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美少年に転生したら男にモテる件について  作者: しらた抹茶
学院生活編
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続きです!大変長らくお待たせしました。連載再開します。

 ロフィリア先生に言われた通り、礼拝堂にやって来た俺。礼拝堂は校舎と隣接している。感覚的に説明すると、現代日本の校舎と体育館みたいな繋がり方をしているから移動するのは簡単だ。簡単だけど学院の校舎がデケェから時間がかかるのなんのって!

 しかも聞いてよ奥さん! 私此処に来る迄に何故か置いてあったバナナの皮を踏んで転んだり階段から落ちたり曲がり角でラグビー選手並みにマッチョな生徒とぶつかってぶっ飛ばされたり散々な目にあったんですけど!? どういう事なの!?!?


 それだけじゃない。授業中に急な腹痛に襲われたり、鉛筆の芯が使った瞬間折れたり、いつも一緒にランチを食べてるシリウスが今日は用事があって会えないのでボッチメシきめる勇気の無い俺は空腹のまま礼拝堂に来たのである。今日の俺はアンラッキーボーイだ。

 遅刻はするし痛い思いはするしでトコトンついてない。ため息を吐きそうになるのを堪えて、俺は礼拝堂の担当教師が常駐する部屋の扉をノックした。




「おーう、入れ」




 気の抜けた返事を聞いて扉を開けると、サンドイッチを頬張っているフェルムット先生が此方を見ていた。




「んだよ、思ってたより早かったな。まぁ座れ」


「す、座れって...何処にですか?」




 部屋の中は書類やら脱ぎっぱなしの服やらがあちこちに散らばっていて座る場所がない。フェルムット先生の机にも積み重なった本や書類で面積は埋められていて、書きかけらしき書類の上にサンドイッチを広げている状態だ。だらしがないったらない。こんな人よく先生になれたな。


 俺の戸惑った様子にフェルムット先生も部屋の酷さにばつが悪そうに頭を掻くと、椅子から立ち上がり部屋の隅にある服の山を崩し始めた。その中から小さい木の椅子が姿を現す。それを俺の前まで持ってくると、フェルムット先生は俺に座るように促し戻って行った。




「わりぃな、片付けが苦手でよ。直ぐ済むから我慢してくれ」


「い、いえ...」




 戸惑いながら椅子に座る俺。


 散らかり方といい、まるでここに住んでるみたいだな。


 キョロキョロと辺りを見回すのも失礼なので、大人しくフェルムット先生に向き直り要件を聞く事にした。




「あの、それで用事とは」


「ああ、実はな...お前さんに一つ頼みが」




 と、先生が話し始めた時だ。何やら俺の下で不穏な音が鳴り始めた。


 ミシ...ミシ...


 怪しい足音のような音が小さく聞こえたと思った次の瞬間!



 ミシミシミシッ バターーーンッ!!!!




 盛大な音を発てて椅子は壊れ、俺はコントのように転げ落ちた。



 ......え?.........嘘でしょ?




「......そんな」




 確かに、最近寮の美味しいご飯を沢山食べて寝てる生活を続けてはいた。


 以前のような運動もしなくなったし筋トレだってやる回数が減った。でも、でも...。まさか木の椅子が耐えきれなくなるほど太っていたなんて......!!




「嘘だっ...!!!」




 俺は絶望のあまりその場で踞った。下に先生の服らしき布があったが構ってられない。女子じゃなくても男だって太ったらショックなんだ。しかも、自分が気づいて居なかったと言う体たらく...!


 ニベウスが少食だからって油断してた!!やっぱり男は筋トレしなきゃダメなんだ!!!!




「おい...大丈夫か?」


「きょ、今日から俺は...ダイエットをします...」


「はぁ? ダイエット?」




 フェルムット先生の訝しむ声が聞こえる。多分、貸した椅子ぶっ壊して勝手に落ち込んでる俺を変な目で見てるんだろう。ぶっちゃけ恥ずかしくてどうリアクションとればいいのか分からない。これが陽キャなら爆笑して場を和ませるんだろうけど、ごめんな先生、俺は所詮オタクの陰キャ。気まずい空気を一転させる技量なんて持ち合わせて―――。




「お前はいつまで俺のパンツに顔埋めてんだ。やめろや」


「ふぎゃ! ばっちぃ!!」


「ぶん殴るぞ」




 慌てて顔を起こした俺にフェルムット先生がPTAが黙っちゃいないセリフを平然と放つ。ここPTAなんて無いけどな。

 つーか男のパンツでちょっと涙拭いちゃってたよ。最悪だ。




「一人で騒ぐのが得意な奴だなぁ、ったく...少しは落ち着きは持てねぇのか」


「すんません...」


「...まぁいい...で、話しの続きだ」




 フェルムット先生が机の引き出しを開けて中身を探り出した。中はインクの予備やら紙切れやらで一杯で漁れば物が溢れ落ちる程だ。何と言うか、うん、フェルムット先生は早くお嫁さんを娶った方がいいと思う。


 そんな事をぼんやりと考えていると、フェルムット先生が何かを取り出し俺に差し出して来た。




「こいつ、シリウスに渡してくれるか」




 それは、大きな紫色の宝石で作られたブローチだった。


 周りはダイヤモンドらしき宝石で囲まれていて、詳しくない俺でも高級品だと解る。でも、何でこれをシリウスに?




「あの、これは...」


「ああ、シリウスの母君の物らしくてな。御守りとして貰っていたのを治して欲しいと渡されたんだ」


「治すって? 壊れたんですか?」


「いや、まじないが切れてたんだ。紫晶石ってのは魔除けになるから護身用に持ってる奴は多い。まぁ、これ程の上物は流石の貴族様って感じだかな」




 その上物をフェルムット先生は俺に投げて寄越すと、早速食べかけのサンドイッチを頬張り始めた。挟んであるレタスがパリパリ言ってて美味しそう。やべ、そういや俺昼飯抜いてたんだった。




「魔法はかけ直してやったからもう大丈夫だって伝えておいてくれ。用はそんだけだ」


「えー...これくらいなら自分で...」


「反省文、減らしてやるよ」


「喜んで遣わせて頂きます」




 俺の変わり身の速さに苦笑しながらしっしっと手で追い払われ、俺はそそくさと部屋を後にしようとした。すると。




「おいニベウス」


「はい?」


「お前身の回り整理しろよ」




 いや、あんたにだけは言われたくないんだけど。



 俺は適当に返事をしてそのまま部屋を出た。


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