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そのお悩み、”恋愛支援部”が解決します  作者: 風野唄


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第032話 懐かしい味をもう一度

誤字脱字や文章の下手さについてはご了承下さい。投稿予定時間になるべく投稿できるようにします。

よければ、評価とブクマ等していただければ幸いです。

佐藤夫妻が商店街へと足を進めたのを確認してから、俺達も後を追う。

文具屋や床屋、前回あった精肉店なんかももちろんある。

エキストラなのか本物の客なのか分からないが、人もきちんと列を作り順番が来るのを待つ。


「何処から行けば良いか迷ってしまいますね。」


「とりあえず、食事は予約してあるみたいだから買い物を楽しもうか。」


「それなら、私のわがままに付き合ってもらおうかしら。」


まだ、二人は手を繋いだまま同じ歩幅で歩く。

決してどちらかが早すぎたり、遅すぎたりするの事はない。

長年隣を歩いてきた経験から歩幅までもが自然と合ってしまうのだろう。


熟練夫婦の格の違いを見せつけたところで、最初に入ったのは雑貨屋だった。

中はオシャレな雑貨が所狭しと飾られている。

邪魔しないようにしたいので、あくまでも俺達は店の外から見守っておくだけ。


「このお弁当箱可愛いくない?」


「個人的にはこっちも好きだけどな。」


「うわぁー!パステルカラーの可愛いお弁当箱!貴方もいつの間にか私にセンスが寄って来たんじゃない?」


「昔は真剣に考えてるのかってよく怒られたね。」


「だって、ウケ狙いのものばかり見つけようとするんだもの。」


「若い時は君がどうすれば笑ってくれるのか。それが分からないかったから、必死だったんだよ。」


過去を振り返りながら雑貨を手に取る。

この店だけでもこんなに思い出が溢れ出す。

きっと二人が歩んで来た人生の中に忘れられるような思い出など無いのだ。

全てが鮮明に思い出せるほど、大切に記憶として閉まっている。


「佐藤先生、学校で見る時の表情とは全く違いますね。」


「心を許した家族にだけ見せる顔が誰にでもあるんだろ。」


「確かに陽太も梨乃に接する態度とアタシ達との態度全く違うし。」


「当たり前だろ。友達と妹じゃ扱い方は変わるっての。」


「それもそうか。妹大好き人間だもんな。」


・・・違うよ?

