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人形怪奇  作者: 詞記ノ鬼士
第七章 家族ハプニング
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007 すれ違う春夢たちと雪野たち

 その頃、春夢はクロを探して、魚屋さんの前に来ていた。

 もと来た道を戻り、その中でクロが興味を引きそうな場所を考えての事だった。

 だが……

「いないみたいだね……」

「そうですニャン」

「ここなら、クロがいると思ったのに……」

「いろいろ探してみた方がいいみたいですニャン」

「そうだね、次は二階にいって見ようか」

「そうしましょうニャン」

 こうして春夢はケーキ屋に戻りように踵反し、動き出した。


 その時、後方からは季流が迫ってきており、彼は左側にあるペットショップの区画に目がいった。

「おや、可愛らしいですね」

 見渡して、子犬をまじまじと見つめていた。

「私はやっぱり、猫よりも犬派なんですよね」

 そう呟く。

「でも、ペットはもう家にいるのでだめですね。でも見ているだけでも癒されるものです」

 季流はそう呟き、しばらくそこから動こうとはしなかった。

 

 春夢はケーキ屋さんの前の方にある、エスカレーターを使い二階へと上がった。

 上がった先には、おもちゃ屋さんが広い範囲で広がり、奥の方には靴屋さんとゲームセンターが見える。それは見渡して右の方で、左の方には服屋さんや本屋さんが続いていた。

「どっちの道からから、いきますニャン?」

「う~んっとね。直感的にこっち、おもちゃ屋さんをまず見よう!」

「そうしますかニャン」

 

 その時、上に上がってきていた紀菜は左に見えるゲームセンターの道ではなく、左に花屋さんを挟んですぐ見える文房具屋さんに迷わず直行した。

 奥の方には駄菓子屋さんや本屋さんがある事にも気づいた。

「やっぱり小学生だし、勉強用具は必要よね。さてどれがいいかしら」

 そう呟いて、

「あでも、服でもいいわよね。なんといってもかわいくなくてはいけないわ。私のセンスが問われるわね。さて、どちらがいいかしら?」

 紀菜はいったん文房具屋から出て、服屋へと向かった。

 

