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そのお悩み、”恋愛支援部”が解決します  作者: 風野唄


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第048話 視線を集める恐怖

誤字脱字や文章の下手さについてはご了承下さい。投稿予定時間になるべく投稿できるようにします。

よければ、評価とブクマ等していただければ幸いです。

俺は反論の機会すら与えられないのか。

そもそもやる気のないのに、良い劇を作り上げられる訳がない。

いつまでも心中で愚痴を溢す。

そうしてなければ、平常心を保てそうにないからだ。


「さて、次はベル役を決めたいと思います。」


「はーい!推薦します!」


王子役に決まった御城がまたも声を大にして発言する。

声が大きい奴の意見が通るのは学校の中だけだが、学校の中では何よりも効果を発揮するのだ。

その証拠に、他の生徒は静かに御城の言葉に耳を傾けているのだから。

例え、可笑しなことを言っていても反論出来るのはカースト上位の奴だけ。


「推薦って誰ですか?」


「星海ちゃんがベル役して欲しいでーす。」


「星海さんですか?」


意外な名前が挙げられた事に委員長も他の生徒も困惑する。

そして、何より困惑しているのは星海本人だ。

御城と深い関わりがあったようにも見えないので、サプライズ指名ということだろう。


一気にクラスメイトの視線が集まったことで萎縮してしまっているのは、誰の目で見ても明らか。

助け舟を出してやりたいところだが、上手い理由が思い付かない。


「あー、待った待った。それは厳しいんじゃない?」


ここで待ったを掛けたのは真だった。

普段は良い加減な奴に見えるが、根は俺の何十倍も良い奴だ。

今回動いた理由も凛が困っていたからに相違ない。

簡単に見えて行動に移すのは難しいことは言うまでもなく。

俺は真のそういう部分を見習わなければならないとつくづく思う。


「厳しいってどういうことだよ。」


意見を否定されたことが気に食わなかったのか少し変えのトーンは低い。

冷静に考えば何故厳しいのかなんて分かることだ。


「本人は人前に立つのが得意じゃないからだ。」


「勝手に決めつけるなよ。本人だってやりたいかも知れないだろ。」


二人の論争がヒートアップすればするほど凛の肩身は狭くなる。

教室からいち早く飛び出してしまいたいほどに。

肯定も否定も出来なくなってた彼女は、ただ机の一点を見るばかり。


「はいはい、喧嘩すんなよ。クラスの揉め事は俺のせいになんだから。」


端っこでパイプ椅子に座っていたから担任が立ち上がる。

井上先生にしては、良いタイミングだったのではないだろうか。

我関せずを貫き通す、時代に逆行した教師だと思っていたが、最後の最後は動くんだな。


「二人の意見よりも先に聞くべき相手がいるだろ。」


「そうですね先生。柊くんと御城くんは大人しくしてもらって、星海さんはどうしてたいですか?」


「う、ウチは・・・。」


「やりたくないならそー言えばー?時間使って迷惑なんだけど。」


凛を刺したのは第三の刺客。

これまたクラスカーストトップで、ギャルの権化みたいな奴だ。

名前は浅間(あさま)だったはず。


この言葉は凛の逃げ道を奪っていく。

勝手に話題に挙げられただけなのに、ここで断れば妙な罪悪感を覚えてしまうだろう。


「・・・やりま・・す。やります。」


「本当に大丈夫?嫌なら無理にとは。」


「いえ、大丈夫です。」


その返事のトーンは大丈夫ではないだろ。

否定することを諦めた人の返事だ。

そして、凛はまだ前を向いていない。

膝の上にある手が強く握り込まれているのが見えた。


念の為携帯を取り出して、メッセージを送る。

引き受けて大丈夫だったのか確認しておく。

返信で本当は嫌だったと書かれていれば、後でこそっと担任に言えば良い。

いくら無関心な担任であっても、本人が嫌がっているのであれば無理に役者をさせないはずだ。


『良いんです、演技するのはちょっとだけ楽しそうですし。

人前に立つのは緊張しますけど、陽太さんもいるから大丈夫ですよね?』


『なんかあったらフォローするからそこは安心して欲しい。』


俺にも心配させない為についた嘘か。

それとも、周りに押しつぶされて出なかった本心か。

このクラスでは一番近くにいるであろう俺にも全く分からないな。

どちらにせよ、覚悟を決めた凛の背中を見守るのが俺に出来る最善の選択肢。


この後も役決めは進んでいく。

だけど、俺のやること決まってるし、聞いておく必要なんてないだろ。

時間の経過だけが気になって、時計の針ばかり見てしまう。


・・・いや、なんで俺の時だけ多数決だったの?


「さて、これだけ決めれば問題ないかな。」


「良くやった学級委員長。今日中にここまで決まれば、後はスムーズに進められるだろうな。あー、後今回は役決めだけでもちょっとしたトラブルがあったけど、今後は無いようにしろよ。」


先生らしく注意しているようにも見えるが、簡単に言えば間に入るのが面倒だから喧嘩すんなよってことだ。

イベントの裏では必ず揉め事というのが付き纏う。

学生特有の悩みが多いからこそ揉め事を起こすのに、回避しろという方が難しいだろ。


「あ、役者とかじゃない生徒も台本はしっかり覚えておくようにしてね。当日欠席の子が出ても変われるように。」


真面目な委員長らしい補足。

クラスメイトは一様に返事をするが、クラスのどれほどが真摯に受け止めているか。

台本が完成していないから、なんとも言えないが恐らく長さはそれなりにあるはず。

それをわざわざ役者でもないのに、覚える奴なんて存在しない・・・と思ってる。


「それじゃあ、今日はこの後勝手に帰って良いから。」


最後の授業だったこともあり、適当に解散ということになった。

帰っても良いらしいが、ほとんどの生徒はダラダラと文化祭について話している。

文化祭の話とは言っても、中身がある話ではなく何が楽しみとか、去年はどうだったとかそういう話だ。


放課後になったのだから、久しぶりに部活でも顔を出そう。

廊下へ出ようとすると委員長に声を掛けられる。


「あ、待ってください佐倉くん。出来れば今から時間を設けて役者同士で自己紹介とか軽くしたいんですけど。」


今から自己紹介をするのか。

これは誰の思い付きか分からないけど、それは必要のないこと。

文化祭という一大イベントで気持ちが舞い上がるのも分かるが今は放課後。

それも何をするか決まっただけの一日目だ。


日付が進めば残らないといけないのも理解出来るけど、今日は見逃して欲しい。


「今日は部活優先したいからまた次の文化祭準備の時で。」


「あ、そうですよね。テスト期間中で部活無かったから久しぶりだし。みんなにも次でしようって伝えときますよ。」


話の分かる人で助かった。

空気読めねーなとか言われてたらどうしようかと。

委員長の性格的にそんなこと言う人じゃないだろうけど、人は裏にどんな性格を秘めているのか分からないと勉強しているからな。


「待ってくださいよ陽太さん!ウチも部活行きます。」


「よう凛。文化祭、なんか不具合にも役者組に加わった二人だけど頑張ろうな。」


「まさか心配してくれてましたか?でも、安心してください。陽太さんも一緒にやるんだし、なんとかなりますよ。」


「俺を頼りにされても困るな。出来る限り助けようと思うけど。」


「いーえ、絶対頼りにしてますからねー!」


本人は前向きに文化祭のことを捉えているらしい。

俺にもその前向きさが欲しかった。


文化祭は何が待ち受けているのか。

今から楽しみのような、心配のような。

ご覧いただきありがとうございました!

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毎日22時から23時半投稿予定!

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