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疑念の積層 第四節

 唐突なサネトたちの帰還により食堂に残された、魔工宗匠と竜因、そして画面の中に映るクトゥンは、気まずい沈黙の中、心中で戸惑い続けていた。驚くことに、思いつめた表情を見せていたのは、サネトたちの魔人狩りを知らされていなかった竜大公だけでなく、レアケを除く魔工宗匠も同様であった。

「ごめんね、レアケ、疲れちゃったから、帰るね」

 そんな重苦しい雰囲気など気にも留めないかのように、事情を知る人物であるレアケが、すたっと立ち上がり、足取り軽やかに食堂から出ようとした。

「ま、待ちなさい、レアケ!」

 だが、ラフグアの制止など耳に届いていないのか、レアケもまた、この場から立ち去っていった。結果、最後に皆の視線が集まるのは、この場で唯一事情を知っているクトゥンになる。だが、その視線に気づいたクトゥンもまた、

「すまない、この後は会議がある。これで失礼する」

 と額に冷や汗を垂らしながらも、通信を一方的に切断した。


 レアケという長が秘密を持っていたことに、竜因たちの中では、魔工宗匠に対しての疑心が高まっていた。特に元より魔工宗匠に良い感情を持っていない、黒竜の竜因クスベムは、明らかに不機嫌な様子で、その後魔工宗匠とも竜因とも言葉を交わすことなく、自分の宿の部屋へ戻って行ってしまった。老獪ユーボスは、表情に変化は見られなかったが、しかしやはり、特に言葉を発すること無く、その場を後にした。若い竜大公たちも、いつもは穏やかなクスベムの熱の高まりに驚き、この場を立ち去った方が良いのか、決めあぐねていた。特に竜大公の長であるラフグアが、まだこの場に残っていたので、竜因としての面子を保つための、正しい振る舞いが何なのか、つかめていなかった。

 子犬のように、自分を頼ろうとしてくる竜因たちの視線に、ラフグアが気づくと、彼女は、魔工宗匠のクヴェユヴェクの方に一瞬視線を向けたのち、やはり彼女も席を立った。

「皆、部屋へ戻るよ」

 そう竜因たちに声をかけ、ラフグアもまた、食堂を後にし、それに残りの竜因も慌ててついていった。その様子を、魔工宗匠の一人、クヴェユヴェクは目で追いかけ続けていた。

「なあ、ヨベク、あんな態度で良いのか?」

 サネトたちは、竜因たちの居城である宿から、既に離れ、<メプケ>の大通りの中を歩いていた。ヨベクの後ろを歩きながら、サネトは先程の好戦的なヨベクの態度について、追求していた。

「ええ、大丈夫です。ネーパット様からもお許しは得ているので」

「そういう問題なのかね」

 ヨベクのふてぶてしささえ覚える振舞については、ネーパットの差し金であろうことは推測できたが、命令一つでこれほどの変化が現れることに対し、やはり目の前の存在は、どれだけ精巧に人間を模しただけの、機械人形に過ぎないことを、サネトとリャージャに思い出させた。

「ねぇ、サネト」

 リャージャが、サネトに耳打ちをする。

「やっぱり、ネーパットを、少し詰めた方がよくないかな」

「……俺も、そう思っていたところだ。そろそろ、魔人の心臓の使途くらいは、教えてもらいたいな」

 しかし実のところ、サネトとリャージャの意図は、わずかに異なっていた。

「そっちじゃなくて。いや、まぁそれも気になるけど」

「……?他に気になること、あるのか?」

「えっと、まぁ、いいや」

 リャージャは、自分の心情を最後まで告げることは無かった。特に明確な理由があったわけではない。強いて言えば、二人の前方、少し離れたところを歩くヨベクの姿が目に入ったことだろうか。兎に角「今は口にすべきではないこと」だと本能が悟り、リャージャの口をつぐませたのだ。

