表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人形怪奇  作者: 詞記ノ鬼士
第一章 夜ノ月琥珀のその虫は
9/141

009 それぞれの能力

夜ノ月村と言う小さな村で育った小羽は幼い頃から普通の人とはどこか違っていた。

虫の心が分かる彼女を人々は忌み嫌い家族までも彼女を疎ましく思っていた。

『怖い、恐ろしい、この異端者!』と。

母にはうっとうしそうに……

『なんでこんな子が生まれてきたのか……』と。

姉達も小羽を嫌い迷惑そうに彼女を遠ざけ様とした。

『近寄らないで! お前は気味が悪いのよ。一緒にいると私まで嫌がられる! 消えろ!』

罵倒する、煙たがる、恐怖する。また村に伝わるある伝説になぞらえて小羽を崇める者までいた。人々の様々な感情が彼女に向けられる。いつの間にか彼女は皆から〈異端者〉と呼ばれる様になっていた。小羽はいつも一人、孤独だった。だからこそ小羽を嫌わずそばにいてくれる虫達は、彼女にとって唯一の心を許せる友であり家族の様でもあった――

人を避け逃げる様に森へと向かい虫達に会い、そこでやっと一息つく事ができた。

「はぁ……」

 彼女はそっと彼らにだけ弱音を零していく。

「私も、あなた達の様に自由になりたい……皆と同じ様に混じりたい」

 集団で行動する彼ら。しかしそれでも自由だ。どこへ行こうと自分の自由、群れから外れていく事はいつでもできる。人の世界は疲れてしまう……悲嘆にくれながら彼女は思う。 

彼女が求めるのはそういう堅苦しい人間の世界ではなく虫達の世界だった。

虫と人は違う、そして虫達と私は違う。

「どんなに私があなた達と一緒にいたって、私はこの中では外れ者ね」

 そんな変わらぬ現実に哀しく思う。

「同じ人間同士でさえも私は彼らとは相いれない。あなた達とも外れ者。まさに……」

〈異端者〉、脳裏にそんな言葉が飛びかった。人々の黒い残像が浮かび上がった。

「私は一体、何なんだろう……?」

 ふとそんな事を考える。

「この力は何なの。私だけが、なぜ……?」

自分は本当に人間なのだろうかと、次第に自分自身の存在を疑い始めた。

そして恐ろしいとも思ったのだ――


二階の大部屋に集まった雪野達は腰を下ろし休憩した。村人達からの干渉が無くなり少しは安心できただろうか? 常に緊張していた険しい小羽の顔つきが今は若干晴れやかになった様に思える。そんな彼女は雪野達にこんな質問をしてきた。

「すみません、先程も聞いたのですが皆さんは何かしらの能力を持っているんですよね?」

「うん、そうだけど……どうかしたの?」

「えっと……少し気になっていまして……」

「雪野くんは能力と言える物はあるにはあるんですが目立つ物は持っていないですね」

 季流はその青い瞳を雪野が持つ人形へと向ける。

 それに小羽は人形の事を言っているのかと、納得した表情を見せる。

「それは言わないでくださいよ!」

「はいはい。で、私の方は《霊繰畏》という能力を持っています。これは【変物】の動きを止めたり動物など獣を従えたりできる力です。またその応用で力を一気に吐き出す事により、小羽さんの【虫】達にも用いた様に小物なら感嘆に追い払う事ができる技も使えます」

「あ、それで虫達はあなたの事を警戒していたんですね」

「警戒、していたんですか?」

「ええ……虫達がいつもより私の元に寄ってこないので、どうしたのだろうと彼らに聞いてみると危険な人間がいるって……何だか、すみません」

「いえいえ。それよりどんな風に【虫】の思っている事が分かるのか興味深いです。彼らは人間の言葉を喋っているのですか?」

「いえ喋るというよりも思っている事が伝わってくる感じなんです」

「ほう、それはどんな感じで?」

「羽音で感情を表しますが直接は喋りかけてはいません。虫達は人の言葉を知りませんから。そして私も虫達の言葉なんて知りません。ただ何というか……感覚なんです」

「感覚ですか?」

「はい。何となく私が読み取るというのか、虫達が語りかけてきて初めて意思疎通が成立します。あ、そういえば虫達は、雪野さんの事も追いかけて回して悪かったって言っていましたよ」

