第2話
夏休みも後半へと差し掛かった。
今日から楽しい旅行が始まる。
かわいい姉妹達と一緒に旅行。
妹達は今日一日の殆どが移動になるからと、元気に早朝から剣術の稽古をしていた。
元気なのは何より。
だけど僕を巻き込まないで欲しいよ。
しかも今日の旅行が楽しみなのか、朝からテンションが高い。
僕はいつも以上にボコボコにされた。
だから僕はこれを利用する。
僕は転んでもタダでは起きない悪党なんだ。
移動の馬車の中で手当してもらう名目でアンヌの隣に座って。
座ってるのも辛いふりをしてアンヌに膝枕してもらっている。
アンヌはワンピースなので太もも直では無いけど、とても柔らかくて気持ちいい。
膝枕さいこ〜。
もちろん正面に座っている妹達の視線は痛い。
だけどそれ以上にアンヌの太ももは魅力的なので気にもならない。
「ちょっとヒカゲ。
いい加減に離れなさいよ」
「お兄ちゃん、いくらなんでも長すぎるよ」
「イヤだ。
僕はここから離れない」
「あんたね!」
「お兄ちゃん!」
「コラッ!二人共!
元はと言えばあなた達が原因でしょ?
今日はちょっとやり過ぎです。
めっ!ですよ」
なに今のめっ!てやつ。
めっちゃかわいい。
二人も少しやり過ぎたと思っているのか、はたまたアンヌに弱いだけか、強行手段はとって来ない。
「でもお姉ちゃん。
こいつ絶対もう痛くないはずよ」
「そうだよ。
お兄ちゃんは絶対アンヌお姉ちゃんの太もも堪能してるだけだよ」
「そうなのヒカゲ君?」
「そんな事無いよ。
僕はまだ痛い。
座ってるのも辛い」
もちろん嘘だ。
でもアンヌは優しいから信じてくれる。
「ほら、まだ痛いって言ってますよ」
「そうだ、そうだ。
僕はとっても痛いんだぞ」
この嘘は絶対に貫き通してみせるぞ。
「そんなの嘘に決まってる!」
「お兄ちゃん!嘘はダメだよ!」
二人共凄い剣幕で睨む。
「コラ!人を嘘付き呼ばわりしては、キャッ!」
「うわーん。
二人が怖い顔で睨む」
僕がどさくさに紛れて太ももに抱きついたら、アンヌが可愛い声を出した。
「こいつ!いい加減に!」
シンシアが遂に立ち上がって僕に掴みかかろうとしてきた。
僕は更にアンヌの太ももにしがみつく。
あぁ、アンヌの太もも最高。
「シンシア!
いい加減にしなさい!
ヒカゲ君こんなに震えてるでしょ!」
「だって……」
アンヌに嗜められてシンシアが渋々席に座る。
その目だけは僕を睨みつけたままだ。
ちなみに僕は震えているふりをして太ももを堪能しているだけだ。
「アンヌお姉ちゃん。
騙されたらダメだよ。
今お兄ちゃん凄くだらしない顔してるよ」
ヒナタに指摘されてアンヌは僕の顔を覗き込む。
僕はすぐに怯えた顔になって誤魔化す。
「ヒナタちゃん。
お兄ちゃんにそんな事を言ってはいけません」
「でも……」
ヒナタも僕を睨みつけたまま大人しく引き下がるしか無い。
僕はこれみよがしに手と顔を軽く動かして堪能する。
「ヒカゲ君。
その、ちょっとこそばいからじっとしててね」
「はーい」
当然やめるつもりは無い。
怒られないギリギリを攻めていく。
「ほら!今の手つきは絶対わざとだ!
アンヌお姉ちゃんもわかったでしょ!」
「うーん……
ヒカゲ君えっちなのはめっ!ですよ」
「はーい」
これはまだもう少しいけそうだな。
「そんなんじゃダメだよ。
お兄ちゃんが調子に乗るだけだよ。
アンヌお姉ちゃんの太ももがお兄ちゃんの餌食になっちゃうよ」
「お姉ちゃんはもっと自覚持たないとダメだよ。
お姉ちゃんの太ももはいつもヒカゲが狙ってるんだから」
「失礼な。
確かにアンヌの太ももは魅力的だけど、アンヌの魅力の一部にしか過ぎない」
「あの……
三人共太もも太ももって言われると意識しちゃって恥ずかしくなってくるのだけど……」
本当に恥ずかしくなって来たのか、アンヌはもじもじしだした。
「大丈夫。
何も恥ずかしがる事無い極上の太ももだよ」
「遂に本性出したわね!」
「僕は事実を言ったまでだ」
「お兄ちゃん!太ももならここにシンシアのがあるでしょ!」
ヒナタがシンシアの太ももを指さして言う。
その言葉にシンシアが慌て出した。
「ちょっとそれはマズイって!?」
ちなみにシンシアは短パンなので生足だ。
「イヤだ。
アンヌの太ももがいい」
「シンシアのは生足だよ!」
「誰もやるとは言って無い!」
「シンシア。
流石に直はえっちだとお姉ちゃんは思います」
「やらないわよ!」
「生足如きでアンヌの太ももに勝てると思うなよ」
「なんですって!」
僕の一言がシンシアの負けず嫌いに火をつけたようだ。
「いいわよ!
