第082話 それは勝つしかないでしょ
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「と言う事で、残り一つのアイテムは集まらなかったのですが、かなりアイテムは揃えてあります。」
「ありがとうございました。今からアイテムを探してみようと思います。お世話になりました。」
どうやら俺達が介入出来るのもここまでみたいだ。
後は、本人がどのようなプランを立てるか次第。
結果は本人の口から聞かせてもらえるのだろうか。
もしも、聞かせてもらえなかったとしても、風の噂でいいので耳にしたい。
「さてさて、また暇になってしまった。」
「今週は一件しか相談来てないわ。どうして、こんなに少ないのか。」
「藍連祭が終わったばかりだからね。カップルとかが増えて、落ち着いてる時期なんだよきっと。」
確かに一理ある。
いくら学生と言えど、三六五日恋愛に現を抜かしている訳ではない。
特別な日が近くなければ相談者の数もこんなものだろう。
暇になった時間は各自好きなことをして良いので、携帯を取り出してネットサーフィンを始める。
何か目的がある訳じゃないけど、ネットとは不思議な物で見ているだけで時間が潰せるから。
元々、一人の時間が多い俺にとっては必要不可欠なアイテムだった。
今では携帯が無くとも、友達と雑談をしていれば楽しめるから有難い。
「こんにちはー!」
ノックをせずに勢いよく入って来たのは、ハイラ先生だった。
一瞬、何者かと驚いたがハイラ先生なら仕方ない。
「楽しそうですねハイラ先生。何か良い事でもありましたか?」
「良くぞ聞いてくれましたね佐倉くん!とても良いニュースを持って来ましたよ皆さん!」
とても良いニュース。
そんな期待させるような言い方をした時は、決まって残念なパターンが多い。
心の中ではそこまで期待せずに話を聞いておこう。
「ついに今年も始まるんですね、アレが。」
「察しが良いね七瀬さん。そうですよ、ついに始まるんです。」
七瀬先輩や糸井先輩は、ハイラ先生が何の事を言いたいのか理解しているようだ。
そうなるとどんな話なのか気になって来た。
しかし、ハイラ先生は勿体振る。
「始まりますよ。部費争奪部活動対抗戦が!」
「「「部費争奪部活動対抗戦?」」」
一年生組は全く聞いた事のないイベントに理解が追いつかない。
きっと内容はイベントの名前が全てなのだろうけど、学校側がそんなイベント用意して良いのか?
いや、この学校ならあり得るか。
「毎年やってるイベントなんだよ。毎年、校長のポケットマネーから出されてるって噂なんだ。実際の所はどうなのか、誰も知らないんだけどね。」
「・・・大変、下世話な話になるんですけどおいくらほどですか。」
「そんなの聞く?普通、イベントの内容とか聞くって。」
「いや、華だって気になるだろ。どうするよ五万とかだったら。」
「ゲーム買いましょうよ!ゲーム!みんなで暇な時する用の。」
「テレビと合わせて五万がきついかもな。どっちも旧型とかならいけるか?」
部費の話となるとテンションが上がる。
急に浮いて出た金なら、何に使っても問題ないはずだ。
決定権は糸井先輩にあるとは言え、提案するのは許されるだろうから、今のうちに考えておかないと。
「金額は何故か一定じゃないらしいんだけど、一〜三万円分だね。」
「えっ、そんなに。ここは五千円かいみたいなノリかと思ってました。」
三万円あれば、出来ることの幅も大きい。
しかし、今考える事全て優勝したらの話だ。
「詳しく聞かせてもらいましょうか。部活動対抗戦の事を。」
「いつにも増して真剣な顔だね。佐倉くん。」
「お金絡んでますから。」
「じゃあ、説明していこうか。」
こうして、ハイラ先生からの説明が始まった。
糸井先輩が説明しようとしたのだけど、ここは私に任せて欲しいとの事だったので任せる流れに。
普段、部活に顔を出せる機会は多くないので、出来るタイミングで生徒達と交流を深めたいのだろう。
「ーーー。ざっとこんな感じですね。」
一分くらいで分かるよう、簡潔にまとめてくれていたので、一回で理解する事が出来た。
この要領の良さと説明の上手さを見ていると、教師としてのハイラ先生なのだと分かる。
「運動部に有利な対決が一つ、文化部に有利な対決が一つ、シークレット枠の対決が一つの計三つの勝負があるって事ですね。」
「その中でもシークレットは毎年内容が違うので予測は困難ということか。」
「ちなみに人数での差で有利不利が出ないようになっているから安心してね。」
どの部活にもチャンスがあるのか。
この学校にはあまりに多くの部活が存在する。
中にはそんな部活あったの?と言いたくなるようなものまで。
つまり、ライバルは多いということになる。
「ちなみに参考までに去年の勝者は?」
「去年は確か吹奏楽部だったわ。シークレットは、イントロクイズよ。」
文化部でも勝てるのか。
大体、運動部が勝つような仕組みになっているのかと思っていた。
「楽しみになって来たけど、今から練習出来ることもないですよね。」
「そこが難しい所だよね。前から準備出来ないように対決する内容は当日にしか教えてもらえないから。」
「学校側としても、どれだけ日々の取り組みに励んでいるか見たいんじゃないかしら。」
「う、うわぁ。ウチ、絶対足引っ張っちゃいますよ。」
「シークレットが、ゲーム系だったら任せたぞ。」
「それは任せてください。優勝決定ですよ。」
いきなり舞い込んできたイベントに、俺達は盛り上がりを見せている。
やっぱり、いつもの日常よりも何か目標が出来た方が刺激的で面白い。
「盛り上がってる所悪いけど、部費が手入ってもゲームは買わないわよ。」
「えぇー!なんでですか!」
「七瀬先輩、ケチケチしたらダメですよ。」
「僕も最近ゲームの面白さに気付けたのに。」
「部長の貴方も一緒になってどうするの。この部活も立派な学校に認められた活動なんですから、何にお金を使ったのかは学校側にバレバレ。そんな中で、ゲーム部じゃないのにゲーム買ったら怒られるでしょ。」
最も過ぎる正論と反論を許さない圧倒感に黙り込む。
こうなったら、俺達から声を掛ける事は出来ないので、チラッと糸井先輩に助けを求める。
頼られたら動かざるを得ないのが糸井先輩。
空気の流れを変えてくれる。
「じゃあ、何買うか考えようよ!」
「ゲームで盛り上がった俺が言うのも何ですが、勝つと決まった訳じゃないのにですか?」
「勝つってのは願った者にしか来ないんだよ。負けた時の事なんて考えない、考えない。」
中々良い事を言うんだな。
普段は何も考えていないように思える時もあるのだけど、たまに核心を突くから人として尊敬したくなる。
「アタシから提案あるんですけど良いですか?」
「どうぞ、華ちゃん。」
「ホワイトボード欲しいです。」
「おぉー、すげーまともなのが出た。」
「佐倉くん、普通はこういうのを提案するのよ。」
まぁ、現実的な判断をすればそうだよな。
それにこの部活とホワイトボードの相性は良い。
色々と情報をまとめたり、伝言なんかを書いても良いからな。
ホワイトボードを超える案を考えたが全く出てこない。
満場一致でホワイトボードという真面目な結果に落ち着いた。
もっとふざけた提案をすれば良かったかなと思ったが、七瀬先輩に怒られそうなので良しとしよう。
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