どっかにリセットボタンは落ちてませんか?
遅くなりまして本当に申し訳ないです<m(__)m>
~前回までをざっくりおさらい~
話数とか少ねえし、べつにやんなくてもいっかな~?って思ったけど……まぁ一応。
何でかわかんないけど前世の記憶を持って転生しちまった俺、榊栄一郎。
今生はなんと人間ではなく鬼だった!
なんやかんやで弟と一緒にのほほん引きこもりライフを満喫していた俺だったが、最近…弟の愛が重たいことに気づいてしまった……。いや…もう……気づきたくなかったわ、マジで。
やっべーちょっと距離おこーかな?って思った矢先に弟に押し倒されるという珍事件が!
本気で俺の貞操がヤバい!!
必死の抵抗もむなしく喰われかけたとき、救世主が!
だがしかし…そいつは厨二病わずらってるっぽい……←イマココ!
と、ゆーわけだ。
なんかこう…アレだな。うん。死亡フラグしかたってねぇよ。
…………………。本編、行こっか……
* * * * * * * * * *
「都の平和を脅かす鬼どもめ! この緋色の殺戮者が一瞬で塵にしてくれる!」
人ん家に不法侵入した挙句大声でちょっとイタい発言をした救世主様(仮)は腰に佩いていた剣を慣れた様子で抜き放って俺たちをにらみつけ……ようとしたんだと思う。たぶん。その後すぐに間抜け面になっちゃったから俺の推測なんだけどさ。
「さぁ、かかって…こ……ぃ……」
ぽかーんてしちゃってるよ。目が点、ていうの? まさしくあんな感じ。
ま、そりゃそーだろ。だって鬼退治しようと勢いよく乗り込んできてみたらいきなり大の男二人が自主規制なことしようとしてんだもんなぁ……。うんうん。その気持ち、よぉっっっくわかるよ。
だからマジでこの状況どうにかして!! 弟に戦い仕掛けるとか弟に襲い掛かるとか弟に斬りかかるとか。どうにかしてこの発情鬼の気をそらして!!
そんな期待をこめてじぃっと見つめていると救世主様(仮)はロボットみたいな動きで俺たちから目をそらす。
「……失礼した。」
そしてそのまま扉を閉めようと……閉めようと?! は? なに逃げようとしてんだテメェ!!
一人だけこの場から逃れようとすんな! 俺も連れてけ!
「…ぃ……ぇっ…………行かないでくれ!!」
「…兄者?」
弟が泣きそうな声出してるけど気にしねぇ! だってアレだろ? あの救世主(仮)が出て行ったら確実に俺コイツに喰われんだろ?! そんなん嫌だし!!
「…なんだ。」
俺たちの方を見ようともせず救世主(仮)は小さな声で言った。
…さっきの勢いはどこ行ったんだよ。緋色の殺戮者とか名乗ってたときはめちゃくちゃ大声だったじゃねーか。
「ここから出て行かないでくれ。」
もし出て行くっつうなら俺も連れてってくれ。頼む。そう続けようとした時、ダンッという音を立てて俺の顔の前に誰かの手が置かれた。
…………状況的に。そんなことができるのは一人しかいねーわけで。本当にもうマジで見たくなかったけど……見るしかねーよな。無言の圧力っつうの? そんなもんをひしひしと感じるぜ……。
俺は恐る恐る顔の向きをかえ、弟を見た。
俺の顔のすぐ横に手をついた弟は予想と違い、怒っている…わけではなさそうだった。
むしろ、アイツの顔に浮かんでいるのは困惑のように見えた。
「あ…兄者?」
弟が首をかしげた。うん。かわいい。かわいいんだがね、弟よ。
にーちゃんはお前にケツを掘られたくないんだ。
だから、その手をどけてくれ。
そんな俺の心境を弟が察してくれるわけもなく。弟は心なしかしょんぼりした様子を見せながら言った。
「まさか…兄者にそんな趣味があったとは……でも、兄者のためならがんばる!
兄者のかわいい姿を他の奴――それも人間なんかに見せるのはいやだけど、でも仕方ないか。
兄者が見られながらヤりたいって言うんなら……。」
は?
え、ちょっ、まっ……はぁぁぁああああ?!
違う!違うよ!俺は公開プレイが好みとかじゃないから!
なんだかとんでもない勘違いをしている弟に、心の中では大騒ぎをしつつも現実では驚きすぎて声が出ないという事態を生で味わうことになった俺は助けをもとめて救世主(仮)を見た。救世主ならこういうとき助けてくれよ!
だがしかし。
その瞬間、俺は見た。救世主(仮)が心底軽蔑した表情になるところを。
マジで傷ついた。俺の繊細なガラスの心に入ったから。いや、たぶんヒビどころの騒ぎじゃねーわ。これまでの騒動でヒビ入ってたもん。たぶんちょっと割れたってコレ。
つうかもう今日だけで俺の精神的ダメージがハンパないんだけど。やめてくんない?! 現代人はメンタル弱いんだからさぁ! もうちっとお手柔らかに頼むよ、お願いだから!!
心の中でいくら叫んでも弟と救世主には聞こえるはずもなく。救世主(仮)は能面のような表情で出口へ向かう。
「ちょい待て! 行くんじゃねぇよ! 頼むから行くなってば!!」
ようやく動かせるようになった口で精一杯叫ぶ。
「誰が待つものかっ。私は貴様らの変態的な趣味には付き合わん!」
ふざけんな! コレだけは絶対に訂正しろ!
「俺の趣味じゃねぇぇぇえええ!! 」
どっかにリセットボタンは落ちてませんか?
どこで選択肢を間違えたんだろう……。
転生とかホントにしたくなかった…………。
どーせ迫られるなら女の子がよかったなぁ………………。
あーそういえば前世のゲームでまだクリアしてないのあったっけ……エンディングまで見たかったなぁ……。
そーだ。録りためてたアニメの最終回見てなかったわ……あの後どうなったんだろーなぁ……