1、召喚された。
俺は、目の前の光景に立ち尽くす。
白髭の長老。白、赤、金でかざられた大広間。一人一人鎧を着て槍を持った兵士らしき人達。豪華なシャンデリア。どれも現実的ではない光景だ。
そうして俺はひとつの答えにたどり着く。
俺、異世界召喚された感じ?
俺は数分前までパソコンの画面に張り付き、あや○る艦隊に癒されていたというのに。
落ち着いてもう一度辺りを見渡してみる。
すると、さっきまではなかった人がゴロゴロと。よく見ればクラスメイト達だ。圭一先生もいる。
皆意識を失っていた。
クラスで召喚されるパターンか。でもなんで圭一先生が? 担任じゃないのに。まあ担任より断然いいけど。
1人が立ち上がる。拓人だ。
残念ながら拓人はweb小説を見ない。状況が把握できない様子。
「拓、大丈夫か?」
「大陸? ここはどこだ? なんで皆がいる?」
「ああ、それは多分……」
そうやって俺が予想を拓人に告げようとすると、他のクラスメイト達がだんだんと立ち上がってきた。
「いや、どうせ多分説明があるよ」
俺がそう口にすると、タイミングを見計らったように大きい扉が開いた。
「勇者たちよ! 突然の呼び出し謝罪する! だが頼みを聞いてくれ! 我々を助けて欲しいのだ!」
それは俺の予想を大きく覆す端的なものだった。いや、普通わかんねえよそれ。
全員が混沌とする中、幼なじみの逞しい声が広間に上がった。
「皆、ちょっと集まって!」
-・-・-・-・-・-・-
皆は咲月の話を聞いて、そこそこ現状が理解できたようだ。
流石は我が幼なじみ。web小説教えといて良かった。俺なんかが説明しても何もならんからな。
ちなみに無能がチート化するというテンプレは教えていない。
先程入ってきた人もいろいろな事を知っている咲月に少し驚いていたが、ちゃんと俺達に現状を教えてくれた。
「つまり、多種族の敵が襲ってきて、あなた達が危機的状況にあると?」
「うむ。そうだ。だから頼む。我々を助けて貰えないだろうか」
頭を下げる異世界人に応対しているのは駿。
皆が頭を抱える中、俺は涼しい顔をしていた。
だってそう、こういうのは虐められっ子がチート化するのがテンプレだから。
そしてもう一人涼しい顔をしているがいる。例の通り駿。
「俺は助けます。困っている方々がいるのなら、俺にできる最大のことをしたい」
ああ、こいつ正真正銘の馬鹿ですわぁww
そんな駿に便乗する奴らが叶、龍哉、鈴羽の3人。
「そうだね。私なんかが人の命を救えるのなら」
「へへっ、駿ばっかにいいカッコさせてらんないでしょ」
「龍哉はお調子者だから、心配なのよ」
爆ぜろ
だが1人、反論を述べる。
「なあ! その前に俺達は元の世界にもどれるのか?」
幸路だ。
だが、返ってくるのは俺には予想通り、皆には絶望的なもの。
「すまない。異世界に送る魔法は異世界から呼び出す魔法の数段上位の物だ。返せるのは神くらいのものだろう。だが、恐らく君達の実力なら神の国へと辿り着けるはずだ。だからどうか頼む! このとおりだ!」
異世界人は一層深く頭を下げる。
それに対し皆は少し引き下がる。
そんな状況を一転させたのは光輝だった。
「それじゃあ、帰還の術はボクたち自身で手に入れればいいんですね。わかりました。やりますよ」
その言葉を転機に、他のクラスメイトも次々と手を挙げる。
「そうだな。後ろ向きじゃあどうしようもねえ」
「私達にできるなら、救ってやろうじゃないの。この世界を!」
手を挙げていないのは俺、咲月、圭一先生の3人だが、異世界人はそれを無視して俺達にある紙を配った。
「その紙が契約書になる! 我々を助けてくれる勇者はここに自分の名前を記入してくれ!」
紙の表には[契約書]とかかれ、横線が引かれている。裏に契約事項が書いてあった。
俺がデメリットがないか確認するために上から読んでいると、圭一先生の声があがる。
「おい! ここの[どんなときもウェスタニア王国の意思に従順し、戦う]とはどういうことだ! 俺達を奴隷にでもするつもりか!」
見ると、ちょうど半分いったくらいのところでそんな文が書かれていた。
なぜこんなに早くそこまで読めたのか不思議に思っていると、小声で教えてくれる。
「こういうのは折り目とかの読みにくい所から見る物だぞ」
なるほど、それもそうだ。見えにくい場所に置かなければすぐにバレてしまうから。
異世界人は軽く謝り、その部分を消した契約書を再び配った。
他の契約事項は基本的に俺達のメリットになるものばかりで、あとは[人族や我が国が危機に陥った時に救援をする]という文くらい。
だが俺は少し疑念を抱き、少し文字を変えて契約書にサインをした。
これで縛られることはないだろう。
咲月、圭一先生にも呼び掛け、同じ事をしてもらった。
「協力感謝する! それでは少々待っていてくれ、すぐに王との謁見を申請する!」
多分次からは亀更新。
来週までには出すと思います。




