第七章: 奇跡の代償
「遅れて申し訳ありませんでした。今回の話です!」
ヴィルヘルムは父を肩に担ぎ、一歩ごとに脚が震えていた。私は父の冷たく重たい手を握っていた。妖精王は私たちの前を歩き、群衆は彼が刃でできているかのようにその前で道を開けた。
彼の足取りは乱れなかった。破壊された光景を見ようともしなかった。ただ、歯の髄にまで響くような声で言った。「中へ。今すぐに」
神殿の階段に着いた時、すでに血でぬるぬるしていた。人々が入口に群がり、傷を押さえ、唇の上で震えながら崩れていく祈りをささやいていた。一人の神官が戸口を塞いでいた。彼の衣は染みだらけ、顔は恐慌に駆られていた。
「中には入れませぬ!手に負えません、これ以上余地は…」
妖精王は速度を緩めなかった。
彼の目が燃えた。森の奥深くのような、深い金緑色。空気が濃くなり、低く唸った。
「退け」
神官の抗議は途絶えた。膝が崩れ、言葉もなくよろめきながら後退した。
中に入った。
内部はさらに悲惨だった。
床が体で埋め尽くされていた。死んではいない――まだ――しかし、その差が意味をなさないほどに瀕死だった。白かった包帯は真紅に染まっている。火傷は湿った肉のように光っていた。線香が、裂かれた内臓と焦げた皮膚の悪臭を覆い隠そうとする匂いが、目に涙を浮かばせた。
隅で女が祈っていた。前後に揺れながら、言葉は速すぎて理解できなかった。男は自分の手――かつて手があった場所――を見つめていた。赤ん坊が母親の腕の中で、動きすぎないほど静かに横たわっていた。
ヴィルヘルムは跪き、父を最後の空いた石の一片に下ろした。私は彼の傍らに崩れ落ち、父の頬に触れる手が震えていた。彼の肌は古い灰の色をしていた。
「父さん」軽く揺すりながら、私はささやいた。「お願い」
彼の胸が上がった――浅く、恐ろしい動き。嗚咽が私の喉から零れた。
妖精王は私の向かいに跪いた。彼の中の嵐が内側に引き込まれ、より重い何かへと変容していった。
「エルズベス」
私は見上げた。
「君の父は死にかけている」
その言葉は切りつけなかった。
地面を引き剥がした。
「違う」私は言った。「あなたには魔法がある。救ってください」
「できない」
「できるはずです」彼の視線が私を捉えた。「ただ、君はまだそれを信じていないだけだ」
私の心臓は一瞬止まりそうになった。「私?私は無色です。無力です」
彼の目に憐れみはなかった。ただ深く、居心地の悪い認識だけ。
「本当に忘れたのか」彼はつぶやいた。「神が君の手にGペンを授けた日のことを?」
息が詰まった。その重み――神的で、理解を超えた贈り物――が記憶の中で閃いた。汝が必要とする時に
「使い方が分かりません。何をすべきなのか…」
「分かっている」彼の声は静かで、決定的だった。「自分を信じろ」
彼は手を伸ばし、私の手の上に彼の手を置いた。それは輝いていた。温かくない――肌を与えられた陽光のようだ。
「目を閉じなさい」
私はそうした。世界は瞼の裏の赤黒い闇に消えた。
「魔法のことを考えるな」彼は言った。その声は雷鳴と子守唄が織りなされていた。「彼のことを想え」
父の笑い声。私が泣いた時に私を包む彼の腕。何があろうと、お前は我が娘だ
愛が速すぎるほどに、大きすぎるほどに沸き上がった。痛かった。
「今だ」妖精王はささやいた。「描け」
Gペンが私の手の中にあった。召喚しなかった。ただ現れた。手のひらに冷たく固く。
私の手が動いた。
動かそうと決めたのではない。何か別のもの――何かより古いもの――がそれを導いた。ペンが空気に触れた。光がペンの軌道を追った。円。完璧な。輝く。
もう一つの円が最初のものの周りに咲いた、より大きく、唸るような低音が歯に感じられた。
三つ目の円が両方の周りに広がった、部屋全体を縁取るほどに広く。
光が炸裂した。
白ではない。金ではない。瞼を閉じた時の稲妻の色。何かが生まれる瞬間の色。ペンが私の手の中で熱くなった――燃えるのではなく、生きていて、鼓動のように脈打つ。