「あはは、そうなんだ……」

「小羽さん、あなたが今いってくれた事ですが、他にもあなたと同じ様な形で意思疎通を図っている人達はいる事を伝えておきます」

 季流の言葉を聞いた小羽の瞳は一瞬大きく開かれる。

「意思疎通の仕方は言葉を発せずに頭の中でテレバシーの様に行う事もあって、なかなか他人に説明は難しい様です。やはり小羽さんと同様に感覚という人が多いですね」

「そうなんですね。テレパシー? 直感……? 何となく分るんですよね」

「まあ皆、自分の感覚を説明する事は難しい事ですよ。私の能力に関してもね」

「そうですね」

「それでは次は花月の持つ能力《強身治癒》に紹介しましょうか」

「《強身治癒》? それはどの様な力なんですか?」

「えっと小羽さん、私の能力なんですが私は人よりも力があるんですよ」

「うん?」

「あ、いわゆる怪力ね。小羽ちゃん」

 花月は力こぶを見せる様に腕を曲げた。だが怪力だからと言ってその腕に特別筋肉がついているわけではなく、むしろ細く女性らしい腕をしている。全体の姿態も同じく筋肉がそれ程ある様には見えず女性らしいバランスの良い体つきをしていた。

「あ、なるほど。そういう事なのか……先程は驚きました」

言葉だけではその力量は理解できないだろうな。

「言っておくけど小羽ちゃんの想像以上にかなり凄い物とか持ち上げたりするからね」

花月の持つ怪力は重い買い物の荷物を持つとか、成人男性をお姫様抱っこで持ち上げる事ができるとか投げ飛ばすとか、そんなの次元の話ではない。人が予想するものより全くけた外れの怪力を花月は持っていた。例を挙げると木を一本まるごと引っこ抜くというレベルである。

「花月のバカ力に巻き込まれない様に気を付けてね。ほんと大変だから」

「もう雪野さん! 私がまるで周りを危険な目にあわせてしまう、困った人、みたいじゃないですか! 私そんな人じゃないですよ!」

「実際そうだろ」

「違いますよ!」

 花月は雪野に対抗する様に小羽へと能力の説明を続けた。

「小羽さん、私は困った人ではないですよ。私の能力ですが他にも傷を治し、【変物】を避ける結界などを張る事ができるんです。でも両方ともまだ使いこなせていないんですよね」

