第十九章: アタリントゥスの試練
目の端に、何かが引っかかった。入り口の左側、下草に半分埋もれた、巨大な石版。傾き、その表面には、薄明かりを捉える刻印がびっしりと刻まれている。考えるより先に、足が動いていた。瓦礫と根をかき分けて、私はそれに向かって進む。
キャルウィンが、後に続く。その柔らかな足音が、かすかに背後で聞こえる。
石板は、巨大だった。私よりも数フィート高く、腕を広げても届かない幅がある。かつては、直立していたのだろう。だが、数世紀の風雪がそれを倒し、まるで傷ついた兵士が壁にもたれかかるように、岩の露頭に寄りかからせていた。その表面は、無数の穴と傷跡。下端には苔の斑点が張り付いている。だが、彫刻はまだ見えた。辛うじて。
私はかがみ込み、文字を調べた。それは、今まで見たどの書体とも違っていた。ある部分は角張り、別の部分は流れるように。まるで二つの異なる文字体系が、一つに融合されたかのようだ。表面すれすれに指を這わせる。触れずに、線を辿る。何も、はっきりしない。意味は、浮かび上がらない。
**「読めません」**
私は認めた。
**「学んだどの文字とも、違う」**
キャルウィンが、前に進み出た。先程までの緊張は、古代の、書かれたものの前で、瞬間的に忘れ去られていた。彼女は私の隣にひざまずき、その淡い瞳を石の上で動かす。誰も読めないものを読むことに、何世紀も費やしてきた者の、集中した注意で。
長い間、彼女は黙っていた。時折、唇が動く。音のない形を形作る。手が上がり、指が文字の上の空気を辿る。私がそうしたように。曲線と角に、意味を求めて。
**「古代文字です」**
ついに、彼女は呟いた。
**「非常に古い。現存するほとんどの文書より古い。しかし、この方言は……」** 彼女は首を振った。**「風化が激しすぎる。文字が不完全だ」**
**「何か、読めますか?」**
すぐには答えなかった。指の動きは、より慎重になる。一つの文字の塊から別の塊へと移り、パズルのほとんどを欠いたピースを、断片的に組み立てるように。
そして、止まった。彼女の手が、石板の上部近くの一画で、宙に浮いた。そこは、石の出っ張りが最悪の風雪から守り、文字がわずかに良好に保存されていた。
**「ここです」**
彼女は、息を呑んだ。
**「この単語。アタリントゥス。そして、これは……」** 彼女の指が、より長い連なりを辿る。**「……の場所、あるいは……の住まい。それから……」** 間を置き、解読する。**「図書館」**
私は、彼女を凝視した。
**「図書館? つまり……」**
**「この場所です」**
彼女が私を見上げる。尖塔を発ってから初めて、その淡い瞳は、緊張や学者としての正確さ以外の何かを宿していた。そこには、**驚嘆**があった。
**「この場所は、かつてアタリントゥスの図書館だった。私たちは、失われた図書館の敷居に立っている」**
その言葉は、私たちの間に、重く意味を帯びて漂った。七千年の沈黙。現存する文書での三回の言及。それを求め、失敗した魔術師と学者たち。そして、私たちはここにいる。私たちが望み、そして恐れていたことを、確認する倒れた石の前に。
キャルウィンは、背筋を伸ばした。ほとんど敬虔な動作で、ローブの埃をはらう。
**「残りは、損傷が激しすぎる。孤立した単語は判別できるが、その文脈を理解するには、不十分だ。この石板がかつて何を語っていたとしても、そのほとんどは失われている」**
私は、古代の文字から、背後にある暗い入り口へと視線を移した。自身の創造者を飲み込んだ図書館。その秘密を求めた魔術師たちを、呑み込んだ場所。
**「正しい場所に、いるんですね」**
私は、静かに言った。
**「います」**
キャルウィンの声は、今は、よりしっかりしていた。確認が、彼女に掴むべき確かなものを与えたかのように。
**「正しい場所に」**
胸の川の石に触れる。その見慣れた温もり。ロリクの顔が、心をよぎる――不器用で、真摯で、あのシンプルな贈り物を差し出した。*しっかりしてるから。変わらないから。*
中で何が待っていようと、私は、そのしっかりさを、共に持っていこう。
**「よし」**
私は、立ち上がった。
**「行きましょう」**
キャルウィンがうなずき、私たちは共に、古代の石板から、待つ闇へと向き直った。
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入り口は、あるべき場所にはなかった。
私たちは、外周を一周、そして二周した。瓦礫と根をかき分けながら。図書館の外壁は、ぎざぎざに崩れたものだった――荷車ほどの大きさの石の塊が、積み重なり、崩れ、また数世紀の崩壊で積み重なっている。ある場所では、壁に直接歩み寄り、触れることさえできる。別の場所では、大地がそれに追いつくまで盛り上がり、部分全体を土と石の下に埋めていた。