波が私が跪いていた場所から押し寄せた。
最初に父に当たった。
彼の胸の裂傷――骨が見えるほど深かった――が塞がった。肉が自ら編み合わさり、紙が裂ける音を逆再生したような音がした。灰色が彼の顔から去った。血色がそれを置き換えるために押し寄せた。彼の胸が膨らんだ、本当の呼吸、深く震える。
だが、波は止まらなかった。
それは水のように、しかし温かく、神殿の床一面に広がった。男の腕――裂けた筋肉から骨が突き出ている――が自ら塞がった。新しい皮膚が傷の上を這い、ピンクで生々しい。女の火傷した手が滑らかになり、水疱が健康な肉の中へ戻っていった。足の折れた少年――彼の骨がカチッとはまり、彼は息をのんだ。
赤ん坊が動いた。
そして叫んだ。
生きている、激しい、怒りに満ちた音。
母親はすすり泣き、赤ん坊を強く抱きしめた。
人々は自分の手を見つめた。腕を。足を。癒された皮膚に触れ、それが本物だと信じられないように。
そして彼らは私を見た。
私は動けなかった。ペンが手から離れ、地面に当たる前に消えた。指先が痺れていた。涙がすべてをぼやけさせた。
父の目がかすかに開いた。
「エルズベス…?」彼は息を吐き、声は擦れていたが彼自身のものだった。「坊やか…?」
私は彼に倒れ込み、嗚咽が二人を震わせた。
背後で、妖精王が立ち上がった。彼の存在は私の背後の山だった。「ほら」彼はつぶやいた、満足の一言だ。
ヴィルヘルムが父を立ち上がらせるのを助けた。彼は震え、私たち二人に寄りかかっていたが、生きていた。妖精王がドアに合図を送り、私たちは従った。
神殿は静寂に包まれた。人々は私たちが通り過ぎるのを見つめた。じっと見つめる者もいた。目をそらす者もいた。神官は凍りつき、口を開けたまま立っていた。
私が彼のそばを通り過ぎる時、彼はささやいた。「理解できぬ」
私は彼を見なかった。「私もです」
神殿の扉が軋みながら開き、私たちを鋭く金属的な昼光の中へ吐き出した。空気はオゾンと湿った石の味がした。
噂は広まっていた。
村人たちの何人かは頭を下げた。他者は護符を握りしめた。女は子供をスカートの後ろに引っ張り込んだ。
ヴィルヘルムが父を支えた。妖精王は静かな影だった。
そして私は、一つ一つの視線を焼印のように感じた。
その時、少女を見た。
九歳くらいの、頬に泥がついた少女だ。彼女は群衆の中を駆け抜け、袖を引っ張った。「ママ?誰かパパを見なかった?お願い…」
肩幅の広い男が彼女を押しのけて通り過ぎた。「どけ、ガキ!みんな誰かを失ったんだ!」
彼女はよろめき、転んだ。膝を砂利で擦りむいた。這い上がって走り出す前に、壊れたすすり泣きが漏れた。群衆から、私たちから離れて、損傷した小屋の迷路の中へ。
私の心がぎゅっと締め付けられた。一歩踏み出した。
妖精王の手が私の肩に落ちた。彼の握りは固く、決定的だった。「今はだめだ」
私が抗議する前に、長老ケールが近づいてきた。彼の職杖は喪の白で巻かれ、顔は厳粛な義務の仮面だった。
「ハインリヒ。ヴィルヘルム。エルズベス」彼の目が私に触れ、明るすぎる炎から逃れるかのように瞬時にそられた。「評議会は集まった。来なさい」
集会場までの道のりは、私の人生で最も長かった。慣れ親しんだ小道がよそよそしく感じられ、一石一石が判決への一歩だった。
中では、空気が汗と恐怖で濃厚だった。村人たちは群衆ではなく、亀裂の入った風景だった。
炉端の近くで、マルタが赤ん坊を抱いていた――五分前まで死んでいた赤ん坊を。彼女が私を見た時、涙が顔を伝い始めた。彼女は深々と頭を下げ、額がほとんど赤ん坊の頭に触れるほどだった。
部屋の向こう側で、老テレルが震える指で私を指さした。「あれは神の業じゃない」彼は傍らの女に嘶いた。「あれは何か別のものだ。邪悪な何かだ」
中央では、村の大半が立っていた。不確かさの中で。ささやきあって。
