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青い石の指輪



レオンはきっとアパートに帰るのだろうと思い、

わたしはひと足先に起きた。

そしてシャワーを浴びて身支度を整えたところでレオンは目を覚ます。



気怠るそうに目を擦りながら体を起こすレオンに、わたしは言った。



「おはようレオン。今日は午後から当番の交代だって言ってたわよね?その前にアパートに帰るんでしょう?」


「リゼカ…おはよう。いや……帰らないよ」


「でもサーラさんが心配でしょう?」


「サーラならきっと、二日酔いの頭を抱えて転移魔法でとっとと帰ってるよ。それかまだイビキかいて寝てるかのどっちかだ。どちらにせよ放っときゃいいんだ。魔術師なんだから」


「そ、そう……」



なんだろう、レオン怒ってる?


サーラさんに?


お酒を呑み過ぎたからかしら……。


「リゼカ、どこかで朝メシ食べて、新しく出来た百貨店に行かないか?前に行きたいって言ってただろ?」


「え、行きたい。いいの?」


「いいに決まってる。一緒に行こう」


「うん!」



昨夜の余韻が残っているのか、

わたしは不思議と素直に甘える事が出来た。




そうしてわたし達は王都の中心街に出来た百貨店へと足を運んだ。


一階フロアには装飾品やジュエリーの有名店がブースを構えていて、お店を梯子しなくても色んな店の商品が見られて便利だ。


わたしは日ごろお世話になっているヘレン女史に何かお礼を贈ろうと思いつき、ハンカチがいいだろうと陳列棚を見る事にした。



「リゼカ、すぐに戻って来るから品物を見ていて」


「うん。わかった」


わたしが返事をするとレオンはその場を立ち去った。

多分おトイレかな?そう思いながらヘレン女史に贈るハンカチを物色する。


ヘレン女史がお好きな淡いスモーキーなモスグリーンの、フチがスカラップレースで飾られたシンプルなハンカチを選んだ。


喜んで貰えるといいな。


プレゼント用にラッピングをして貰い、買い物は終了した。


が、まだレオンは戻らない。


どこに行ったのだろうとフロア内を歩き、彼の姿を探した。


ーー居た。え?ジュエリーショップ……?



レオンとジュエリー、何と意外な組み合わせか。


だけど長身で見目の良いレオンは、美しいジュエリー達が並ぶショーケースの前に居ても何ら遜色ない。


だけど……何を見ているのだろう。



真剣な眼差しでショーケースの中を覗き、店員さんと話をしている。


迷うように何度もショーケースの中のジュエリーを眺めて、やがてレオンはその場から立ち去って行った。


わたしの元へ戻ろうとしているのだろう。

急いで後を追いかけて声をかけないと…と思うも、

どうしても気になってレオンが熱心に見ていたショーケースを覗いた。



そこには……

様々なデザインのエンゲージリングが並べられていた。


レオンはコレを見ていた……?


何の為に……という事はないか。


もちろんエンゲージリングを買い、贈りたい相手がいるのだ。



ショーケースの中のリングの多くは青い宝石()が飾られた物だった。


あの人の、サーラさんの瞳のように美しく輝く青い石のエンゲージリング。



レオンはきっと、いつか彼女に贈る時の為に下見をしていたのだろう。



でもまだ、わたしと付き合っているから。

買えずにその場を立ち去った。



やはり、わたしはもう、レオンの手を離すべきだ。



だってさっきからレオンがまた上の空になっている。


何かを迷うように考え込み、口数が更に少なくなっている。


昨夜は愛されているのではないかとも思った。

でもやはりこうやって迷い、思い悩む彼を見ると、す…と現実に引き戻される。



その後もレオンは、時々何かを言いたそうにしていた。


ふと小さな声で、「いやこんな所ではダメだな」という呟きが聞こえた。


こんな所ではダメ?


……確かに店内は人が溢れていて、別れ話をするにはそぐわない。


じゃあどこならいいんだろう。


どこなら、レオンは心置きなくわたしに別れを告げられる……?





どうせならわたしが決めてあげようか。



ほとんど自棄で、やさぐれだ気持ちでわたしはそう考えた。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



レオン、ハッキリしなさい。


あと2~3話(曖昧☆)で完結です。



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