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世界を生き抜く悪党の美学  作者: 横切カラス
5章 悪党は仇なす者に容赦はしない
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第7話

コドラ公爵邸はとにかくデカかった。


アークム男爵邸とは天と地の差。

さすが西都領主の豪邸だ。


なんで金持ちってこんな大きな家に住みたがるのかな?

端から端まで行くの面倒くさいよね?


僕も実は汚い金をたくさん持っている金持ちだけど、こんな大きな家いらない。


「こちらです。

迷子にならないようについて来てください」


エミリーが僕を案内してくれる。


案内がいないと迷子になるほど広い家とか不便で仕方ない。


少し、いやかなり歩いてから玄関の前まで到着する。


エミリーが扉をあげると気難しそうな筋肉質のいかついおっさんが待っていた。


「ようこそ、ヒカゲ・アークム君。

歓迎するよ」


こいつが現コドラ公爵。

凄く怖い顔でずっと僕を睨んでいる。

全然歓迎する顔ではない。


これはあれか?

お前なんかに娘はやらんってやつか?


それがいい。

僕もいらない。

公爵がそう言ったら、その時点で婚約は無事解消だ。


「あなた。

そんなに睨んだらヒカゲ君が怯えてしまうでしょ?」


隣の公爵夫人は対象的にニコニコしている。

リリーナの容姿は母親譲りなんだろう。

姉妹と言われても違和感無いぐらいだ。


「ダーリンごめんね。

お父様は緊張しているだけなの。

気軽にお義父さんって呼んでいいからね」


こいつ両親の前でも猫被ってるのか。

大変だな。

ここまで徹底しているとなると、少し見直したよ。


「いや、流石に失礼だろ。

あとダーリンって呼ぶな」


「構わん。

お義父さんと呼んでくれ」


さっきよりも険しい顔で睨んでくる。

とても気軽に呼んでいいって顔じゃない。


「私はお義母さんって呼んでね」


「遠慮しとく」



西都の街並みは王都とはまた違った賑わいをみせている。


何より海が近いから海鮮が美味い。

四方を陸に囲まれている王都では出せない新鮮さだ。


アークム領も海に面していないから、なかなかこれほどの海鮮には出会えない。

僕は勝手にいろいろ行って好きな物を食べているけど、流石公爵家の昼食。

手の込んだ料理はどれも美味しい。


新鮮な食材は、素材の味を活かした塩だけの方が美味いとか言う美食家どもがいるが、それは断じて違う。


どっちも美味い物は美味い。

一食一食を楽しめない人は人生損してるね。


「どう美味しい?」


正面に座っているリリーナが食べてる僕を嬉しそうに見ながら聞いてくる。


「とっても美味しい」


「そんなー。

美人を見ながらの食事は美味しいだなんて。

私照れるわ」


「……」


「……」


「……痛っ」


リリーナが机の下で僕の足を思いっきり踏みつける。


こいつテーブルクロスで見えて無いからって遠慮ないな。


「大丈夫?

魚の骨でも刺さった?」


「いや、君が――」


僕の足を擦り潰すんじゃないかと思うぐらいグリグリしてくる。

いや、リリーナなら足を擦り潰すぐらいやりかねない。


「……君が前にいると食事が一層美味しく感じるよ」


「あら嬉しい」


こいつ白々しく照れてるふりしやがって。


確かに間違いではない。

美人に限らず美しい物を見ながらの食事は美味しさが増す。


でも、普通わざわざ言わないし言わせないだろ。


「それで、どれが美味しい?」


少し不安そうな顔で僕に尋ねる。


「全部美味しい」


「一番美味しいのは?」


「どれも甲乙付け難いほど美味しい」


「そうなのね。

その中でどれが一番?」


一体なんだ?

なんでそんなに一番を聞きたがるんだ?

それも結構真剣な顔で。

意味がわからない。


「比べるのも悪いぐらい全部美味しい。

痛っ」


リリーナが何度も何度も僕の足を踏みつける。


凄いことに僕が足をずらしても的確に踏みつけて来る。

見えてないのにすごいな。


「ねえダーリン。

私はあなたの一番好みの料理が知りたいなー」


机の上では対象的に可愛い仕草。

その感じで机の下で連続で僕の足を踏んでるなんて誰も思うまい。

もはや腹黒の達人だ。


「ダーリンって呼ぶな。

あと足を――」


「知りたいなー」


どうやら答えるまで辞めるつもりは無いらしい。


僕は仕方なく考える事にする。


「そうだね……

このカルパッチョかな?

特にこのドレッシングが魚と良くあって美味しい。

僕好みの味だ」


「そうなのね」


リリーナの表情が満面の笑みへと変わる。


「嬉しいわ。

そのドレッシングは私が作ったの。

ダーリンの好みに合わせて作ったのよ」


「良く僕の好みがわかったね」


「だって学園ではダーリンとは毎日食事しているから」


「だからダーリンって呼ぶな」


リリーナは上機嫌ななって楽しそうに料理の説明とか今までの夏休みの話を始める。


なんにせよ、足を踏むのをやめてくれて良かった。


「ねえ。

この後は海に行きましょ」


「海?」


「そう。

プライベートビーチがあるの」


「水着無いよ」


「大丈夫。

用意させるわ」


「なら別にいいけど」


久しぶりに海で泳ぐのも悪く無いかもしれないな。


「私、ダーリンの為に新しい水着買ったの。

楽しみにしていてね」


「君は――」


「何着ても美人だろ以外の感想をお願いね」


先に釘を刺されてしまった。

それからダーリンって呼ぶのをやめろ。

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