ゲロ甘の匂いがプンプンするぜーーーッ!!
「なんだよ、お前、その恰好……」
そういえば世奈の私服を見たのはほとんど小学校のとき以来だ。
てっきり金の刺繍が入ったジャージとかを着まわしているものだとばかり思ってたんだけど。
「そっちこそ何よ、そのうっすーーーーっい反応は! あたしの恰好を見て何とも思わないの!?」
「そりゃ、まあ、思うところは色々あるけど」
僕が言うと、突然世奈は不安げな表情を浮かべた。
「も、もしかして……似合わない、かな?」
上目遣いで僕の反応を伺うように、世奈が言う。
思わぬ反応に僕は慌てた。
これじゃまるで小動物みたいじゃないか。
「い、いや、違うよ。そういう可愛い服が似合うんだなと思ってさ。びっくりしてるんだよ」
「そうだったのね。良かった、もしシンの好みに合わなかったらどうしようと思ってたんだ」
安心したように笑う世奈。
そのすぐ後で、彼女は焦ったように、可愛いあたしに似合うのは当然なんだけどね、と付け加えた。
……というか、これは一体どういうことなんだ?
世奈の身に何が起こったんだ?
目の前にいるのは本当にあの柊世奈なのか?
よく見ると世奈は唇に薄くピンク色のリップを塗っていて、というか顔全体にそれとなくメイクをしていた。
あの、高慢で暴力的でヒステリックで、女らしさの欠片もないはずの世奈が、化粧を……っ!?
しかもずいぶん慣れてるみたいだし。
ということは、こいつ普段からメイクとかをやってるわけで―――うわ、混乱してきた。
僕は悪い夢でも見ているんだろうか?
「お、お前、本当に世奈なのか?」
「うん? もしかして幼馴染の新たな一面を目の当たりにして動揺しちゃってたりする?」
小悪魔的な笑顔を浮かべる世奈。
まさしく仰る通り。
「なんでそんなに気合入ってんだよ……」
「それは気合も入るでしょ、ずっと好きだった男の子がやっと私の気持ちに気付いてくれたんだから」
……え゛。
世奈さん、今、なんて……!?
「ちょっと待て、それじゃお前、今までの僕への態度は……」
「あーもう! 男のくせにごちゃごちゃ鬱陶しいわね! さっさと起きて準備しなさい! 映画始まっちゃうでしょ!」
顔を真っ赤にした世奈に布団を引っぺがされ、ベッドから追い出される僕。
事態がややこしくなってきた。
なんだか嫌な予感がする―――。
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