**「ここにあるはずなんです」**
キャルウィンは、自身の頭の中にだけ存在する記憶を参照しながら、呟いた。
**「文書には、東向きの壮大な入り口が記述されていた。昇る太陽に向かって。三本の柱。彫刻された鴨居」**
東を見た。柱は、なかった。ただ、瓦礫の斜面と、壁に生え、枯れ、倒れた木々の白骨化した残骸だけ。
**「七千年です」**
私は言った。
**「入り口は、埋まってしまったのかも」**
私たちは、捜し続けた。
作業は、遅く、苛立たしかった。一歩ごとに、慎重な足場が必要だった――警告なく動く緩んだ石、隠れた蛇のように絡まる根、一見、固い地面に見えて、下に空洞のある部分。何度も、Gペンに手を伸ばしかけた。道を切り開くために。だが、何かが、それを止めさせた。この場所には、敬意が払われるべきだ。おそらく、注意も。もし図書館に防御機能があれば、壁を爆破して作動させたくはなかった。
キャルウィンは、几帳面だった。目で壁の基部を辿り、時々、土に半分埋もれた彫刻の破片を調べては立ち止まる。一度、彼女は私を呼び、何かを見せた――ほぼ滑らかに風化した象徴。それは、訓練で学んだあの輪かもしれない。あるいは、全く別の何かかもしれない。
**「重要なのですか?」**
私は尋ねた。
**「ここにある全ては、かつて重要だった」** 彼女は背筋を伸ばし、手の土をはらった。**「今もそうかどうかは、私には言えない」**
私たちは、進み続けた。
沈黙が、最も奇妙だった。妖精界には、常に音があった――遠くの葉の鈴の音、逆さまに流れる川のせせらぎ、周囲の魔法のかすかなハミング。ここには、何もなかった。風さえも。空気そのものが、重く、静止しているように感じられた。まるで、図書館が静寂の泡に身を包み、世界がそれを破ろうものなら、挑戦しているかのように。
無意識のうちに、私は囁いていた。
**「この場所、息を潜めてるみたい」**
キャルウィンは、うなずいた。彼女は囁かなかったが、その声は、いつもより柔らかかった。
**「おそらく、そうなのでしょう。待っている。何かを。誰かを」**
*私を*、と思った。その重みが、再び肩にのしかかる。
私たちは、崩れた壁の一部を越えた。あまりに昔に崩れ落ち、苔と小さなシダが生えた石の間を、注意深く進む。その向こう側では、地面が浅いくぼ地に落ち込んでいた――かつては中庭だったのだろう。今は、根と雑草が絡まり合っている。その中心で、巨大な根系が地中から押し上げられていた。私の体ほどの太さで、何かを巻き込んでいる。それは、見えない何かに巻き付いている。
キャルウィンが、止まった。その淡い瞳が、細められる。
**「あそこです」**
彼女は、指さした。
視線を追う。最初は、根と石しか見えなかった。やがて、ゆっくりと、その形状が浮かび上がる――巨大で、一枚の石板から彫り出されている。その周囲の光さえ吸い込むほど、深い闇を放つ石だ。根は、それを貫通せず、周りを取り巻いて成長していた。まるで、根さえも、その境界を尊重しているかのように。それは、私の背の三倍は軽くある。その表面は、褪せた模様で覆われている――かつては文字だったかもしれない幾何学模様、あるいは芸術、あるいは全く別の何か。今は、それらは、ただの意味の影だ。風化しすぎて読めず、古すぎて気にしない。
**「これです」**
キャルウィンが、息を呑む。
**「入り口です」**
私は手を伸ばし、石に触れた。それは、冷たかった――冬の冷たさでも、深い水の冷たさでもない。もっと古いもの。決して温もりを知らず、必要としなかった場所の冷たさ。指の下に、かすかな振動を感じた。魔法じゃない。正確には違う。どちらかと言えば、魔法の**記憶**。深く、遅すぎて、かろうじて認識できる唸り。
七千年。そして、それは、まだここにあった。まだ、待っている。
両方の掌を石に平らに押し当て、押した。
……動かない。
足を踏ん張り、肩で押し、もっと強く押した。筋肉が悲鳴を上げる。息が切れる。扉は、微動だにしなかった。
**「動かない」**
私は、当然のことを言った。何かを聞く必要があったから。
キャルウィンが、私の隣に進み出た。しばらく、彼女はただ扉を見つめていた。その淡い瞳で、褪せた模様を辿る。そして、彼女自身の手を石に当てた。本を棚の所定の位置に押し戻すかのように、注意深く位置を決めて。そして、彼女の力を、私に加えた。
一緒に、押した。
扉は、完全に無関心だった。それは、まるで山そのものだった――不動で、永遠で、その麓にいる二つの小さな存在の努力など、全く意に介さない。
私たちは、一歩下がった。息が切れている。冷たさで、掌がヒリヒリする。
**「……わかりました」**
私は言った。