治癒は花月の《強身治癒》に含まれる能力だった。そしてもう一方の結界の能力は……

「俺からしたら怪力の方も力の加減ができていないと思うぞ」

「そんな事ないですよ!」

「いや、そんな事あるって。朝だって俺を突き飛ばしておいて……」

「ん?」

「あ……えっと……」

 首を傾げ怪訝な表情をした花月がいて雪野は黙り込む。少しだけ間が生まれた時、横から雪野を睨む様にチラ見した季流がさっと会話に入ってくる。

「でも、花月が本気で突き飛ばしたら雪野くんは簡単にこの世からさよならお陀仏ですよ」

「さらっと真顔で怖い事いわないでくださいよ! お兄さん!」

 ここまで季流と花月の話を聞いていた小羽は感嘆している様子だった。

「二人とも、すごいんですね……」

「はは。いえいえ、そんな事はないですよ」

「小羽さんの【虫】の心を聞く能力も素敵だと思いますよ。私は怪力でよく物を壊してしまうんですよね。それでよく雪野さんに怒られてしまいます」

「そうそう家ではすごいんだから、こいつは」

 雪野は花月の日ごろの怪力事件を思い返して、そう言葉を漏らした。

「もう雪野さん、そういう事いわないでください!」

「先に話してたの、お前じゃん」

「私が自分の事を話すのはいいんです!」

「はいはい。分かったよ」

 二人のやり取りに小羽はまた笑みを浮かべた。

「本当に仲良しなんですね、羨ましいです」

「家族ですから」

 何やら二人にしか分からない何かがあるらしい。その何かは分からないが頷き合う彼女たちを見て、自分達がいない間に二人が仲良くなった事だけは分かった。

「ところで皆さんは能力を持っていてよかったと思っていますか?」

 花月と目線を外した後、表情を変えた小羽は唐突に聞いてきた。

「どうしてその様な事を聞くのです?」

「こう思った事はないですか? 自分は一体どんな存在か、人間なんだろうか、とか……?」

『あれは人なんかじゃないんじゃ』

 お爺さんが言っていた言葉を一瞬、思い出す。

「そうですねぇ……私達はそういう能力が当たり前の環境で育ちました。だからあまりそういう事は思った事はないです。そうなるのだからそうなるだけとしか思いません」

「そうですか……」

「ただ、この力を持つ事でいろいろ大変な事もありましたね。決していい事ばかりではない。いい事と悪い事、紙一重なんですよね。それは小羽さんも分かりますね?」

「はい」

「持って生まれた以上、それは仕方がないと考える様にしていす。どうせならこの力をいいように使えばいいだろう。利用しまくろうとまで考えていますよ、私はね」

 実に彼らしい答えだなと雪野は思いつつ、小羽も同様に羨ましそうな顔をしていた。

「そうなんですね」

「お兄さまの能力は夏川家一なんですよ。凄いんです」

「《霊繰畏》だけですけどね」

「そのおかげで俺は散々お兄さんにいい様に使われて、酷い仕打ちを受けているという事です」

「心外ですね。それは雪野くんがだらしないからでしょ。自分の行いが悪いのを人のせいにするもんじゃありませんよ」

「だって任務に行くのなんて本当に嫌なんです! 何が起こるか分からないじゃないですか。それに色々大変ですし、疲れるし襲われるし……」

「その割には小羽さんの事を親身になって考えているじゃありませんか、あなた」

「それは、まあ……」

「雪野さんは優しいんです」

「違うから! 優しいとかじゃなくて……知らないうちは気にとめる事はないからいいけど、知ってしまうとどうしても放っておけなくなるんだよ……」

「雪野くんはお人よしですからね。ついでに小心者」

「お兄さんは黙って!」

 雪野はため息をついてからこう続ける。

「あー、つまり小羽ちゃんみたいな困っている人を見ると放ってはおけなくなるんだ。俺はあまり何もできないけど小羽ちゃんが生きやすくなる為の事を考えるから。そしてうまくいく様に色々頑張るから小羽ちゃんも諦めないでほしい。俺達に任せて」

その時、すんなりと『はい』と答えた小羽の穏やかな表情を見て雪野は少し安心した。

うまくいくかもしれないと彼女が自分達を信じてくれるなら嬉しいしそれに応えたい。この流れで明日は何としても琥珀石を見つけたい。そして彼女の笑顔が奪われる結果にはしたくない。まだ何も解決していない中、何が起こるか分からないからこそ安心はしきれないが、今日の所は、彼女の不安や恐怖が薄れたのならそれだけでも十分意味があったのだと雪野は思った。


「今日はお疲れ様です。まあ、少し狭いと思いますが気楽に召し上がってください」

今日の事で少しは信用したのか父親は今朝よりも穏やかな様子で雪野達を夕食を誘い、継ぎ足しされた長テーブル、そして不機嫌さを表す母親達の中に雪野達はお邪魔した。

一方、母親や姉達は小羽をかくまっていた事がばれ、その事に不快さを露にしていた。

「ちょっとなに、これ……全然気楽になれないんですけど……」

「しー、我慢しなさい。美代」

「本当、何もここまで……ハア……」

 テレビの音さえない沈黙の夕食は雪野達に妙な緊張感を与えているのは確かで、彼女達の不満も分からないでもなかった。

「あ、お母さん、醤油取ってくれる?」

「あ、私も。中濃ソースね~」

「はいはい」

 長女に続いて次女もコロッケにつけるタレを母親に頼み、雪野達が取りやすい様に真ん中に置かれていた塩やマヨ、様々なソース中から母親は雪野達のテーブルに軽く手を伸ばし右横の美代、その前に座っている幸恵にそれぞれのタレを渡した。

