第043話 テスト最終日は解放感がある
誤字脱字や文章の下手さについてはご了承下さい。投稿予定時間になるべく投稿できるようにします。
よければ、評価とブクマ等していただければ幸いです。
テスト最終日。
笑っても泣いて今日で結果が決まる。
終わったテストの事を悔やんでいる暇など無く、ただひたすらに今日の科目の勉強をするのみ。
勉強に集中したい気持ちは山々だが、教室は最終日ということもあって騒がしい。
どこへ遊びに行くかとか、赤点を取っていそうでやばいとかばかり。
そんなのはテストがすべて終わってからするものだ。
気の緩みで足元をすくわれなければ良いけどな。
さて、教科書を開いてと。
「おいおい、最終日なんだか勉強したって意味ないぜ!」
「毎日俺に話し掛けないと気が済まないのか?」
「そんな事言うなよ。友達ってのは大切にするもんだぜ!」
「そうですよ陽太さん。あまり柊さんをいじめたら可哀想ですよ。」
今日は二人揃ってのご登場か。
開いた教科書はそっと閉じて二人の会話に専念する。
ここまで来たらなるようになれの精神でテストに挑めば良い。
勉強だって、昨日の一夜漬けではなく前々からやって来たのだから。
昨日のこともあってか凛にとって真は話やすい存在に変わったのだろう。
友達作りに難航していた彼女だったが、ここ最近は友達と呼べる存在が増えているような気がする。
これも良い巡り合わせが合ったということか。
「それにテストが終わればすぐに文化祭だぞ!高校生活でランキング上位のイベントの!」
「どこ調べのランキングだよ。言わんとしてることは分かるけど。高校生の文化祭ってちょっと面白そうだし。」
「ゲームセンターとかやったら大盛り上がりですよ!なんの筐体をレンタルしましょうか。」
「さ、流石にそれは出来ないかもね。ほら、一年の出し物は演劇って決まってるらしいからさ。」
毎度のことながら、この学校の情報をよく知っているもんだ。
ギャルゲとかなら、情報をくれる主人公の友人役のポジションがピッタリくる。
女好きそうに見えて、意外にも一途なところとかも友人役にピッタリだ。
「演劇ですか。ゲームのシナリオとか好きなので才能があったりして。」
「俺は完全に裏方希望だな。」
「出た出た。陽太、学生の内しかこういう経験も出来なくなるんだからたまにはグイグイ前に出てみたら良いのに。」
その考えも自分の中で浮かんだことはある。
しかし、考えて欲しい。
友達の少ない俺が文化祭という全生徒の注目する大舞台で、前に出てても話題にすら上がらない。
いや、上がりはするがあまり気分の良いものじゃない可能性が高いだろう。
「ウチも人前に立つこと考えるとやっぱり裏方になるのかもなぁ。」
「やりたい事をやれば良いじゃないか?演技に興味があるなら挑戦してみるのも手の内だ。」
「そうそう陽太の言う通り!高校の文化祭なんて失敗しても死ぬ訳じゃないんだからさ。」
「うーん。でも、表には立たないですよ。」
本人がそう言うのであれば、深く追求する必要もない。
それに今はテストのこともある。
先の文化祭よりも目の前のテストの事を考えるべきだ。
先生が入室して来たので、雑談タイムもこれまで。
これからノンストップで最後のテストが行われる。
途中で短い休憩はあるが、そんなものは誤差の範疇。
気付けば終わっているはずだ。
◇◆◇
「終わった!遊びに行こうぜ!」
全テスト終了後の真は、明らかにテスト期間中と違って元気だった。
「昨日も遊びに行っただろ。毎日毎日行ってたら金が無くなるぞ。」
「だってしょうがないだろ。明日からは普通に部活始まっちゃうんだから。」
「それを言われるとしたかないかって思うけど。金が掛からない遊びなんてないだろ。」
「家でゲームとか?」
