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ローグライクな美少女勇者がモブキャラ高校生の俺を攻略しようとしているのですが  作者: はんぶる
モブ高生は不本意にも脱エキストラを果たす
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第一話 例えば自室に美少女勇者がいたとして

この小説に興味を持ってくれた人、間違ってポチッちゃった人、ありがとう。


平均1500字程度でサクサク読めるので、隙間時間の息抜きにどうぞ!


新参者ですが、よろしくお願いします。

「吾輩はモブである。名前はと聞かれて答えるわけにはいかない。それがモブというものだ。


 強いていうなら、生徒Bといったところだろうか。どうやらモブとしての人生も地に足ついてきたようで、生徒Aに選ばれる程の人間ではないと謙虚になってしまう。


 個性豊かな高校生たちを一層華やかに彩るため、今日も高校生のモブらしく、モブの仕事、すなわちモブ高生として通学をした。


 こんな無味乾燥としたモブの仕事に勤しんでいる俺はモブの中のモブ、モブ王と言えるだろう。


 シェイクスピアの戯曲の中でだったら主人公になれたかもしれない。それはリア王。


 最近、俺は悩みを抱えている。


 モブの中のモブとして輝かしい立ち位置を個人的に確立したはずなのだが、それが大きく揺らぐ考えが脳裏をよぎったのだ。


 それは自己を見失ってしまいかねない悩みだ。すなわち、俺はモブであると自認していたのだが、本当に自分はモブなのだろうか、ということである。


 事の発端は英語の授業中。モブであるがゆえに挙手をしてもまず当たることがないが、それでも主体的で意欲のある学級を作り上げるため、俺はいつものように事務的に挙手をしていた。


 しかし途中で肩が痛くなってしまったため、代わりに辞書でも読むことにした。一瞬昼寝でもしようかと思ったが、そんなことはモブには許されない。


 授業中に寝ていてチョークを投げられたり、急に指名されてあたふたするのは、モブではなく主役のやることだからだ。


 そうして英和辞典をパラパラとめくっていたわけだが、そこで『モブ』という単語が目に止まった。


 そこには『mob:群衆、集団』と説明が書かれていた。

 そしてふと、辞書なんか読むんじゃなかったと後悔するような考えが浮かんだ。


『ぼっちの自分は、果たしてモブなのだろうか?』


 主役に対してのモブという括りの中で平和に過ごしていた俺の生活が大きく揺らいだ瞬間だった。マグニチュードに換算すると九・〇くらいにはなるはずだ。


 モブキャラの中にも種類があって、クラスでくだらない会話をしている男子どもや、教室移動で廊下を歩きながら話しているふたり組、昼休憩時に中庭のベンチでお弁当を摘まむ女子たちなどが例に挙げられる。


 この場合、少人数と言えども彼らは集団行動しているので、どのような定義をしても間違いなくモブだろう。


 しかし、俺はどうだろうか? 教室の隅っこで背景には溶け込んでいるものの、集団には馴染めていない自分は、果たして集団の一部として『モブ』を名乗ってもいいのだろうか。


 突如として味気ない生活空間に現れたこの疑問は、まだ解決できそうにない」


 とそこで、悩み多き少年は脳内日記を綴る仮想の筆を止めた。


 ひとり暮らしをしている学生寮に到着したのだ。


 まだ夕方六時でありながら早くシャワー浴びて寝たいなんて自堕落な予定を立てつつ、鍵はどこかとポケットを探る。


 するとそこで、誰もいないはずの部屋の中からゴトンッと重々しい音が響いてきた。


 六畳一間の玄関先で、少年は硬直する。


「なに、誰?」


 誰か大人の人を呼んだ方がいいと脳内でサイレンが鳴り響いていたが、無責任な好奇心が一人歩きして、少年は中に入ってみることにした。


 鍵を開けるなり、映画に出てくる突入部隊が如くバンッとドアを開く。


「痛たたた……なんじゃ、この薄気味悪い洞窟は?」


 ひと目見て染料ではないと分かるほどに鮮やかな金髪。

 高い位置でポニーテールに結えられたそれは肩までかかっており、身に纏った鎧と同じようにキラキラと……。


「鎧ぃっ‼︎⁉︎」


 少年が思わず叫ぶと、それに反応したふたつの目がこちらを振り返った。


 開けたままのドアから差し込む光を乱反射させたそれは、軌跡を残しながら急速に移動し。


 バタンッ‼︎


 とそこで、息を切らした少年はドアを閉じた。


「落ち着け俺ェ……ただの錯覚、目の錯覚だ。それか換気扇の隙間からリスでも入ったに違いない、そうだろう?」


 再びドアを開ける。


 光る目は近づいてきていた。


 再びドアを閉め、そして少しだけ隙間ができるように開け直す。


「貴様、この洞窟の主か?」


「なにを言っ」


 次の瞬間。

 強引に開け放たれたドアから伸びた手によって襟首を掴まれた少年は、ものすごい勢いで部屋の中に引きずり込まれた。


 少年はそのまま軽々と放られて廊下をノーバウンドで突き抜けると、畳んで置いてあった布団にダイブした。


 武装をした謎の少女はドスンドスンと床を揺らしながら距離を詰めてくると、鞘に納めてあった長剣を引き抜いた。


「貴様がこの隠しステージのボスか?」


「えっなに、隠しステージ??」


「ほほぅ、弱く見せるために擬態しているな。ミミックの類いか?」


「それ本物の刀じゃないよな⁉︎ ていうかお前誰?」


 モブキャラの立場を逸脱しようとしたものはどこかの組織によって消されるのだろうか?


 そしてモブとしてのアイデンティティをなくし始めた自分もブラックリストに載り、今まさに消されようとしているのか??


 突然の非日常に晒され、少年はカラカラに渇いた喉で固唾を飲んだ。


 対して謎の武装少女は名を問われると、その厳しい表情を一気に和らげた。


「我か? 我はハイラント・エアレーザー。世界を脅かす全ての悪を討ち滅ぼす勇者じゃ!」

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