多分、他のご家庭と同じくらいの親密度だよ。

妹と休みの日に出掛けるなんて全家庭でやってることだし。

しかし、否定すると逆説的に妹嫌い人間が生み出されるので言及はしないでおこう。


「これ買っちゃおうかしら。学校へ持っていくお弁当箱新しくしましょう。」


「弁当箱が変わるだけでワクワクするからなー。それにそんなに高額商品でもないし、買っても罰は当たらないよ。」


「そうしましょうか。」


夫妻で相談を重ねた結果、学校でも使う弁当箱を購入するようだ。

もちろん、夫妻でお揃いの弁当箱を。

せっかく購入したお揃いなのだから、一度は二人でピクニックでもすると良いかもしれない。


「弁当いつも美味しく食べさせてもらってるよ。ありがとう。」


「いきなりどうしたの!?みんなも見てるから恥ずかしいですよ。」


「良いんだよ、感謝は何処で言っても、何回言っても。」


「それじゃあ、私からも。いつも私の為に働いてくれてありがとうね。」


家族に感謝の言葉を述べるのは、やっぱりどこか気恥ずかしい。

二人は顔を赤らめながらもスッキリとした表情だ。

普段言えない言葉も、記念日の力を借りて伝える事が出来たのだから。


「次はどこへ行きましょうか?」


グゥ〜〜


次の場所を考えようとした時にどちらかのお腹が鳴った。

時刻はまだ十八時。

夜ご飯にしては、誤差の範囲内だろうけど早い気がする。

それを決めるのは二人だが、恐らく夫妻も早いかもなと考えているのだろう。


「お腹が減ったら楽しめる物も楽しめないし、ちょっとだけ早いけどご飯にしようか。」


「そうしましょうか。他のお店は食べた後にでも見て回れるし。」


夜ご飯の時間はかなり重要だ。

腰を据えて会話をする時間が増えるし、プレゼントだって渡すならこのタイミングになる。

どれだけ今までが上手く行っていようが、ここを失敗すれば全て水の泡。


佐藤先生がどんな気持ちでいるのか分からないが、俺が同じ立場だったら緊張で頭が真っ白になってしまう。


「あそこの店にしましょうか。私は今でも覚えている初デートで行った定食屋さん。」


「当時は外食出来る店も少なかったから、あそこにしたんだよな。」


「思い出すと色々込み上げてくる物があるから早く入りましょ?」


「ここで泣くのは早いからね。僕だって色々準備して来たんだから。」


それを言ってしまったら、この後もサプライズ用意してますよと宣言しているようなもんだ。

聞き逃したはずのない奥さんは、何も言わずにニコニコと話を聞いていた。

きっと気付いているのにも関わらずあえて指摘しないのは、自分の為に用意してくれたサプライズを無下にしない為だろう。


「僕達も店に入って食事しようか。」


「えっ?良いんですか?」


「別に二人の邪魔をするわけじゃないし、客が沢山いた方が賑やかで良いからね。」


「アタシも腹減って来たー。てか、中入らないとどうなってるか見えないんだし仕方ないでしょ。」


佐藤夫妻への配慮で遠慮してた部分もあるが、部長が言うなら仕方ない。

佐藤先生には悪いが、ここまで手厚いサポートをしたのだから漢として最後は自分の力で決めるべきだ。


と言うわけで、俺も存分に楽しもう。

今夜限りの復活なのだから、内心では俺も遊びたくてウズウズしていたのが本音になる。

店に入ると一度も来た事がないのに懐かしか感じる世界観があった。

テーブルに置かれたメニューを見て注文を決めながらも、佐藤夫妻の会話に耳を傾ける。


「ここの料理好きだったなー。味付け再現出来ないかしら。」


「僕は君の味付けも好きだけどね。」


「だったら美味いの一言くらい欲しいものね。最初の頃は美味いばっかり言って食べてたのに。」


「慣れってのは恐らしいね。気付けばそれが当たり前になってしまってたから。今度はちゃんと感想言うから。」


「楽しみに待ってますね。」


何処にでも良くある普通の会話。

何も面白い所はなく、他人に聞かせても興味は持たない。

それでも、二人だけが微笑ましく笑い合える空間が羨ましく思う。

あれを作り出せるのは、完全に気を許し合った関係性がある者同士のみだ。


「前回、お食事ご一緒させていただいた時も楽しそうでしたよね。」


「僕の情報筋によると佐藤先生は愛妻家で有名だからね。毎年一度も欠かさずにこうやってサプライズを考えているらしいよ。」


「わざわざ私達生徒にまでお願いをするくらいですものね。プライドよりも彼女の笑顔が大事と言う事なのよ。」


「なんだから俺、佐藤先生がいつもより三割増しでカッコ良く見えて来ました。」


いや、元々の値が低ければ三割増しても変わらないだろとかは言わない約束だ。

佐藤先生はどちらかと言えば、ふんわりとした優しい系だから仕方ないだろ。

毛髪もふんわりとしていれば申し分なかったのだが。


「どうやらプレゼントを渡すみたいですね。」


紆余曲折あって選んだオルゴール。

選曲も奥さんにピッタリなものを選んだはずだ。

後はどれだけカッコ良くプレゼントを渡せるかどうかだけ。

日頃は歯痒くて出ない思いも、今日という日の力を借りて全て曝け出して欲しい。


ご覧いただきありがとうございました!

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毎日22時から23時半投稿予定!

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