第099話 超えてはいけない線
誤字脱字や文章の下手さについてはご了承下さい。投稿予定時間になるべく投稿できるようにします。
よければ、評価とブクマ等していただければ幸いです。
「ヤッホーみんなー!ササミちゃんだよー!」
学校の時と違って明るい雰囲気で語り出した。
ネット上では内なる自分を曝け出せると言うから、本当の佐々木先輩はこっちなのだろう。
「今日はゲーム実況じゃなくて雑談枠にしようかなと思ってるの。」
ゲーム実況でもやることは変わらないが、雑談配信になったのは有難い。
疑問を持たれることなく、質問を送れるからな。
しかし、この計画には誤算が一つあった。
それはササミちゃんのコメント欄が活発だったと言うこと。
配信を見ている人は五百人前後なのだが、コメントは凄まじい速さで流れている。
そうなるとコメントが読んでもらえるかどうかが問題だ。
最終手段としてはお金を払ってコメントを強調表示することも出来る。
金欠高校生としてはなるべくその方法は利用したくないけど。
これが部活の経費で落ちるなら話は変わって来るが、きっとそうなることはない。
「さてさて、コメントはっと、昨日発売のCD良かったね。ありがとー!初めてシングル出したから緊張したけど、喜んでもらえて嬉しいな。」
ネットで調べてみると確かにシングルを販売している。
このチャンネル登録者数で曲を出すというのは相当な試みだ。
リスナー以外が買う可能性はお世辞にも高いと言えない。
ほとんどチャンネル登録者数に比例した売り上げになると思って良いだろう。
「なんとお陰様で増産が決まったんだ!どれだけ感謝しても足りないよ!」
俺の予想は外れていたらしい。
何枚用意してたかにもよるが、増産が決まったということはかなりの人気があったということになる。
学校ではいじめられているかも知れないが、一歩外に出てみれば有名人。
生徒会長には別の意味でも大変な道になるな。
「あの歌恋愛ソングだったけど好きな人いるの?いやいや、違うよー。歌詞は作ってもらったから私は好きな人とかいないよ。強いて言うなら、リスナーのみんなが好きかな。」
あざとい発言に大盛り上がりのコメント欄だが、俺達にも嬉しい情報があった。
好きな人はいないということだ。
配信をしている手前いると言えない可能性もあるが、その言葉を信じる限りでは生徒会長にもチャンスはある。
ここは恋愛の話が出た今のうちに質問するか。
一応、ネットマナーとして連投しないようには気をつけて。
「好きなタイプはどんな感じ?んー、正義感のある人?」
疑問形で返って来たので確定ではないが、正義感のある人という条件に生徒会長は当てはまると思う。
もう少し深掘りしたい所だが、他のコメントを読み始めて流れてしまった。
また、恋愛の話に戻ってくるのはいつになるやら。
とりあえず、趣味嗜好を探る方にシフトする事に。
メッセージでその旨を伝えるとすぐに華が動く。
「そうそう、この服新しく買ったばっかりなの!可愛いでしょ!いや、街で着ると視線が怖いから、普段は家の中でしか着ないんだけどね。」
服の話を振ったみたいだ。
イメージとは違う服だったので、キャラ付けの為かと思ったが本来はこういった服を好んでいるのか。
直接的なヒントにはならないが、付き合いたいなら相手の趣味を肯定しなければならない。
生徒会長は、趣味ぐらいで人を嫌うような人ではないと思うけど。
そろそろ次の質問に移りたい。
どんな情報が欲しいのか自分でも分かってはいないが、核心を突くような質問を。
考えれば考える程思い付かない。
時間は有限。
配信が始まって一時間以上経った今、どのタイミングで配信が終了してもおかしくない。
「最後になんかコメントに答えて終わりにしようかな。」
次が最後か。
質問なんて一個も思い付いてないが、咄嗟にコメントを書く。
「次の雑談枠いつですか。うーん、当分は無いかなー。やりたいゲームがあるから、それするかも。」
俺のコメントが読まれず。
配信が終了した後に、三人で気付いた事を共有する。
大体は気付いた事は同じだったが、女子ならではの観点からの意見もあった。
配信は夜遅くだったので、俺がまとめて明日糸井先輩に報告しよう。
次の日、部室へ行くと生徒会長がいた。
なんでいるんだと思ったが、話を聞くと糸井先輩に呼ばれたらしい。
相談者を呼んだということは、何か進展があったからに他ならない。
昨日は夜まで頑張ってみたけど、一足遅かったか。
「で、本人は?というか、なんで他の部員いないんですか?」
「それは私が聞きたいね。来いと言われて、時間通りに来たのに誰もいないとはな。私は糸井を高く評価していたが、勘違いだったのか?かれこれ十分は待っている。」
「何かあったとしか考えられないですね。俺も糸井先輩は約束を蔑ろにする人だとは思えないので。」
もしかすると、携帯に連絡が来ているかも知れないと思い開くがそれも無かった。
そっとポケットに仕舞おうとすると丁度電話が掛かってくる。
通知には糸井先輩の名前が表示されていた。
相談者と二人きりの状況は余りにも気不味いので、すぐに電話を取り事情を説明してもらうことに。
『あ、出たね佐倉くん!今、部室に生徒会長はいるかな?いるなら急いで図書室に来て欲しいんだけど。』
声のトーンからして糸井先輩も想定していなかったことが起きているようだ。
俺に今出来るのは糸井先輩の指示に従うこと。
「生徒会長、糸井先輩の方で何やら問題が発生したようなので図書室に行きましょう。」
「図書室・・・!!」
どうやら図書室と聞いて察したらしい。
俺も詳しく話を聞いた訳ではないが、多分佐々木先輩絡みのトラブルだ。
そうなれば、生徒会長も話が変わってくる。
自分が待たされたとかはどうでも良くて、佐々木先輩の身に何かあったのではないかと心配だろう。
「急ぐぞ!」
勢い良く飛び出して図書室まで走って行く。
あまりに速すぎて追いつかない。
好きな人の事になるとやはり人は全力が出せるようだ。
図書室に着くと扉の前で糸井先輩がいた。
何が起こっているのか聞こうと思い近くに行くが、話を聞くよりも前に生徒会長が図書室へ入ってしまう。
「あっ、ちょっと待って!」
糸井先輩が止めに入る。
佐々木先輩がいじめられているなら、一刻も早く止めるべきなのに何故だ。
理由は扉を開けたその先にあった。
「付き合ってください!」
目の前ではいじめではなく、告白のワンシーンが。
丁度、告白と入るタイミングが重なってしまい気不味い空気になる。
あんなに焦った感じで糸井先輩が言うから勘違いしてしまった。
まさか、佐々木先輩が他の生徒に告白されているとは。
当の本人である佐々木先輩は、第三者に告白されているところを見られて恥ずかしかったのか逃げるようにしてその場を去った。
「うわー、最悪だよ。」
この男子生徒の言い分は最もだ。
状況だけ見れば、生徒会長に告白を邪魔されたという事実しか残らないのだから。
「すまない。しかし、「まぁ、良いんけどね。俺、本当に好きだった訳じゃないし。これで罰ゲームは終わりってことで良いか。」
刹那、響き渡るのは鈍い衝撃と机や椅子が倒れる音。
生徒会長などという肩書きは捨て去って、一人の男として殴らずにはいられなかったと後に語る。
ご覧いただきありがとうございました!
宜しければブックマーク、いいねお願いいたします。
毎日22時から23時半投稿予定!