「確かにそれがあるか。うーん、とは言っても俺の家は親がいるぞ。」
「別にそんなこと気にする中じゃないだろ?」
「リビングでゲーム出来ないってこと。久しぶりに休みの親父が撮り溜めたテレビ見てるだらうからな。」
両親は普段仕事ばかりしているので、たまの休みぐらいは不自由なく満喫してもらうべきだ。
本当にいつも働いてくれて感謝。
本人達に言うのは照れ臭いので、心の中だけに留めておくけど。
横から話を聞いていた凛が近付いてくる。
しかも、何故か満を持してと言わんばかりの表情だ。
目の前に来た瞬間に、腰に手を当てて一言。
「今、ゲームと言いましたね!ゲームと言えば、このウチにお任せくださいよ!」
どうやらゲームと聞いて居ても立っても居られなかったらしい。
確かに凛であれば、俺らの未プレイのゲームや懐かしいゲームなんかも持っているはず。
そこには何も問題もないが、問題は別の所にある。
「すごい嬉しい提案だけど、そのー、良いの?」
「良いのって何がですか?」
「俺達、男二人が家に上がっても良いのかなーって。」
「あっ、えーっと。も、も、もちろん大丈夫です!大丈夫ですけど、華ちゃんも呼んで良いですか?」
「そうしてくれた方が助かる。」
華の教室へ迎えに行くと、一人で帰ろうしている華を見つけた。
これは何ともタイミングが良い。
大きく手を振りながら呼ぶとこちらの方を振り向く。
俺達を見ると心無しか表情が明るくなったような気がした。
「今帰りか?」
「そうだけど、どうかした?」
「今からウチの家で遊ぶんですけど、どうかなーと思って。」
恐る恐る尋ねてみる凛。
親しい仲ではあるが、何か予定があるのではないかという配慮がそこには含まれている。
「良いのか?アタシが行っても。」
遠慮がちに質問する華。
そこまで卑屈になるような関係性でないことは、彼女自身が一番知っているはず。
ただ、華にも色々な事情がある。
慣れるまでには時間が掛かるのだろう。
「うん!もちろんだよ!是非来て欲しいなー。」
凛は目を輝かせながら、華の手を取ってお願いをする。
そこまで言われては華も否定する理由はない。
「じゃあ、行こうかな。」
「やったー!友達を家に呼ぶの初めてだったんだよ!」
「とびっきり楽しもうな!」
嬉しさの余り抱き付く凛にどうして良いのか分からない華。
こんな光景も最近では見慣れてしまったとさえ感じる。
凛の家まで案内されることになったので、全員で下校することに。
自分の家とは違う方向へ帰るというのは新鮮だ。
景色一つをとっても興味を引かれる。
しばらく歩くと住宅街に出る。
周りには公園などがあって、小学生くらいの年齢の子供が元気に走り回っている様子をよく見かけた。
今時の子供は家に籠ってスマホやゲームかと思っていたが、案外アクティブだな。
その中の一つの公園を横切ろうとした時、一人の少年が飛び出してこちらへ向かって来る。
何事だと思い見ていると向かって来るだけでなく、こちらに向かって話しかけて来るではないか。
「うわー!凛ねーちゃんが男連れて歩いてる!」
「圭介!へ、変なこと言わないの!」
「この子、凛の弟?」
「そうなの。ちょと生意気だけど悪い子じゃないんだよ?」
このぐらいの子は生意気な方が元気があって健康的だ。
しかし、俺と真の周りをぐるぐる回ってずつと顔を見られている。
何をされているのか全く分からないな。
妹がいるけど歳が近いので、小さい子の扱いには慣れていないから何と声を掛けるべきか迷う。
「で、どっちがねーちゃんの彼氏?」
おっと、これはとんでもない弟かも知れない。
ご覧いただきありがとうございました!
宜しければブックマーク、いいねお願いいたします。
毎日22時から23時半投稿予定!




