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王子の後ろに、こっそりじっとり

 読みに来て下さって、ありがとうございます。


 今回は、キグナス王子のクラスメイトのセリーナ子爵令嬢の視点です。ふふふふふ。



        セリーナ side



 あー、どうして、こんな事になっているの?

 いつもの通り、執務室から出てきたキグナス殿下の後ろをこっそりつけた。

 中庭まで来たのは良いけど、まさか、こっち側の細工に関わってくるなんて。


 ベンチに座っているグレイスの義弟。


 生け垣から、それをこっそり見ているグレイス。


 木の陰からグレイスを眺めているキグナス殿下と従者のマルセル。


 キグナス殿下の後をつけて、こっそり校舎の陰から様子を伺う私、セリーナ。


 ここに、キグナス殿下が来るなんて。しかも、他の観客を追い払ってまで居座るとは。

 嫌な予感しかしないわ。




 3年間と1学期間、少しずつ少しずつキグナス殿下と仲良くなってきた。


 入学式で、殿下が輝いて見えた。一目惚れって、こういう事?

 私は子爵令嬢だけどAクラスにギリギリを食い込んでた。

 トップの殿下に少しでも近付く為に、勉強して、学年3位にまで上り詰めた。


 くじ引きでの班分けでは、殿下と同じ班になったクラスメイトの弱みを握って、私の『くじ』と彼女の『くじ』を替えさせた。


 殿下が振り向く位置には、必ず私が居るようにした。


 3位になってからは、殿下に、挨拶から始めて、授業についての質問や、授業に関する意見の交換や、実習の事等を話すことが出来るようになった。

 用件が終わると、殿下は、そそくさと従者と話し始めるが。

 それ以降、全く、会話は進展した事が、ない。


 殿下って、朴念仁?超ド真面目人間?


 殿下の婚約者が入学して、殿下の周りを纏わりつき始めた時には、しめた!と思ったわ。


 婚約者の姿が見えると同時に殿下に話しかけ(連絡事項だけど)、殿下が婚約者に微笑むと、私の方に微笑んで見える様な位置に移動し、


「まあ、そうですの?」


 と、相槌をうって声を立てて笑い、あたかも会話が弾んでいる様に見せかけた。


 弱みを握った何人かの生徒を使って、


『殿下は、セリーナ嬢と浮気していて、グレイス嬢は、近く、婚約破棄されるらしい』


 と言う噂をでっち上げて、流させた。


 夏休みを終えた時には、再度チャンスが訪れた。グレイスに出来た義弟が、Dクラスのおバカな男達に絡まれていたのを、見かけた。

 いいこと、考えた!


「ねえ、貴方みたいな、いい男の方が、あんな女の子みたいなチビよりも公爵に向いてるんじゃない?

 グレイス嬢は、婚約破棄されて傷物になるんだから、貴方が貰ってあげればいいのよ。

 貴方みたいな、いい男なら、グレイス様だって、喜んで結婚するわよ?」


 男と同じくDクラスの令嬢の弱みを握って、焚きつけさせた。


 ふふふん。細工は流流、仕上げをどうぞ御覧じろ、だわ。

 あはははは!




 もう少しだったのに。

 Dクラスの男達に絡まれた義弟を助けに入ったグレイス嬢を、殿下が従者と助けだし、


 それを見ているしか出来なかった私が臍を噛んでいると


 視界が暗くなった。


 誰かが私の目を塞ぎ、口を塞ぐと、背後からのし掛かってきた。


 耳元で、密かな声がする。


 スゴく、ヤバい気がする。


 逃げろ、逃げろ、逃げろ!


 だが、身体が、動かない……。


「これはこれは、優秀なお嬢さん。貴女をずっと観てきました。実に素晴らしい。貴女は、私にピッタリだ」


 私は、目隠しは外されたけれど、口を塞がれたまま、後ろを向かされガシッと腰を掴まれた。


 逃げられない。


 そこにいたのは、クラスメイトの男。名前は、知らない。いつもひっそり誰かの会話に混ざってるが、誰ともスゴく仲が良い訳じゃない。そんな人。

 中肉中背。普通の顔で、普通の茶色の髪。普通の、普通の、普通の、普通の。

 あれ?どんな顔だっけ?

 あれ?どんな声だっけ?

 どんな目の色だった?


 彼は、ニヤリと笑った。

 そして、私を肩に担ぐと、走り出した。


 音もなく、誰にも気付かれずに、素早く、ひっそりと。




 



「私を、何処に連れて行く気?」


「ちょっと、空き教室まで」


「私をどうする気なの?」


「監禁かな?取り合えず」





 あ、暗い話じゃないんで、お気になさらず。

 次は、ラストに出てきた方のお話です。


 5話じゃ終われない~。もう2話、引っ張ります。

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