 サネトも、長い付き合いの勘からか、リャージャの本心をそれ以上深堀することはなく、その後も、二人はヨベク先導で、真っ直ぐ、黙って水晶門まで歩いていた。

 



 その日、日が暮れた後、<メプケ>の明るい表通りから離れた、裏路地の小さな酒場に、一人の女性がまろやかな琥珀色の酒の入った硝子の杯を手に、何かを待っていた。

「まだか」

 待ち人が中々来ないためか、あるいは今日一日の疲れから出たのか、そんな気苦労を感じせるようなため息をつきながら、そう呟いたのは、竜因たちの長、ラフグアであった。

 酒場には、他にも二人ほど客がいたが、店主も含め、誰も竜因の客に対して関心を払っていなかった。元々<メプケ>は、繁栄の裏側に、裏稼業の人間も多くいた都市で、こうした裏手の酒場の利用客は、未だ当時の慣習を引き継ぎ、互いに不必要な注意を向けすぎないことが、ある種の礼儀となっていた。元々竜大公が、この街を拠点に定めたのも、そうした特質も含めてのことだった。

「すまない。待たせた」

 黒肌黒髪の竜王の元へやってきたのは、同じく黒く長い髪を持つが、青白い肌の女性、クヴェユヴェクの姿だった。

「ユヴェ、あまり待たせないでくれ。この街でも、私は注目を集めるんだ」

「すまないラフィ。他の宗匠たちを振り払って一人で出かけるのに、ちょっと手間取ったんだ」

 ラフグアに平謝りしながら、ユヴェクは彼女の前の席に座る。お互い、愛称で呼び合う様は、はた目からはかなり親しい関係に見えた。

「……ユヴェ、今日のレアケと、クトゥンの話なんだけど」

「そうだね。単刀直入に言うと、私も今回の一件は知らなかった。他の宗匠たちも同様だと思うけど、ひょっとすると私と貴方の関係に勘づいたレアケが、私には伝えなかった可能性はあるが……」

 店員に、ユヴェクは片手間で酒を注文しつつ、厚い生地の外套を、椅子の背にかける。

「盗聴、とか、されてないよね?」

「レアケがキュペイラと協力してないなら、まぁ大丈夫」

「何とも言えない条件だなぁ」

 いつも冷静なラフグアが、少しだけ頬を膨らませながら、琥珀の酒を口に含める。

 それと同時に、ユヴェクの元にも、注文していた酒が届いた。その酒は、ラフグアのものとは違い、水のように透き通った清酒だった。

「どっちにしても、あのネーパットには、全部筒抜けだろうし、結局あの首魁の掌の上、生きるも死ぬもあの者次第」

「……相手の技術は、そんなに高いの?」

「サネトくんの義手と、リャージャくんの大砲を見たでしょ?あんなもの、私とレアケが共同研究に十年時間費やしても作れないよ」

「あの二人の武装、そんなに優れたものだったのか」

 ラフグアは、戦っている二人の姿は傍目にしか確認していなかったので、その凄さは直視できていなかった。

「さて、改めて整理したいと思うが、以前、二人で密会した時に共有した後、私が手にした情報はサネトくんたちの、魔人狩りだけだ。この星の魔力低下については以前も、ラフィに教えたよね?」

「ああ。というか魔力資源の節約は、もうこの星の人々にも共有していることだろう?星の魔力生産量と、我々人類文明の消費量が釣り合わなくなってきている。赤字が増えているから、いつか魔力不足になる、という話だろ?まぁ、人類文明の崩壊は何百年後、そう思っていたが、まさか星そのものが滅びつつあるとはね」

「悪いが、それについては、私もにわかには信じがたい。そもそもレアケも、この件、どこまで把握しているのか。この星が滅ぶのはいつか?滅ぼす原因は何か?それを阻止する手段はあるのか?レアケは秘密主義だが、星の滅びを無暗に隠すような柄ではない」

