表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

22/58

この頃不幸な男の子


「……ファミレスに行くんだろ?」

「うん! いこ、シン!」


 世奈が僕の右手を握る。


 鍛えているからか、その手の感触は一葉さんとは違っていた。


 だけど柔らかかった。


 そして、思っていたよりも小さかった。


 この手が鬼瓦を一発で昏倒させ、僕を何度も痛めつけて来たなんて想像つかないよな。


 なんて考え事をしていたのがいけなかった。


 ヤバいと思った時には、既に僕の肩が通りすがりの男の人にぶつかっていた。


いてえな、てめえ」


 アロハシャツを着た大柄なその男性はすぐに立ち止まり、凄みのある声で僕に怒鳴った。


 うわー怖、眉毛無いよこの人!


 昨日の鬼瓦といい、最近変な人に絡まれてばっかりだよな僕!?


「す、すみません、ぼうっとしてて」


 男は一人ではなかったようで、彼のツレらしきガラの悪い連中が僕らを取り囲んだ。


 なかなかマズい状況になって来た。


「すみませんで済むなら警察は要らねえんだよ! ナメたことしやがってよ、このガキが!」


 いやむしろ警察を呼んでくれ!


「はっ、肩がぶつかったぐらいでバカじゃないの?」


 そして僕の隣には、男を鼻で笑いつつ侮蔑と挑発の混じったような声で相手の怒りを煽る大馬鹿が若干壱名。


「何だてめえ……このガキの連れかよ。おいおい、なかなか可愛い顔してるじゃねえか。こんなガキ放っといて俺達と遊ぼうぜ」

「あいにく、サルの集団と遊んであげられるほどあたしも暇じゃないのよ」

「な―――ッ! 言いやがったな!?」


 男が世奈に向かって拳を振り上げる。


 よせ、そんなことしたら―――!


「やめろ!」


 僕はありったけの声で怒鳴り、男と世奈の間に体を滑り込ませた。

 男が手を止め、こちらを見る。


「今なんつった、ガキ?」

「やめろって言ったんだ! そんなことをしたらただじゃ済まないぞ!」

「……おい、聞いたか? ただじゃ済まないんだそうだ」


 茶化すような男の喋り方に、仲間たちが笑う。


「笑い事じゃない。あんたたち、下手したら病院送りどころじゃないぞ」

「面白え。やれるもんならやってみろよ! ほらかかってこい、ガキ!」


 小馬鹿にしたように、僕に対し(・・・・)拳を構える男。


「……え?」

「だから、かかってこいっつってんだ。ただじゃ済まないんだろ?」

「あんたたち、何を言ってるんだ?」

「ああ? お前が(・・・)俺たちを病院送りにしてくれるんだろ?」

「誰がそんなこと言った?」

「え?」

「……え?」


 一瞬の場の膠着。


 こいつら、僕が戦うと思ったのか?


 戦うのは僕の隣に立っているア〇ドーラ・ザ・ブッチャーもびっくりな暴力女(ヒール)に決まってるじゃないか。


 しかし、この膠着した状況はチャンスだ。見逃すわけには行かない。


「あーっ! 警察だぁ!」


 あらぬ方向を指さし、僕は力の限り叫んだ。


 男たちが僕の指さした方を振り向く。


 僕はそのタイミングを見逃さず、世奈の手を引きその場を急速離脱した。



※※※



蛇足な元ネタ解説!


※1 アブ〇ーラ・ザ・ブッチャー


プロレス界を代表する悪役レスラー。ジャイ〇ント馬場のライバル的存在。



次回もサービスサービスぅ!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