 そして春夢はじっくりおもちゃを見る事なく、クロを探しまわっていた。

だが、そこで角を曲がり切ろうとした時、一点に目が行ってしまう。

「あ、これは……」

 突然足を止めた春夢にシロは聞いた。

「どうしましたニャン? 春夢」

「あ、えっとね」

 春夢はある商品を指さして言った。

「これね、メロディスハートというアニメのミナモちゃんが持っているメロディスステッキなんだよ。私が好きなアニメのなんだぁ」

「そ、そうなんですかニャン……」

「いいなーほしいなー。でも多分また買えないかもね」

「そうですね……変えなさそうですニャン。三、五、三、〇、円って書いてありますニャン」

「数字が四個だもんね。私の持っている五〇〇円は三個だからやっぱり足りないみたいだ」

 春夢は落ち込むように顔を下へと下げた。

 それにシロは春夢を励ます。

「また。お金がたまった時に買えばいいですニャン。元気出してください春夢」

「うん。そうだね。頑張ってお金ためるよ」

 春夢は気を取り直して、言った。

「それじゃあ次は、隣見てみようか」

「靴屋さんですニャン」

 春夢はささっと中に入って駆け回り、シロも彼女の後についてくる。

「ここにはいない」

「そうですニャン」

 それを確認すると、春夢は次に言った。

「ゲームセンターに行こうかぁ」

「ニャン!」

 そこへ行ってみると、春夢にとって一番の誘惑が待ちかまえていた。

 子供の遊び場となっているその場所はまるで夢のような場所。

 走る電車の機械や中に入ってアメを取るクレーンゲームなどいろいろあった。

 お子様用の大きなツミキなどがある場所が設置されていた。

 これならただで遊べる。

「あー、遊びたいなぁ~」

「春夢、だめですニャン。今はクロを探さないと」

「ちょっとだけだめかな?」

「うにゃん、ちょっとだけなら……春夢が我慢できないならいいですニャン」

「うん! 遊んでくるね」

 春夢は我慢できず、ツミキの場所へと入っていった。

「春夢はやっぱり子供なんですニャン……」

 シロは春夢を後ろから見守りそう呟いた。


「春夢とシロはどこにいったんニャ! ケーキ屋さんにもいなかったし、おおもちゃ屋さんにもいなかったし、ゲームセンターにもいないとなるとどこニャー!」

 クロは春夢とはすれ違いに、一階から二階へと回っていた。

「ンニャ! まさかとは思うけど、クロはおいてかれたわけではないかニャ?」

 一瞬、そう考える。

「いやいや、春夢たちはクロを見捨てるようなことはしないニャ。そう信じるニャ」

 今、クロは文房具屋と駄菓子屋の境に来ていた。

 チラッと見て、文房具屋さんには春夢の姿は見受けられなかった。

「とりあえず、春夢が行きそうな……駄菓子屋に行ってみるかニャ」

 そう言って、クロは駄菓子屋へ入っていった。


 その頃、雪野と花月は一階のスーパーにいた。

「たまねぎ、にんじん、ジャガイモは必需品だよな。あと、他にもほうれん草とか小松菜とかの野菜も買っておこうっと」

雪野はそうぶつぶつ喋りながら、野菜を花月が持っているかごの中へと放り込んでいく。

「後は、肉も牛乳もついでに買っておくか」

 そう言って移動する際、雪野は花月に聞いた。

「花月重くないか? たぶんお前なら大丈夫だと思うけど……」

「はい。大丈夫ですよ」

「そうか。こういう時にお前がいると助かるな。ありがとう」

「いえ、雪野さんは力がありませんから、私が雪野さんをいくらでも助けますよ」

「お前が俺をけなしていることに気づいてないことは分かってはいるが、ムカつくな」

「え、どういうことですか?」

「どういう事ってそのままの意味。お前、いま俺を弱いってけなしてただろ」

「そんなつもりはなかったのですが……私は雪野さんをけなしてなんていませんよ」

「あー。そうかよ」

 呆れ気味にそう返す雪野がいた。

「ほんとですよ!」

「あー、もう分かっているって。行くぞ」

 雪野は肉をかごに入れると、そう言って次の場所へと向かった。


 蓮はというとちょうど、日用品売り場である物を買った後、百円均一の場所へと向かっていた。

「順調、順調、みんなはちゃんとプレゼントを選べているか心配だな。えっと、後はあれとあれを買えばいいかぁ」

 

 そして、季流はまだペットショップにいた。

「いいですね~」

 じっと、仲間と戯れる子犬をケージの外から見ていた。


紀菜はというと、今おもちゃ屋さんに移動していた。

「やっぱり、おもちゃとかの方がいいのかしらね……」

 紀菜は歩き見渡し、メロディスステッキというおもちゃの前で足を止めた。

「そういえば、このアニメ最近テレビとかで見るわよね。春夢ちゃんも見ていたりするのかしら。でも高いわね。おもちゃ全般は二千円じゃ一個しか買えないわね……ああ、迷うわ!」

そう言葉を漏らした紀菜は……

「もう一度、最初の方に戻ってみる事にするわ……」

再度、文房具屋さんの方へと向かった。


その時、クロは奥にあるエスカレーターをおりている最中だった。

その下にはケーキ屋さんがある。

「ニャー、結局、駄菓子屋さんに春夢はいなかったニャー」

 

 そして季流は、ペットショップからケーキ屋さんの方にすでに移動しており、

「ケーキは雪野くんが作ってくれそうですから、かぶるのは嫌だしやめておきましょう」

 と、スーパー側の道へと歩いて行った。

 それはちょうど、クロがエスカレーターから降りてくる間際の出来事だった。


 クロはケーキ屋さんを見て、春夢がいない事が分かり、

「やっぱりいない……」

 落ち込んだ。

 そして、

「もう、あの手しかないニャ……」

 ある事を思い立って、クロはその場をさらに移動した。

 そこはペットショップで、クロはケージの中にいる犬や猫に話しかけた。

「お前らもこんな狭いケージの中で大変だニャ~。実はクロも今ととても大変なんだニャ」

 前腕どうしたとでもいうように、犬や猫はにゃーにゃー、ワンワンと吠え出した。

「あら、どうしたのかしら?」

「こら静かにしなさい!」

 定員さんがその様子を見て言った。

「お前ら、なるべく静かにニャ! 人間に万が一クロの事がばれたらまずいニャ!」

 その言葉で犬や猫は喋るのをやめた。

「いい子だニャー、それで聞きたい事があるんだけどニャ、春夢という小さい女の子を探しているニャ! ピンクのワンピースをきた子なんだけどここに来ていにゃいかニャ?」

 道側にいる一匹の猫はにゃーと、返した。

 それを聞き、クロはその猫が言ったことを読み取る。

「そうかぁ、見ていないかニャ」

 そして猫の隣にいた子犬はワンワンと鳴いた。

クロとの会話が続く。

「金髪のメガネのお兄ちゃんにじっと見られてたのかニャ? まるで季流とそっくりな見た目なんだニャ……」

 にゃ~、にゃ~と目の前の子猫が言う。

「あ、季流というのはクロを飼っている人間の家族ニャ。怒らすととっても怖いニャ! それからだニャ。クロはその人間には絶対、逆らえない運命なんだニャ! ある能力で睨んできて動きを止められるニャ! それがとっても嫌なんだニャ。クロは自由が欲しいニャ!」