「ありがとう、お母さん」

「はい戻してー」

 早々にタレをつけ終えた長女と次女は各自、母親にそう言ってソースと醤油を渡した。

 そんなちょっとした会話が展開し無言で受け取り元の場所にタレを置いた母親。

その直後、彼女の左横に座っていた花月は遠慮がちに言葉を漏らした。

「あの、すみません。ご飯をおかわりしてもいいですか? 私、結構大食いなもので……」

 正面には物足りない顔でまだ食べ終えていない雪野達の料理を凝視する彼女がいた。

「おい、花月……ここは家じゃないんだから今回は我慢しなさい。どうせおかわり一杯だけじゃ終わらないだろ?」

「はい、そうなりそうです。今日は特に……」

 花月は《強身治癒》の持ち主だ。そんな彼女は普通の能力者と違い体内のエネルギーを多く消費するのかひどく大食いだった。

「そんなに我慢できないのか?」

「はい……」

そこで二人会話を聞いていた小羽の父親が薄く笑いながら言葉をかけてくる。

「あーいいですよ。自然が豊かなだけがとりえの村で米くらいならあり余る程あるので、どうぞ遠慮せずおかわりしてください」

「いいんですか?」

「はい。ではいそいますよ。梅干しや漬物、ふりかけもありますから好きな様にどうぞ」

「ありがとうございます。小羽さんのお父さん」

 茶碗を渡し台所に移動した父親は、茶碗の淵から少し見えるくらいの山盛りのご飯を花月の前に置いた。彼女はその後、晴れやかな顔をして手を合わせた。

「それでは、いただいます!」

雪野達の食べる速度よりも早くお米を食べ進めた花月はまたすぐにおかわりをせがみ、その後も同じ光景が続けられた。

『またおかわりお願いできますか? おかわりお願いします! おかわり持ってきます!』

 花月は最終的に自分でご飯をいそいにいき、皆は唖然としてその食べっぷりを見ていた。

「花月、もうここらへんでストップ! お前これで何杯目?」

「十杯目でしょうか?」

「はい十四杯目ね。お前食い過ぎだからもうダメ、これ以上は引くから。周りに迷惑だよ」

「あ、そうですよね。すみません。食べ過ぎました」

「いえ、いいんですよ……」

 申しわけなく顔を向ける花月に父親は苦笑いを浮かべていた。丁度その時……

「ただいまー。ん、なに、お客さん来てるっぽい?」

 その女性は雪野達がいる部屋を廊下から覗き込む様に見てきて、金髪で頭の天辺に髪留めをし、少し派手さが目立っていた。服装も村の中では見かけない若者らしいオシャレな服を着こみそんな女性は途端、花月の横に座る廊下近くに座る小羽へと視線を向けた。