やってやるわよ!
さあ、来なさいヒカゲ!」
「そうだ、そうだ。
シンシアの生足の凄さ見せてやれ!」
自分の太ももを軽く叩くシンシア。
それを囃し立てるヒナタ。
アンヌはあまりの展開にあわあわしだしてしまった。
「イヤだ」
「なんでよ!」
「だって絶対殴るもん」
「殴らないわよ!」
「本当に?」
「本当よ!」
「ほっぺスリスリしても」
「な、殴らないわよ!」
「抱きついても?」
「うっ、それは……」
「そのまま撫で撫でしても?」
「な、な、殴る……」
「ほらみろ。
アンヌは殴らないもん。
アンヌの勝ち」
「それはその……
ってやっぱりあんたわざと――」
「シンシアの太ももは殴られてもいいだけの価値あるもん!」
シンシアの言葉を遮ってヒナタが言い切った。
それと同時にヒナタがシンシアの太ももに飛び込んだ。
「ちょっと待ってヒナタ!
何してるの!?
今ヒカゲが自白――」
「このままじゃシンシア負けちゃうよ?」
「今は勝ち負けじゃ無くて――」
「負けていいの?
見てみてあの勝ち誇った顔。
悔しくないの?」
シンシアが僕の顔を見る。
僕はこれみよがしにニンマリとしてみせた。
「めちゃくちゃ腹立つ!
めっちゃくちゃ悔しい!」
「でしょ!
シンシアの太ももならアンヌお姉ちゃんの太ももの魅力を越える事が出来るよ!
なんたってこっちは生足だよ!」
「そうよ!
お姉ちゃんの太ももの魅力になんて負けない!」
「無理だね。
アンヌの太ももの魅力には生足如きでは勝てんよ」
「そんなのわからないでしょ!
私だってお姉ちゃんの太ももの魅力と同じ遺伝子持ってるはずだもの!」
「そうだ、そうだ!
シンシアの太ももだってアンヌお姉ちゃんの太ももの魅力に負けないぐらいスベスベでモチモチだよ」
「あの……
三人共、私の太ももの魅力ばっかり言われると恥ずかしいのだけど……」
もはや妹達にはアンヌの言葉は入って来ない。
「でもな〜
やっぱり殴られるのは大きなマイナスポイントだ」
「シンシアは殴らない!」
ヒナタがシンシアの膝枕の上で勝手に宣言する。
「でしょ?」
「え?いや……それは約束出来ないと言うか……」
「ここが正念場だよ。
ここで殴るのを我慢したらシンシアの生足は絶対に負けない」
シンシアは僕の方をじっと見る。
僕はアンヌの太ももをほっぺスリスリしながら撫で回す。
「キャッ!
ちょっとヒカゲ君!
流石にやりすぎです!
めっ!ですよ」
アンヌは声を上げるけど殴らない。
それをシンシアに見せつける。
「ほらシンシア!
早くしないと戦わずして負けちゃう!
完全敗北だよ!」
ヒナタも負けじとシンシアの太ももにほっぺスリスリしながら撫で回す。
「ヒナタ……
くすぐったいって……」
「ほら殴るの我慢出来た。
これで勝利は決まったも同然。
あとはシンシアが殴らないと言うだけ」
「それは……やっぱり無理……」
「無駄だよヒナタ。
シンシアにその壁を越える事は出来やしない」
勝利を確信した僕は余裕の笑みを浮かべる。
「ッ!いいわよ!
殴らないわよ!
さあかかって来なさい!」
「ほほう。
いい度胸だ。
では僕が試してやろう」
僕はアンヌの太ももに名残惜しみながらも、シンシアの方はと向かう。
「ヒカゲ君?
さすがにシンシアは直だからダメだと、ってヒナタちゃん!?」
「私もアンヌお姉ちゃんの堪能したーい」
空いたアンヌの太ももにヒナタが潜り込む。
アンヌはビックリして黙ってしまった。
「で?本当にいいの?」
僕はシンシアの隣に座ってから今一度確認する。
ヒナタに乗せられて後に引けなくなってるだけだろうし。
「いいから!
早くこい!」
シンシアは顔を真っ赤にしながら顔を背けている。
でも、ここまで来たらしっかり堪能させてもらうのが僕だ。
「じゃあ遠慮なく」
僕はいきなり抱きついて撫で撫でする。
「お?確かにこれはアンヌに負けず劣らずいい。
流石生足だ」
「うぅ、お兄ちゃんの言う通りアンヌお姉ちゃんの太ももは生足じゃ無いのに魅力的過ぎる」
向かいの席でヒナタが唸っている。
ヒナタなんて同性なのをいいことに、僕よりも大胆に撫で回している。
アンヌとシンシアは恥ずかしさですっかりフリーズしてしまっていた。
結局馬車が目的地に着くまでヒナタと二人でアンヌとシンシアの太ももを交互に堪能し、太もも談義に花を咲かせた。
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