第042話 甘過ぎる空間
誤字脱字や文章の下手さについてはご了承下さい。投稿予定時間になるべく投稿できるようにします。
よければ、評価とブクマ等していただければ幸いです。
目の前にある天丼は、本当に写真と同じ物か疑いたくなるような出来だった。
しなしなの天ぷらに、つゆが多すぎてべちょべちょなご飯。
ファミレスなので、専門店と比べて文句を言うのはおかしいが流石にこれは。
他のみんなは届いた料理を満足そうに食べている。
俺もハズレの少なそうな無難な奴にすれば良かった。
「うーん!美味しいこのドリア!」
「そんなに美味しいの!?なら、私のピザ一枚と一口分交換しない?」
「・・・良いんですか?そっちのピザもすごく美味しそうですけど。」
「やっぱり、色んな味を少しずつ楽しめた方がお得じゃない?」
凛と初対面にも関わらずグイグイ距離を詰める神崎。
話し掛けられるとは思っていなかったらしく、凛は動揺しているようだ。
決して嫌なのでない。
しかし、どうやっても初対面の相手とは緊張してしまう。
それを汲み取った華が横から援護する。
「なら、アタシも混ぜてよ。どっちかというとアタシも色んなの食べたい派だし。」
「華ちゃんありがとう、それに神崎さんも。」
ご飯交換会に物部も参加して四人でワチャワチャやっていた。
天丼の天ぷらを奪われたら一溜りもないので、羨ましかなんかない。
これは、一人で食事していた所に偶々女性陣がいたと思えばいいのだ。
そうすれば、全く違う空気感が流れていても不思議と苦ではない。
「いいなー。女子の交流がメインになった一面もあるけど、俺も混ざりてぇーよ。」
「あの中に混ざりたいって、お前勇者か何か?」
「えぇー、絶対楽しいって混ざれば。」
「なら、フライドポテトでも頼めば?」
「それちょっと違うだろ。ただただ搾取されるだけの奴だから。」
文句の多い奴だな。
そんなに混ざりたいなら、口に出して伝えれば良いのに。
「ちょっと良いか?真も会話に混ぜてやってくれ。寂しくて死にそうな顔をしているから。」
「えー、でもせっかくみんなで来てるし仕方ないか。真は、何か話題とかないの?」
お前の彼女は鬼なのか?
そんな鬼畜な振りはやめてあげろよ。
言われた本人も必死になって考えなくて良いだろ。
そういうのは自然と会話の中から拾い上げていくもんだろうが。
「ヤバい、俺なにも会話に参加できるもんない。」
「気にするな。・・・お前はよく戦った。」
灰のように燃え尽きた真が、椅子に項垂れている。
こんな若者が力尽きるに早すぎる。
俺の秘術で起こしてやらなければならない。
「あそこにめっちゃ可愛いお姉さんが!」
「えっ!?どこどこ?どこにいんの?」
「よくぞ生き返ってくれた。」
「まーーこーーとーー!」
「おい、ふざけんな陽太!つい、反応してしまったじゃねーか。」
それは全くもって弁解になってないぞ。
前回の勉強会で、お前らがイチャイチャしているのを見せつけられたからな。
これくらいの一悶着を作り出しても文句は言えんだろ。
まぁ、彼女の可愛い嫉妬みたいなもんだから、今自分に出来る愛情表現をするんだな。
「お二人って仲良いんですね。」
「あれ見てよく仲良しって言えるな。」
「あれは、じゃれあいみたいなものですよ。」
「へぇー、凛は誰かそういう関係になりたい人がいるんだ。」
「なぁっ!違いますよ!!ただ、羨ましいなぁーと思っただけで、誰かと付き合いとかはそんなそんな。こんなゲームオタク好きになる奴なんていないですし。」
「いやいや、星海さんめっちゃ可愛いからモテてると思うよ。本人にまでそのことが届いていないだけで。」
「ウチ、可愛いかなんてないです。」
