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美少年に転生したら男にモテる件について  作者: しらた抹茶
軟禁生活編
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2

 そうはいくか!

 俺はプレゼントごときで尻尾をふる程度の簡単な男じゃねーんだよ。




「こっちにおいで、朝食が冷めてしまうよ」




 ぬぬ......コイツの事は嫌いだが、作る飯は嫌いじゃない......。


 ベーコンの香ばしい香りが俺の腹を刺激する。口の中に溜まった唾液を飲み込んで、俺はいそいそとベッドから降りた。



 飴色の暖かな色合いを持った丸テーブルには二人分の朝食が置かれている。


 半熟の目玉焼きとカリカリに焼かれたベーコンとサラダ。二つの皿の間には焼きたてのパンが籠に入っていて、視界からも食欲をそそる色とりどりの朝食だった。


 そして、一つのテーブルに二人分の朝食が用意されている事から察せるとは思うが、この五日間で俺はこの男と飯を食えるようになっていた。



 大変遺憾である。



 だがしかし、これだけ世話になっている手前、「そろそろ一緒にご飯食べたいな」なんて寂しそうな顔で言われると断り辛くなってしまう。初日と二日目までは男に対する怒りで厳しい態度を取れたけれども、人間ってのは怒り続けるってのは気力がいるもので......飯くらいならと承諾してしまった。


 やっぱり、人を憎み続けるのって人生を捧げるくらいの覚悟がなきゃ駄目なんだな。



 それでも、この男を許すつもりは無い。


 コイツは恩師のハーグを殺した張本人なんだ。


 どんなに俺に優しくしても、それだけは変わらない。



 椅子に座り、食前の簡単な祈りを済ませてパンにかぶりついた。


 焼きたてウメー。




「......どうかな? ここでの暮らしは気に入ってくれたかい?」




 目玉焼きをナイフとフォークで切りながら男が訪ねて来た。


 これのどこが気に入ってる様に見えるんだっつーの。




「気に入るも何も......馴れるしか無いって感じだな」


「......やっぱり、外が気になる?」


「当たり前だろ」




 フェルムット達の事は気掛かりだし......。


 あいつら、あの後どうなったんだろう。フェルムットとオカマは大怪我してなきゃいいんだけどな。


 でも、ここで俺がフェルムット達に気をやるとコイツは殺すだなんて言い出し兼ねないから余り主張も出来ない。



 コイツは時々屋敷の外に出掛けるけど、基本一緒にいるから見張られてるみたいでストレスも溜まる。


 このままだと十円ハゲできそう。


 ......出来てないよね?



 ちょっと心配になってサラダをつつきながら頭を撫でていると、テーブルの隅に男がラッピングされた小箱を置いた。


 手のひらサイズの小箱には淡いピンクの包み紙が濃いグリーンのリボンで結ばれている。




「......もしかして、プレゼントってこれ......?」


「そうだよ......開けてみて」




 えー......。


 俺、受けとるだなんて言ってないんですけど。


 ムスッとした顔でバリバリとサラダを咀嚼していると、男が穏やかな顔つきで笑った。


 無言の圧力......て程では無いけど、受け取らなかったら受け取らなかったでヤバい事が起こりそうな笑顔だ......。


 仕方なく、小箱を手に取りグリーンのリボンを解く。


 紙を開くと真っ白い小箱が姿を表し、上に付いている蓋を開けると中から綺麗な水晶玉が出てきた。


 占い師が持ってそうなやつに近い。


 直径は八センチくらいで手のひらにすっぽりと収まった。




「ナニコレ?」


結晶石けっしょうせきだよ」




 うん......なんそれ?


 この水晶みたいなのが結晶石って言われても全然ピンと来ないんですが?


 俺がアホ面でぽかんとしていると、男は説明を始めた。




「この世界での原動力の一つだよ。光晶石、水晶石、火晶石の事は知ってるよね?」


「......前に、教わったら知ってる......」




 教えてくれたのが、ハーグだった......。




「うん、様々な晶石の元となっているのがその結晶石だよ。地脈の魔力に従って性質変化するから、純度の高い結晶石は貴重なんだ」


「へー......」




 水晶玉が高級品ねー。


 日本に行けば似たようなのが安く売ってるけどな。




「結晶石は魔力を注ぐ事で色んな用途に使えるんだよ。例えば......」




 男が結晶石に手をかざした。


 俺の手のひらで結晶石がほんのりと温かくなるのを感じると、そっと手が引かれる。


 再び目にした結晶石には、"青い海が映し出されていた"。




「な......なんじゃこりゃあ!!」




 松田優作ばりに声を張り上げると男は可笑しそうに笑った。


 だってあんたこれ......マジで占い師みたいな現象起きてんですけど!!




「あはは! 驚いた? 魔力を上手く操作したら、別の場所を映し出す事が出来るんだよ」


「スゲー......」




 キラキラと日光を反射した水面は揺らめいていて、砂浜を波打っているのが見える。


 うわーなんか海水浴したくなってきた。




「これなら外の世界をどこでも見れるんだ。どう? 気に入ってくれた?」


「うん......まぁ......」




 結構いいかも......。本当は外に出たいのが一番の願いだけど、無理そうだしな。それでも、外の景色を見れるのは気分転換になるかも。ここからじゃ窓の外は真っ暗な異空間しか広がってないし。




「気に入ってくれてよかった......。朝食の後は身体の浄化するから、その後に好きなだけ皐月の見たい場所を映してあげるよ」




 ここに来てから、宣言通りコイツは毎日俺の浄化をしてくれる。


 フレア教会の司教やフェルムットは祝詞を唱えたり香を焚いたりして場や身を浄めてから儀式を始めていたけど、コイツのやり方は俺の胸に手を当てて数秒念じているだけ。


 凄く適当に見えるけど、男の手のひらから温かい光が宿って俺の身体から何か"悪い物"を吸い取っているのが感じられた。説明が難しいけど、何と言うか、身体が軽くなっていくんだ。


 フェルムット達から浄化をして貰っていた時はこんなに分かりやすい変化は無かったのに、不思議だな。


 この男のお陰ってのが癪に障るが、日中の眠気はすっかり無くなったし、身体は軽いしで調子はすこぶる良くなった。これなら筋トレもはかどりそうだ。


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