「彼女はアルノの足を救った…」
「だが、どんな代償で?」
「妖精王が嵐をもたらした、彼女はあの連中の一人だ…」
長老ケールが咳払いをした。ささやきは止んだ。
「我々は、エルズベスに何が起こるかを決めるために集まった」
決める。まるで私が解決すべき問題であるかのように。
「彼女を祝福と呼ぶ者もいる」彼はマルタたちのグループを、彼らを見ずに示した。
「彼女を悪魔と呼ぶ者もいる」テレルの方へうなずき。
「何と呼べばいいか分からない者もいる」彼の手が不確かな中央の者たちの上をなぞった。
「しかし、この力は自然なものではない。今日は命を救った。明日は、我々を殺すものになるかもしれない」
母が前に出た。彼女の顔は崩れていた――赤い目、腫れた頬。「なぜ?」彼女の声は割れた。「もし彼女の運命がそんなに壮大なものなら、なぜ無色で生まれたの?なぜ八年も苦しまなければならなかったの?」
妖精王が答えた。彼の声は大きくならずに部屋を満たした。
「『無色』を空虚さと誤解している」彼は言い、唇に微笑みの影が触れた。「それは終わりではない。始まりなのだ。他の全ての魂は、その運命が既に書かれて生まれてくる――炎に、石に、葉に。彼女の運命は白紙で届けられた。未編集の物語として」彼の視線が、運命のように重く、私に落ちた。「それは呪いではない。可能性なのだ」
長老ケールはこれを飲み込み、顎を固くした。それから父を見た。「ハインリヒ。彼女はお前の娘だ」
父は、ヴィルヘルムに寄りかかりながらも背筋を伸ばした。「その通りだ。そして彼女は私の命を救った。諸君の命を救った」彼の視線が部屋中を掃い、誰か論争する者はいないかと挑んだ。「しかし、諸君の恐怖は分かる。彼女が生まれた時、私も同じ恐怖を抱いた」彼は私を見つめ、彼の目には見るのが痛む何かが満ちていた。「彼女が何者であるかから、私は彼女を守れない。そして諸君の恐怖が諸君にさせることから、彼女を守ることもできない」
長老ケールはゆっくりとうなずいた。まるで父が彼に許可を与えたかのように。
「ならば決まった。彼女の安全のため、そして我々の安全のために、エルズベスは去らねばならない」
母が音を立てた――鋭く、壊れた。ヴィルヘルムの腕が父を強く抱いた。
世界は傾かなかった。ただ硬化した。すべてが突然石に変わったかのように。
私は自分の手の感覚がなかった。
長老ケールは話し続けた。「準備に三日ある。その後は…」
「私が連れていく」
妖精王の声が全てを切り裂いた。彼が前に出ると、部屋が彼の周りで縮んだように思えた。
「私が彼女を妖精郷へ連れていく。あの世では時の流れが異なる;ここでの一年が、あちらでは十年にもなるかもしれない。彼女には訓練が必要だ。制御なき力は山火事だ」彼の目が評議会一同を掃った。「彼女を恐れるのは正しい。だが、彼女が学ばなければ何になるか、それを恐れるべきだ」
彼は私を見下ろした。「道を恐れるな、小さな火花よ。君の物語は、彼らが選ぶところで終わるのではない。君が決めるところから始まるのだ」
私は我が家の中で幽霊だった。
部屋中を見回した。感謝の涙を静かに流すマルタを。鶏小屋の中の狼のように私を見つめるテレルを。崩れていく母を。強くなろうと必死な父を。
擦りむいた膝の少女のことを考えた。まだ両親を探しているあの子を。
「あの子はどうなりますか?」私は長老ケールに尋ねた。「家族を探していた女の子は」
長老ケールの顔がわずかに和らげた。「私が面倒を見るようにする、エルズベス」
「三日だ」長老ケールは繰り返した。
私は追放されているのではない。
私はうなずき、声はなく、心臓は封印された石のようだった。
三日。
【クリスマス企画】
次に何が起こるのか…その結末は、次回の更新で!
来週は、第8章に加えて、クリスマスを記念した特別編「妖精王の視点」もお届けします
いつもの時間、いつもの場所で、お会いしましょう。
メリークリスマス!