「本当に帰ってきてたんだ、小羽……」

 まるで小羽はいなくていいみたいな口ぶりで、少し迷惑そうな顔で彼女を見るその女性に小羽は戸惑った様に眉を寄せ動きを止めていた。

その時、父親が部屋の壁にかけられている時計を見てから少し怖い顔をして尋ねた。

「もう七時だぞ。こんな時間まで何していたんだ?」

「あ? 私の勝手でしょ」

「そういう訳には行かないだろう。今まで何をしていたんだ?」

「もう、うざいな! 私の事は放っておいてよね!」

「裕子!」

 そこで不機嫌そうな顔で黙り込んだ女性を見て季流は父親に聞いた。

「あのそちらの方は?」

「あ、これが三女の裕子です。少し素行が悪くて本当に困ったものです」

「ちょっと他人に私のことベラベラ言いふらさないでよね」

「お前がそんなんだからいけないのだろう」

「はっ? これはそっちのセリフだっつうの、ざけんなよ!」

 様子を見ていた長女の幸恵はその時、ゆったり言葉をかけ裕子を落ち着かせ様とした。

「あーもう裕子、お客さんの前なんだから落ち着きな」

言われ怒りを抑える様に腕を組む裕子がいて、父親も落ち着いた声音でもう一度聞いた。

「で、今まで何してたんだ? 裕子」

 父親と顔を合わせず、斜め上の方に目を向けて黙り込んでいた裕子はやがて答えた。

「ふん、こんな村いつか出て行ってやるんだから……」

「おい、待て……」

 廊下に沿って奥へと動き出した既に姿が見えない彼女に母親はそっけなく聞いた。

「裕子、お前今日の夕食はぁ!」

「いならい!」

「そう、分かったわ」

 裕子の足音が完全に途絶えた後、父親は雪野達に向かい謝った。

「見苦しいところ、すみません」

「いえ、気になさらずに。よくある事ですよ……」

 横に座る父親に季流はそう言葉をかけていた。

その後、花月の食事の手が止まった後お開きとなり現在、小羽が部屋を出ている間に夕食の時に初対面した三女についての会話が始まった。

「まさか、小羽ちゃんにあんな凄いお姉さんがいるとは思わなかった」

「おしゃれな人でしたね……」

「まあな。だがこの村の人達は質素な感じだから、ああいう感じは村人達にとっては珍しく思えるのかもな。あれだけで素行が悪いとは言えないけど。門限破りは素行が悪いって言われても仕方ないかぁ。あと喋り方とかも」

「喋り方は母親似な気がしますがね」

「先程の光景を見て思ったんですが、これはもう小羽さんの問題というよりも家族の問題といった方がよさそうですね。お兄さん」

「はい。雪野さんと同じく私もそう思いました」

「というか村全体の問題ですか?」

「ふむ、分かっているじゃありませんか」

 季流は少し間をおいてから話し出した。

「さて明日はどうしましょう? 先程も言った様に村人全員に話しを伺うつもりですが、そもそも琥珀石の事が人間の仕業ではない場合は探す手段が全くありません。そうなれば他に打開策を考えて午後からは速球に行動に移せる様にしておかなければいけません」

「その打開策はどうしましょう、お兄さん」

「今は分かりません。敵がいかにも悪者な感じでわざわざ、この村を守りたければ俺様を倒して見ろ的なノリでアホなら楽なんですけどね。倒すだけで問題解決です」

「私も……自分の能力で何かできないか考えましたけど倒す事以外、何も思いつきません」

「まあとりあえず、できる事をやるしかないですね。明日うまくいかなければその場で考えましょう。全く手がない事はありません。【虫】達が何か知っているかもしれませんし、彼らにも出来れば色々伺いたいと思います。それでダメな時は私に任せてください」

「はい、お兄さま」

「はい。そこは本当に期待しておくので絶対俺に負担が来ない様にしてくださいね!」

「まあ……雪野くんのそんな戯言は置いておいて……」

「え、」

「明後日もし間に合わなければ村人が言うには何か大変な事が起きるという事。その大変な何かが起きれば我々の出番でもあります。その時に琥珀石の在りかについて分かるかもしれないですし私的にはそっちに労力使う方が正直楽そうですねー」

「はい、それはなるべく避けましょうね! と言ってもそうなると俺の出番はなくなるからいいかもしれない……」

 期待を込めた声音でそう呟いた雪野に季流は淡々とこう言葉を吐いた。

「いえ、雪野くんだって何かできる事はありますよ、きっと。例えば村人達が危険に晒される場合、雪野くんが囮として前に立ちそれから逃げ回ったり? まあ通常通りですね」

「えっ……!?」

「災厄な結果を避けるのが我々の仕事ですよね? 状況に合わせ考え、行動していきましょう」

「そ、そうですね……明日、絶対終わらせましょう!」

「私も全力で頑張ります!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