 クヴェユヴェク自身、レアケとは付き合いが長いため、例え隠し事をされていたとしても、信用そのものが失われるほどではない。

「……でも、だとしたら、レアケ自身も、掴んでいる情報は少ないのかもしれない。レアケは、嘘をつく人だけど、それは他者との関りを円滑に進めるため。レアケにとって嘘と真実は使い分けるもの」

「だとすれば、レアケ殿は、今、真実を告げることが、得より損が上回ると判断した、ということか?」

 クヴェユヴェクは、ラフグアの言葉に、首を小さく縦に振る。

「ただ、少しだけ予測はつく。レアケもクトゥンも、そしてあのネーパットも、魔人に強い関心を持っていた。狙いは十中八九、魔人の心臓。それを使うとなれば、おそらくは大規模な恒久的魔力製造装置に類する機械の作成だろうことは予測がつく」

「魔力製造装置。とはいっても、魔人の心臓一つじゃ、小型の機械を動かすくらいの出力にしかならないでしょう?」

 ラフグアの問いかけに、クヴェユヴェクは気まずそうな表情を見せる。

「まさか、狩られているのは、もう一体どころじゃないの?」

「ああ。あくまで魔力流図からの予測だが、私の試算では、最低四体の魔人が、この星で、この二カ月の間に狩られている」

「四体……。ねえユヴェ、貴方の魔導の宗匠としての意見を聞かせてほしいんだけど、この星には、あとどれだけ魔人がいるの?」

 クヴェユヴェクは、懐から、自身の携帯端末を取り出す。彼女は、これまでの自分の計算や収集した情報を参照、その後その数値を、簡単な数式に打ち込んでいく。

「魔人の出現の法則も、その魔力の強さも、未だはっきりとはわかっていないし、そもそも魔力量は定量化できるようなものでもないから、あくまで予測に過ぎないことは留意してほしいんだけど」

 そう言って、クヴェユは、その携帯端末を、ラフグアに手渡した。

「残りの魔人が皆平均的な魔力量を有しているとして、あと最大で八体」

「……八体。ユヴェ、魔人の位置を特定することはできないの?」

「無理だね。魔人が、激しく活動し始めでもしないなら、私たちでは確認する術はない。それも人跡の無い魔力の高濃度地帯、それこそ禁忌域とかに潜まれていたら、特定することは、現代の我々の技術では不可能だ。海の中に流した淡水を見つけるみたいなもんだね」

 専門家が、迷いなくそう結論付けたことに、ラフグアは頭を抱えてしまう。

「そっか。じゃあ、サネト殿たちの動きを事前に察知することも無理?」

「うん、無理。キュペイラの超小型機械すら見破られた。衛星からの監視にも引っかからないし、監視装置の表情特定、音声探知も当たらない。幽霊探している気分だよ」

「はぁ。ネーパット、本当にとんでもない存在のようだね」

 改めて、自分が相手にしている存在の大きさに、ラフグアは打ちのめされていた。

 そんな消沈した様子のラフグアの手に、クヴェユヴェクが、自分の手をそっと重ねる。

「そう落ち込まないで。ネーパットが大義の旗印の下で何かを画策しているのか、それとも本当にこの星のために動いているのかは、まだわからない。大事なのは、竜因と魔工宗匠が力を合わせることができる関係を続けること、そうでしょ?」

 ユヴェクの手が、ラフグアの手の下に回り込み、彼女の手を起こしながら、お互いの指を絡ませ合う。それに、ラフグアも答えるように指を折り曲げる。

「もしかして、その気にさせてる?」

 ラフグアの頬が上気していたが、それは酒気によるものではなかった。

「『もう一杯お酒が飲みたい』だけだよ」

 それは、間違いなく合言葉だった。

「主人、勘定を頼む」

 ラフグアは、熱い視線をクヴェユヴェクと交わしながら、背後の主人に声をかけた。

「ああ、お代の方は、以前いただいた分がまだ残っていますので、大丈夫ですよ」

 この酒場の店主が、このような言葉を返したことは、実は初めてだった。

 だが、ラフグアがいつも、酒代以上の料金を支払っていることは事実である。それでも常連のラフグアのお代を受け取り続けるのは、取った取ってないの問答になるのも面倒なこと、そして何より、様々な事情のあるこの街の人々にとって、支払いという行為には、酒代以上のものが含まれているのだ。

