第三十四話 強き者
あれからゴードンにアカトルムの一番奥へと連れられた俺たちは、まるで城のような建物へと案内された。
テッペンには竜人の像が建てられており、なかなかにかっこいい。
「ほら、ここがハーキースの住んでるとこだ。入れよ」
「こんな豪華な建物に一人で住んでるのか?贅沢だなぁ」
「いや、ここにはマルコリーとクラレイもいる。TOP3は兄弟だ。父母は昔に戦死したからもういないがな」
しみじみとそう語るゴードンは、昔の記憶を思い出していたようだ。No1の父ともあろうものが戦死とは、一体どんな戦いだったのだろう。
「そっか……なるべく地雷は踏まないようにしないとな」
「そうですね。なるべく穏便に行きましょう」
俺は父母のことについてはこちらから触れないと決め、ゴードンに連れられ建物に入っていった。
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「ようゴードン。お前がここに来るなんて珍しいな、どうした? 横の人間は誰だ」
中に入るとハーキースが居た。ゴードンは顔も竜人らしいドラゴンのような見た目をしているが、ハーキースに関しては顔は人間だ。腕と下半身が竜のようなウロコと爪で出来ている。ハーフというやつだろうか?
中は道場のような見た目の内装で、ハーキースの後ろには垂れ幕に映っていた水色の綺麗な双叉槍が立てかけられている。
クラレイとマルコリーという人は今はいないらしく、ハーキース一人だ。
ゴードンは片膝をつき、問いに答えた。
「はい。不審な人物がいたので排除しようと戦ったのですが、負けてしまいました。話を聞くと、この街に用があると言うので連れてきました」
「負けたのか!? こんな人間に!? 見たところそんなに強くなさそうだが……まぁいい。ゴードンに勝ったということは事実なんだろう。話は聞こう。ゴードンは下がっていいぞ」
「はっ。再び警備にあたります。お前達、無礼の内容にするんだぞ」
俺たち全竜人から舐められてないか? 人間は竜人より弱いというのが常識なのだろうか。少々居心地は悪いが、仕方ないか。
ゴードンはハーキースに用件を伝え終わると、建物を出ていき再び警備へと戻っていった。
「もう知ってると思うが、俺はハーキースだ。それで、いったい人間がこの街に何の用だ」
「僕はアマギ・ライネスで、彼女はパーティのヨミヤです。単刀直入に言いますと、アヴェロン王国が危機に瀕しております。なので魔族と同盟を結び、共に戦ってくれる仲間を探すために街を巡っています。相手は憤怒の魔王ドレイク・ヴァインツィアールが率いる組織なので、協力が必要なんです」
俺はなるべく手短に、全ての要件を伝えた。
余り長々と話していたら、街の入り口で喧嘩していた竜人みたいに殴り掛かられるかもしれない。
「憤怒の魔王だと? 面白いな。最近強い相手がいなくて退屈していたところだ。それにそいつには借りがある」
そうニヤリと笑うハーキースは、俺たちの要件に興味を持ってくれたようだ。もしかすると、このまま同盟を結べちゃったりする!?
「だが、同盟というところが気に喰わない。俺たちは強い者には従うが、俺たちより弱い者には一切従わない。お前は弱くはないんだろうが、正直俺より強いとは思えない」
「そんな言い方しなく――!」
「待てヨミヤ。慌てちゃだめだ」
俺は即座にヨミヤを止めた。
ヨミヤは散々弱いと言われたことに痺れを切らしたのか、反論してしまった。
ここで口論になるのはよくない、何かいい解決策があるはずだ。
うーん……竜人より強い証拠を見せればいいはずだ。ということは、ここのコロッセオで戦ってもらえばいいんじゃないか?
「そうですか……では、僕たちとコロッセオで腕試しをしてもらえないでしょうか。定期的に開催されていると聞きました。そこで僕たちが勝てば、同盟を結ぶというのはいかがでしょう」
俺がそう言うと、ハーキースは不敵な笑みを浮かべた。
「へぇ面白いじゃないか。丁度三日後にコロッセオで試合が行われる。もちろん俺とクラレイとマルコリーも出るぞ。トーナメント式になってるから、お前たちが序盤で負ければ俺たち戦うことは無いがな」
高笑いしながらハーキースはそう言った。
トーナメント式か、なら序盤から本気で潰していった方が効率が良さそうだな。今のうちに作戦を練っておこう。
というか待てよ。トーナメント式ということは、一人ずつの試合だろうか。ヨミヤと別々に戦うことになるのかもしれないな。
「なるほど。僕はそれでも大丈夫です。一つだけ確認ですが、一人ずつの試合ですか?」
「当たり前だ。決闘はタイマンで行うものだろ? 個々の戦闘力が低いやつは集団になっても弱いものさ」
やはりそうか。それを聞いてヨミヤは少し不安そうにしている。
俺たちは今まで二人で協力して戦ってきた。ゴードンの時もそうだ、ヨミヤがいてくれたおかげですんなりと倒せたんだ。一人ずつだと戦い方も全然違うな……。
「わかりました。では三日後の試合を楽しみにしてますね!」
「あぁ。序盤で負けるようならさっさとこの街を去ってもらうからな。ハッハッハ!」
俺たちはそのままハーキースの家を後にした。
三日後か、とりあえず作戦だけ練っておかない行けない俺たちは、この街の宿屋に足を運んだ。