 にゃーにゃー、にゃー。

「気持ちを分かってくれるのかニャ! そうかお前たちも人間たちにこんな所に入れられて、身動き取れず自由じゃないからニャ……ん? そんな事より……」

 クロの言葉に続けて、にゃーん、にゃん、にゃん、にゃんと、まるで苛立っている様に子猫はないた。

「……そんな不機嫌になる必要はニャいぜ。その金髪メガネのお兄ちゃんは猫よりも犬派なだけだよ、きっとニャ。だからお前の事は見てくれなかったんだニャ」

 奥の方でもにゃー、ワンワンと、暇を持て余している犬猫がクロに話しかけ来ていた。

「分かったニャ! 話は一人ずつ聞くから待っていろニャ。お前ら」

クロは彼らと会話がはずみ、春夢の事を忘れペットショップの動物らの所に居座った。


紀菜が再び文房具屋に入って言った後、春夢たちは廊下をくるりと歩いてきていた。

「次はどこにする? 文房具屋さん?」

「でもそこはシロとは無縁の場所ですニャン。ぱっと見たところ、シロの姿は見受けられないですニャン」

 文房具屋さんは通路側から商品が見えるよう、立てに棚が配置されていた。

 そのため、人の姿が見えやすかった。

「だよねー。じゃあ次はその横にある駄菓子屋さんにいこう!」

「そうしますニャン!」

 こうして、二人は駄菓子屋さんへと入った。


「今、聞き覚えのある声がしたような……気のせいか」

 後ろを向いていた紀菜は振り返り、周りを見渡すがそこには知り合いはいなかった。

 再び顔を前に向けた紀菜は、呟いた。

「あ、これなんかよさそうね。それだとこれとこれも……」

 どうやら、だんだんと彼女のプレゼントは決まってきた様だ。

 

 その頃、蓮は服屋さんに向かっていた。

 買うものはもう決まっている。

 それを買いに来たのだ。

「う~ん、色が迷うんだよなぁ。赤かピンクがいいと思うんだけど、どっちがいいか」

 商品を目の前に考える彼の姿があった。

 悩みに悩んだ末、

「よし、これにしょう」

 蓮は商品を点に取りレジへと向かう。

 彼の手には既に二つの手提げ袋ぶら下がっていた。

「お会計は六七〇円になります」

 蓮はお会計を済ませ、こう呟いた。

「ちょうどいい値段だったなぁ。これでプレゼント選び完了っと。さてパン屋で待っていますかー」

 そう言いながら、エスカレーターを降りた蓮は出発地点であるパン屋へと向かった。


 季流はその頃、百円ショップのなかをぐるり周り、今一つピンと来なくて、廊下へと出る。

 そこで蓮とばったり会った。

「季流さん。どうですか? プレゼント選びは」

「まだ全然です。そろそろ決めにいかないとまずいですね……ペットショップで油を売り過ぎていました」

「そうなんですか。動物たちかわいいですもんねー」

「まあ、そうですね。とっても癒されましたよ。見ていると衝動的に買いたくなりそうになったので、別れ惜しいですが切を見てあの場から去ったんですよ。また後で犬たちを見にいきましょうかね?」

「あはは……季流さんは犬が好きなんですねー」

「はい。断然犬派です。私は!」

「そうなんですねー。自分は犬でも猫でも何でも好きですよ。まあ、その話は置いておいて、季流さんはこの後はどうしますか?」

「百均は今、適当に見てきたので次は日用品売り場に次はいってみましょうか?」

「あー、そこは結構たくさん、アイデア商品とか売っているんですよ。さっき見てきたので楽しかったです」

「ほう、そうなんですか? ではそこでじっくり見て行きましょうかねぇ。いい情報、ありがとうございます」

「いえいえ。俺はもう買い物すませちゃったんで、待ち合わせのパン屋の方にいますね」

「そうですか。もう決まったんですね。私もなるべく早くいきますね」

「はい、待っています。それでは」

季流は蓮と分かれ、日用品売り場の中へと入っていった。


春夢とシロは今、服屋さんにいた。

「駄菓子屋さんにもいなかったとなると後はどこに行ったのかな? もう手あたり次第探したほうがいいと思うよ」

「そうしましょうニャン」

「ねえ、服屋さん広いから手分けして探そうよ」

「それがいいですニャン。手分けしましょうニャン」

 春夢は服屋の周りを往復し、シロは春夢の視界に映る範囲に中央をまわった。

 しかし、そこにもクロの姿は無かった。

「やっぱりいない……」

「春夢、もう一度ケーキ屋さんを見てきますニャン。もしかするといるかもしれませんニャン」

 春夢は、その時には疲れた表情を見え隠れさせていた。

「うん。そうしよう……」

 そして、春夢は重い足取りでその場から動き出したのであった。

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