 そして、今回支払いを受け入れなかったのは、目の前の二人の、いち早くこの場を離れたいという気持ちを感じ取ったためだ。そしてそんな気遣いを、二人も理解してか、あるいはすでにお互いのことしか見えていないからか、店主の言葉を聞いてすぐに立ち上がり、手を繋いだまま、酒場をそそくさと後にした。

 



 麗しい子どもの姿には似つかわしくない、物騒な機械尽くめの部屋。魔工宗匠、レアケは、他の宗匠すら知らぬ自分だけの隠れ家だった。

『それで、レアケさん、今後の予定は?』

 部屋にはレアケ一人、しかし目の前の大きな画面では、猫の耳を頭から生やす、世界政府の高官、クトゥンが映っていた。

「特にないよ。座して待つ。それしかできることはないね」

『そうはいかないでしょう。竜因の皆さま、魔工宗匠の皆さまに、説明するべきでは?』

 レアケは少し思い悩んだ様子で、すぐにクトゥンの問いには答えなかった。

 自身の手元の装置の画面を数秒眺めた後、短い嘆息をついて、こう話し始めた。

「いや、やっぱり駄目。時期尚早、準備不足」

『なぜ、そんなに、彼らのことを信用なりませんか?』

「信用なるならないの話じゃないんだよ、クトゥン。もし仮に、我々の策を彼らに公表したとして、竜大公、魔工宗匠、世界政府の協力関係が得られたとしよう。では次の段階は何だ?」

 レアケにそう言われ、クトゥンははっとした。

『そうか。ネーパットたちと、魔人の心臓の取り合いになる……』

「その通り。相手は魔人の位置を正確に掴み、それを討伐するだけの力量を持つ。片や我々はどうだ?未だ魔人の位置を一体すら特定できていなんだぞ。そして、おそらくあのネーパットたちから魔人の心臓を奪うというのは、魔人狩りやその位置の特定よりも、遥かに難業だぞ」

『ですが、やはり、少なくとも魔工宗匠の間では、共有すべきではないでしょうか?』

 声を荒げるクトゥンに、レアケはわざとらしくため息をついた。

「真実は共有すべき、ってか?馬鹿言えよ。もう俺たちは、この星の国民全員に嘘ついてんだ。この星の魔力の生産量と消費量の収支が合わなくなってきたから、魔力を節約しろだ?とんだペテンだ。どんだけ魔力を節約したって、魔力の低下は止まらないんだぞ?俺たちが、考えていた、恒久魔力生産装置も、星の寿命を延命するだけで、根本的な問題の解決になりはしないんだ。この星は、あのネーパットの言う通り、滅ぶ運命にある」

 冷徹な言葉選びの裏にある、レアケの深い情をクトゥンは見抜いた。真相を話すことは、つまり共犯を増やすこと。国民皆に共有できない事実であるならば、真実を知るものは少ない方が良いのだ。

 真実は、それが残酷であればあるほど、人々の目を曇らせる。その先にある騒乱、混乱を、今の世界政府に抑えきることが、果たして可能なのか。クトゥンは、ここで初めて、レアケが頑なに単独行動を続ける理由を理解した気がした。