久しぶりに見た顔が真っ赤な星海。
誰にも真っ赤な顔を見られないように深くフードを被る。
嘘を付くような人間に見えない神崎から褒められたら素直に嬉しいのだろう。
「ほら、陽太も褒めてあげたら?異性から評価を聞かせてあげた方が真実味増すでしょ?」
そんなこと言えるか。
女子に可愛いって言うのは、ハードル高すぎるだろ。
でも、期待の眼差しで俺を見る神崎。
言えば良いんだろ言えば。
こうなればどうにでもなれの精神だ。
「まぁ、あれだ。この学校って星海含めて顔面偏差値高いよな。」
「異議なし!」
二人のイチャイチャを終えて、真が会話に混ざって来る。
今の一言が無ければ俺はどうなっていたか分からない。
親友の助けに心から感謝の意を贈る。
「まぁ、それもそうだよねー。だから、スキンケアとか常に気を遣わないといけないし。」
「やっぱり洗顔と美容液以外にした方がいいの?」
「えっ?古東さんそれ以外何もしてないの?嘘、肌とか赤ちゃんみたいにスベスベなのに?」
最近では男でももっとスキンケアするが、華はあまりしていないらしい。
それでも綺麗すぎる肌なのを神崎は羨ましいそうに見ている。
「絢音だって、めっちゃ肌綺麗じゃん。」
「うわぁー!絢音って言ってくれた!嬉しい!」
「だってもう友達でしょ?」
さて、俺はまた会話に参加できなくなったので、デザートでも食べるとするか。
メニュー表にはパフェがでかでかと載せられているが、あえて俺は選ばない。
ここはわらび餅やぜんざいなどの和のデザートを攻めるべきか。
一気に全部食べれるのなら頼みたい所だが、胃袋と相談した結果一つしか入らないらしい。
天丼は正直失敗だったと言えるので、せめてデザートだけでも満足して帰りたい。
真剣に選んでいると横から凛が覗き込んで来る。
「デザート選んでるんですか?ウチも見たいです。」
「先に見るか?俺は当分悩みそうだし。」
「大丈夫ですよ。デザートのページ、ここしかないので。」
どうやら一緒に見るつもりらしい。
俺は全然それでも問題ないけどな。
「うわぁー!これすごいですよ!魔王パフェ!」
「それは俺も目に入ってたけどな。」
凛が言っているのは、魔王パフェという千五百円のパフェだ。
名前が凛の心に刺さったのか、それともこの目を引くようなインパクトだろうか。
余りにも大きすぎるサイズで四〜六人用と書かれている。
「挑戦してみるか?」
「したいです!絶対魔王倒しましょう!」
店員を呼んで注文すると二度見して来た。
そして、本当に大丈夫ですかと確認する始末。
この店では、これが注文されることがよっぽど少ないらしい。
まぁ、これ食べるくらいなら一人一つパフェを頼んだ方が残さないで済むからな。
「お待たせ致しました。残されますとメニューの注意書きに合ったように追加で千円いただきますのでご注意ください。」
それだけ言うと店員はさっさと裏へ戻って行った。
「よーし!頑張りましょう!」
「甘い物なら無限にいけちゃうよー。」
「俺も実は甘い物好きなんだよ。」
みんなやる気を出しているようで、スプーンを持って皿に取り分けていく。
メニューには四〜六人用と書かれているが、明らかにそれ以上の人数が必要だろ。
食い切れるのか怪しくなって来た。
他の乗り気な人を横目に俺だけが絶望していた。
五十分後、絶望の声を上げながらなんとか完食出来たのは奇跡に近かったのではないかと思う。
甘ったるい生クリームが胃に重く残る。
この後、家で勉強する気になるか正直不安だな。
ご覧いただきありがとうございました!
宜しければブックマーク、いいねお願いいたします。
毎日22時から23時半投稿予定!




