第077話 得意分野にはノリノリで
誤字脱字や文章の下手さについてはご了承下さい。投稿予定時間になるべく投稿できるようにします。
よければ、評価とブクマ等していただければ幸いです。
「だから、今から部活があるから無理だって。」
「やだやだ、ボクは今から陽太と遊ぶの。」
ここでいくら駄々を捏ねようとも、俺の意志が変わる事はない。
久しぶりの部活なのだからな。
多分、文化祭が終わったばかりで相談者は少ないだろうけど。
それでも、騒がしい翼と放課後を過ごすよりマシだ。
翼にはそろそろ落ち着きを取り戻して欲しいという意味も込めて、一人にさせる時間が必要だと思う。
悲しがる演技をしている翼を尻目に部室棟へ。
文化祭期間は部活が出来なかった所が多かったからか、今日は一段と部室棟が賑わっている様に思える。
ちょっと遅れてしまったので、みんな部室に集まってしまっているだろうか。
そんな心配を胸に階段を上がる。
部室前に着くと一人の生徒が、扉前をウロウロしていた。
相談者だと思うのだけど、閉ざされた扉の奥へ進むのが恐いのだろうか。
気持ちは分からないでもない。
なので、俺が声を掛けてあげて中に案内してやろう。
いかにも出来る部員の動きって感じがするだろ?
「相談者ですか?」
「うぉっ!ビックリしたー!落ち着け僕。ここは何事もなかった様に。そ、そ、そ、そうですけど。」
なるほど。一瞬で理解した。
この生徒は、人見知りって奴なのだろう。
初対面との生徒と話すのが異常なまでに緊張するのかもな。
「中に入って話を聞きますので、どうぞ。」
扉を開けて、中に入るよう案内する。
今日はハイラ先生も含め全員揃っているらしく、彼にとっては好ましくない状態とも言えるな。
「し、し、失礼します。」
緊張で上擦った声。
恐る恐る入るの仕草は、今から怒られに行く子供の様だ。
「ようこそ恋愛支援部に!君はどんな相談があるよかな?」
「えっ、あっ。・・・その。」
「もしも、上手く言えない様であるなら、この質問票を埋めていってくれれば、会話も少なく相談を受けれるわ。」
さっと紙を一枚手渡す七瀬先輩。
この状況をいち早く理解したのだろう。
会話が少なくて済むならと、相談者も手渡せた紙を受け取る。
チラッと見えた質問票は、病院の問診票並の出来栄えだった。
ありとあらゆる事態を想定して、事前にこれを使っていたとするなら七瀬先輩恐るべし。
「これ、また書いたから届けに来ても良いですか?」
「いつでも待ってますよ。」
見られながら書くというのも、中々の恥ずかしさがある様だ。
そのまま帰って行ってしまった。
記入するにしても五分と掛からない物のはずなので、今日中に届けに来る可能性も高い。
それにしても依頼内容が気になるな。
失礼かも知れないが恋愛に積極的なタイプにも見えない。
もしも、意中の人物がいるとするならどこで知り合ったのか知りたくもなる。
相談者がいなくなった事によって、暇な時間が出来た。
文化祭の時期も忙しいとは聞いていたのだけど、殆ど糸井先輩と七瀬先輩に任せきりになってしまったので、今日こそは活躍したかったのだけど。
能動的動くことの出来ない部活なので、そこは運に身を任せるのみ。
数分後、ノックが聞こえる。
これは新しい相談者か、それともさっきの生徒か。
開いた扉から現れたのは、見たことのあるシルエット。
見たことのあるシルエットではあるのだけど、先程の相談者ではない。
「ハロー、皆さんこんにちはー!陽太に会いに来ました!」
「おい、相談者とかじゃないだろ翼は。」
「そんなに毛嫌いしなくても良いじゃないか。それに相談ならあるよ。」
「豊中翼くんだね。相談があるということなら大歓迎だよ!」
「あれ?ボク自己紹介しました?」
「糸井先輩はそういう人だから気にするな。」
それにしても翼が相談か。
やっと俺から離れる決断をしてくれたのだと思うと嬉しい限りだ。
育てた子供を嫁に出す父親の気分。
いや、それだとあんまり歓迎してないか?