『ですが、座して待つしかないとは。歯がゆい。実に』

「いや、案外、そうでもないさ。むしろ光明が見えてきた」

『なんですって?』

レ アケが、機材を操作し、通信先のクトゥンにある情報を送信した。

『これは……』

「修正案だ。我々の計画のね。この星の魔力資源の低下は止まらない。その先にある星の崩壊も、我々には止められない。<紅玉>星の魔力低下を、人類の発展と、魔力資源の消費は加速させてはいるが、根本的な原因ではない。そして我々は、その根本的原因に未だ辿り着いていない。なら、その崩壊の原因も、解決する方法も知るネーパットとやらに、最後までやってもらおうじゃないか。そして、その果てに作られた未知の機械、それを我々が掠めとる。その機械の安全性、目的、全てを我々の総力を挙げて分析し、それが我々の目的に沿うかどうかを確かめる。一致するなら、そのままそれを使う。一致しないならば、それを我らで改良する。な、こっちのほうが、よっぽど平易だ」

 レアケは簡単に言ってみせたが、しかしクトゥンにとっては、それもそれで、かなり困難なものに思えた。

『しかし、あのネーパットから、貴重な発明品を盗み取ることなんて、それこそできるのでしょうか?』

「推測、に過ぎないんだがね。どうして、あのネーパットとやらは、自分で動かないんだと思う?」

『えっと、どうして、と言われると』

 クトゥンは、その疑問を考えたことも無かった。黒幕というのは大抵自分では動かないものだと思っていたからだ。

「あれだけの、情報操作、技術を持つ存在が、我々の陰に隠れて、活動するのが難しい、ということもあるまい。わざわざ情報漏洩の危険性を背負ってまで、サネトとリャージャを雇ったのは何故か?現にこうして我々に悟られてしまっている。手分けして魔人を狩る、というわけでもなく、あの二人に与える技術も、この星の最高峰の技術ではあるが、『想像を超える代物』というほどではない。何らかの事情で、動けないのか、と思ったりはしたが、おそらくそれも違う。あのヨベクとかいう機械人形をいくつも作れば、雇う必要なんてないだろ?」

『では、動けない、ではなく、動かない。サネトくんたちも、仕方なく雇っているのではなく、必要な人材だから、だと』

 その通り、とレアケは指を鳴らした。

「だが、まだその先については推測の目途も立たない。だが、今後もサネトやリャージャ、ヨベクを尖兵として使うならば、付け入る隙は必ずある。恐らく、魔人の心臓、集めきって終わり、ではなく、何か一仕事を挟むはず。そこを精確に見定め、的確に介入することが、今の俺たちができる最大の準備だ」

 クトゥンはまだ、レアケの提案に心から頷けなかった。もし最後の最後で、ネーパットが自分で動き始めた場合、レアケの作戦は大きく破産することになる。

 だがそのことをレアケが計算に入れていないことは、彼にとっても考え難いことであった。つまりそれも含め、必ず最後の大詰めにも、サネトやリャージャの力を借りて、自分一人では動かない可能性が高いと、レアケは判断したのだろう。そう思って、結局クトゥンは、自分の頭の中の疑念を口にすることはなく、レアケとの通信を終わらせた。

「悪いが、こっからは俺一人でやらせてもらうよ」

 レアケは、通信が切れた後、そう呟いた。勿論その場には誰も居合わせておらず、誰もその声を聞き届けることはない。それは、自分一人で責を負うという覚悟、そしてそれを自分に言い聞かせる決意の表れであった。




 サネトとリャージャが、<ケクスペス>に帰還後、そのまますぐにはネーパットの工房には赴かず、自分たちが以前使っていた宿に一度戻った。それはヨベクが、一旦今日はネーパットによる長い調整があるとのことで、ネーパットとの再会はできなかった。もっとも、サネトとリャージャも、神経をすり減らすような竜因たちとのやりとり、そしてその後の魔獣災害への参戦で、かなり疲労困憊しており、今日は早めに休憩を取りたいと思っていた。

 二人は、二つ部屋を取り、その後サネトの部屋で、ここ数日の件について少しだけ話し合おうとした。しかし溜まっていた疲れと、緊張感の解けが、どっと二人の身体にのしかかり、結局、この日は意識を失ったように、二人ともすぐに眠りに落ちてしまった。

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