうか。

古木の語った「バランスの崩れ」は、彼らのせいなのか。


「魂喰らい……その源は?」

「国の中心にある風と大地の神殿から来ている。あそこはかつて我が国で最も神聖な場所だった。だが今は魂喰らいに奪われた。そこから放たれるエネルギーが国全体を毒している。我々も戦ったが……彼らは強すぎる。風を武器にし、大地を腐らせる。近づけば近づくほど、力が奪われる」

カイルは疲れたように額に手を当てた。


「風と大地の神殿を見つけなければ。あの場所の歪みを正さない限り、この国は癒されない」

アリスに向き直る。


「だがどうやって行くつもりだ? 道は危険に満ちている。魂喰らいはどこにでもいる」

カイルの声には不安が滲む。


「君も手伝ってくれないか、カイル? この国を知る案内人が必要だ。そして俺は癒しの力を持つ。君を支えられる」


「……わかった。もしチャンスがあるなら、お前たちについて行こう。国を救うためなら、どんなことでもする」

カイルの目に希望の光が灯り、立ち上がる。


フィンがカイルの肩に飛び移り、まるで彼を励ますように。新たな仲間が加わった。

要素の国の中心――風と大地の神殿へ向け、旅立つ。

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