「相談内容は、そこにいる陽太がボクのプロポーズを曖昧にするんです。」
「えっ、佐倉くんってそんな酷い人だったの?」
「ダメよ佐倉くん、女の子にはきちんと正面から向き合わないと。」
「だってさ陽太。これだ世論だ!」
「確かに陽太くんは女の子と向き合うべきかも。」
えっ、なんで凛までそっち側なんだよ。
あまりの異質な空気に飲まれ始めたか。
このまま翼のペースに持っていかれれば、どこで休憩を取れば良い。
意地でもこの空間だけは守り通したい。
「陽太困ってるからそこまでしてあげな。後喧嘩売りたい訳じゃないけど、好き好き言い過ぎ言葉の重みないよ?」
「そうだそうだ。華が言った通りだぞ。俺のことを想ってくれるなら尚更、静かにしてくれよ。」
「ちぇー、ボクなりの愛情表現なのに。まぁ、そこまで嫌って言うならアプローチの方法変えるけどさ。」
「どうして豊中くんは、佐倉くんの事が好きなんだい?エピソードとかあるの?」
良いことを言ってくれた糸井先輩。
一応、別れ際の話は聞いたけど、それだけで好きになるとは思えない。
もしかすると、もっと前からの出来事がキッカケで。
「エピソードは秘密です。言ったら面白くないというか。あ、でも一番好きな所は顔ですね!」
わーお、まさかの顔専かよ。
今まで顔が好きなんて言われたことないぞ。
「今日一日迷惑掛けたのはごめんね陽太。テンション上がってしまって。だって、君と一緒の学校に通えるんだよ!」
「ふむふむ、これは実に興味深い恋物語だね。是非とも近くで研究させて欲しい。」
「気持ち悪いことを後輩に言わないの。」
糸井先輩が明るい雰囲気にしてくれたので助かる。
ここまで素直な気持ちをぶつけられても俺はただ逃げてしまうだけだから。
もしかしたら、糸井先輩も俺がこういう雰囲気を苦手だと分かっていて。
なんて、ただの好奇心からだろうな。
「部活も一緒だったら、毎日楽しいんだろうけど生憎陸上部に入るって約束してて。」
「初日から部活まで決めたのか。もっと見学とかすれば良いのに。」
「良いの良いの。陸上にするって最初から決めてたから。」
「運動得意なのは素直に尊敬できますね。」
雑談の途中ではあるが、ここでノックが。
七瀬先輩が入室を促すと恐る恐る先程の相談者が入る。
「おっと、これ以上皆さんのお邪魔みたいですね。ボクは、陸上部の見学にでも行こうかな。あ、それと明日の昼休みは空けておいてよ陽太。」
最後に伝えたい事を伝えて、去っていく。
何が起こるか分からない不安もあるが、今日みたいに目立つような行動は控えてくれると信じたい。
「これ書いて来ました。」
どれどれ。
糸井先輩に渡された紙をみんなで覗き込む形になる。
一枚の紙をみんなで見ているので、ぎゅうぎゅう詰めにならなくてはいけないがそれは我慢だ。
紙を見て真っ先に反応したのは、俺と凛。
遅れて完全に理解した糸井先輩が、相談内容をまとめて問いかける。
「えーっと、泉田透くんでしたね。まとめると、ネットゲームで知り合った女の子に恋してるってことで良いかな?それで告白までしたいと。」
「違いますよ糸井先輩!大人気オンラインゲーム・ ナンバーズセブンですよ!」
かなり興奮している凛であるが、それも仕方ない。
オタクの間で話題沸騰中のゲームだからな。
実際に異世界で過ごしているかのような体験が出来ると話題だ。
俺もこっそりプレイしていたりする。
そこで知り合った女の子を好きになったのか。
ゲーム内とリアルの世界は色々とかけ離れている。
この恋愛の結末が良い方向に進むことを願いたい。
ご覧いただきありがとうございました!
宜しければブックマーク、いいねお願いいたします。
毎日22時から23時半投稿予定!




