浮気者の王子よりも、義弟が可愛い
読みに来て下さって、ありがとうございます。
今日も、元気に更新です。
今回は、グレイス視点です。
グレイス side
昼休み。不逞の輩は、この時とばかり、サイラスを狙って集ってくるに違いない。私は、こっそり、いつもサイラスがお弁当を食べている裏庭のベンチに向かった。
ここの植え込みは、人が1人入れる丁度いいスペースがあるのだ。
昨日、折ってしまった枝は、手に持っておけば良いわよね。
ほら、サイラスが1人ポツンとベンチに座って昼食を食べている。
ううっ、寂しそうなサイラスを見ると、駆け出して行って一緒にお弁当を食べてあげたいけど、ここは、我慢。我慢よ、グレイス!
頑張れ、お義姉様!よ。
夏休みのある日、叔父の家から、サイラスがやって来た。
「グレイスは、今まで会ったことがなかったけど、お前の2歳下の従兄弟のサイラスだよ。今日から、お前の義弟になる。家を継いでもらう予定だ」
弟!?お・と・う・と~!!
初めての兄弟。
1人っ子だった私に、ついに弟がっ!しかも、美少年!
テンションが上がり過ぎた私は、サイラスに抱きつき、はっ!と我に返って少し離れて彼の両手を握りしめた。
「お姉様って、呼んで頂戴ね。お姉様よ」
「お、お義姉様?」
緊張した小さな声が、可愛い。
声変わりは、まだなのね。私よりも、少し背が低いかしら。でも、きっと、すぐに追い越されるわね。
「はっ!少しやつれてるんじゃないかしら」
「!!」
「大丈夫よ。私が、料理長に掛け合って、栄養満点な料理を作ってもらうわね。サイラスは、成長期なんだから、美味しいお料理をたっぷり食べて、しっかり眠るのよ」
夏休みの残りは、何故か少なすぎてボロボロだったサイラスの服を新調しに町のブティックに行ったり、サイラスが学園に転入するのに必要な物を買いに行ったり、勉強を教えてやったり、とにかくサイラスを連れ回し、構い倒した。
全てを忘れて。
「そう言えば、殿下が視察から帰られたそうだね」
誰ですか~?それ。
「さあ?私、サイラスの事で、忙しいので。殿下は、学園でも同級生の子爵令嬢にご執心ですし、婚約破棄との噂も、ありますわね」
可愛いサイラスを愛でるのに忙しいので、殿下なんか目じゃありません~。
「あ、大丈夫よ、サイラス。公爵家は、ちゃんとサイラスに継いでもらうからね。傷物の私は、領地に行くなり、誰かの後妻になるなり」
私が、そう言うと、サイラスが私の両手を握りしめ、目を潤ませて、じっと私の顔を見た。
私、泣いてないわよね。ちょっと泣きそうだけど、泣いてないから。
「お義姉様、その時は、お家に居てください。むしろ、殿下なんか捨てて、ここに一緒に居てください」
私、きっと、意地悪な小姑になってしまうわ……。
はっ!
可愛いサイラスを回想して噛み締めている場合じゃないわ。
1、2、3、4、5人。赤、青、黄、緑にピンク。よくぞ、ここまで色んな髪色を揃えたものね。不逞の輩は、ひょっとしてサイラスの薄黄色の綺麗な髪色が羨ましいのかしら。
初日から筆記具は、ボキボキに折られてくるし、教科書はボロボロ、制服は濡れ鼠。心配して見張ってれば、案の定!
サイラスは、食べていたお弁当のサンドイッチを払い捨てられ、襟首を掴んで立たされた。
あの黄色頭が、敵のボスなのね!
「お前ばかり、いい思いしやがって。みそっかすのチビのお前より、俺の方が、良いに決まってんだろ!公爵様に言えよ。自分には荷が重すぎますってな!」
黄色頭が、サイラスに殴りかかった。
今よ!グレイス!今こそ立ち上がる時!あら、ちょっとお尻が、引っ掛かった?
えいっ!
「見ましたわよ!よくも、私の可愛い義弟を虐めてくれましたわね、貴方達!」
勢い良く立ちあがった私は、右手で、不逞の輩達を指差した!
ビシッ!
あー、枝持ったままだったわね。
「サイラス、お義姉様が来たから、もう大丈夫よ!」
「……お義姉様、その葉っぱワサワサの枝は、どうしたんですか?」
「これは!ちょっとした事故よ」
次は、誰の視点にしようかな。
よろしければ、連載中の『元魔王な令嬢は、てるてるぼうずを作る』も、読んで頂ければ、嬉しいです。