**「物理的な力じゃ、ない」**
キャルウィンはうなずき、既に学者モードに切り替えていた。彼女は前に進み出て、作業を始めた。彼女の手は、精密な動作で動く。空中に模様を描き、銀色の光のかすかな軌跡を残す。唇が動き、聞こえない言葉を形作る――古く、形式張った、注意深く記憶された詠唱。
光が扉に触れ、そして、ただ……**止まった**。跳ね返されたのでも、吸収されたのでもない。ただ、止まった。まるで、扉が、魔法など気にする価値はないと、決めたかのように。
彼女は、再び試した。別の動作。別の連なり。そして、また別の。それぞれの呪文は、油の上の水のように、石を滑り落ちていった。痕跡も、反応も、承認も、残さずに。
**「理解できません」**
彼女は呟いた。
**「これらは、基礎的な解錠の呪文です。封印されたあらゆる表面に、作用するはずなのに」**
**「私に、やらせてください」**
私は、Gペンを呼び寄せた。まず、光を思い描いた。私が操ることを学んだ、純粋で、明確にする力。それを扉に向けて放った。刻印が石に触れ、そして、消えた。吸収されたのでも、拒絶されたのでもない。ただ、消えた。まるで、虚空に水を注ぐように。
次に、闇を試した。そして、火、水、土、風。複合も試した。輪が頭の中で回転する。持つ限りの全属性を、次々と循環させながら。
扉は、気にしなかった。
一歩下がる。胸の内に、苛立ちが募る。
**「何も、効かない」**
キャルウィンは、しばらく黙っていた。
**「まるで、扉が私たちの魔法とは、別の周波数に存在しているかのようです。私たちは、叩いているのに、扉には、それが聞こえない」**
**「あるいは、聞こうとしない」**
**「……かも」**
私は、扉を凝視した。その褪せた模様を。その忍耐強い沈黙を。その、絶対的なまでの、降伏の拒否を。
**「鍵屋なら、どうするだろう?」**
私は、呟いた。
キャルウィンが、私を見る。
**「目に見える機構は、ありません。扉は、頑丈な一枚岩です」**
**「なら、機構は隠されてる。あるいは、機構なんて、そもそもない。私たちが考えてるような意味では」** 私は、再び、より近づいた。今度は、押さない。魔法も使わない。ただ、見る。観察する。褪せた模様が、どのように曲線を描き、繋がっているかを、研究する。**「あなたは、全てを試した。標準呪文、上級呪文、私の持つ全属性。どれも、効かなかった。つまり、魔法は鍵じゃない」**
**「では、何が?」**
答えは、まだなかった。まだ。だが、私は見続けた。辿り続けた。考え続けた。
私は、扉を、丹念に、部分ごとに調べていった。高い部分では、模様はほとんど完全に滑らかだった――かつての姿の、ただの幽霊。低い部分、扉が地面と接する場所では、土がそれを部分的に埋め、彫刻を最悪の風化から守っていた。
私は、しゃがみ込んだ。手で、緩んだ土を払いのける。そして、そこに、地面から数インチ上のところで、何か違うものを見た。
模様じゃない。幾何学模様じゃない。**文字**だ。意図的に、注意深く刻まれた文字。その上の装飾的な彫刻とは、はっきりと異なる。碑文だ。
**「キャルウィン」**
彼女は、瞬時に私の隣に来ていた。私は脇にどき、彼女に場所を譲る。彼女の表情が、好奇心から集中へ、そして、名状しがたい何かへと移り変わるのを見た。
彼女は手を伸ばし、その細長い指が、文字の上を、ほとんど触れずに辿る。唇が、無言で動く。そして、彼女はかかとに座り直し、声に出して読んだ。
**「この扉を開くには、汝、魔法の最初の火花を宿さねばならない」**
その言葉は、私たちの間に、重く意味を帯びて漂った。
私は、碑文を凝視した。扉を。キャルウィンの、淡く、驚嘆に満ちた顔を。
**「最初の火花」**
私は、繰り返した。
**「元素じゃない。属性じゃない。魔術師が理解する意味での力じゃない」** 彼女は、ゆっくりとうなずいた。**「最初の火花。**源そのもの**です」**
妖精王の言葉を、今、思い出す。尖塔の練習室で、もう何年も前のことのように。*お前は、無を持って生まれたのではない、エルスベス。お前は、全てを持って生まれたのだ。*
Gペンのことを思う。それが、どこからともなく現れるのではなく、**私から**現れる、あの在り方。それが、火でも、水でも、光でも、闇でもなく、もっと古い何かの可能性でハミングする、あの感覚。その下にある、何か。
**最初の火花。**
ゆっくりと、息を吸い込む。背後で、キャルウィンは、何も言わない。アタリントゥスの図書館は、誰かがここに立つのを、七千年待っていた。
始まりを、内包する誰かが。
どうやって開けるのか?
少女の手が、静かに触れる...
次回、第19話。
同じ時間に、同じ場所で。




