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世界を生き抜く悪党の美学  作者: 横切カラス
4章 悪党は自分の都合しか考えない
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第17話

ギルド『ユニコーンハート』の本部。


ギルドマスターの女性はマスター室で今回の不可解な現場に悩んでいた。


何者かによって壊滅させられた裏ギルド『カメレオン』


全く手掛かりが掴めないまま、ユニコーンハートのギルドメンバーまで引き連れて行ったエリアも帰って来ない。


「あなたはどう思う?」


同室にいる秘書の女性に尋ねた。


「当ギルドメンバーが出発してからしばらく経っています。

流石に遅いかと」


秘書は冷静な物言いで返した。


ギルドマスターの頭に全滅の二文字が浮かび上がる。


「まあそれならそれでいいわ。

どうせ素行の悪いメンバーだけを連れて行かしたし。

もしかしたら、エリア達が犯られてるのかもね」


フフフフと軽く笑って大きく伸びをした。


その仕草からメンバーを心配するそぶりは一切ない。

それどころか楽しんでいるそぶりさえみせる。


「むしろその方がいいわね。

このギルドも充分大きくなったし、そろそろ潮時だと思っていたのよね」


このギルドマスターは二つのギルドを巧みに使い。

ユニコーンハートの名前を大きくするのと、カメレオンの名前を裏に轟かせる事に成功していた。


「そうしたら、エリア達にはこのギルドの慰み物になって貰えるじゃない。

あの子達性格に難ありだけど見た目と体はいいから。

飢えた男共をコントロールするのにちょうどいいわ」


「マスターも人の事言えないと思います」


「あら?

知ってるわよ。

だからあの子達をコントロール出来るんじゃない。

そう言うあなたも一緒よ。

性格に難ありだけど見た目と体はいい。

だからあんまり私に楯突くと慰み物になっちゃうかもよ」


冗談っぽく言っているが決して冗談では済まない事を秘書は知っていた。

そうやって堕ちて行ったギルドメンバーを数多く見て来たからだ。


「どちらにせよ。

今回の一件を最後にカメレオンは解体ね。

何事も引き際が大事よね」


「そうね。

だから引き際を間違えたあなたはここでお終い」


部屋に突然現れた三人目の声に二人は驚き、声の方を見る。


「なんなのあんた!」


「ナイトメア・ルミナス第一色、寛容のスミレ」


「どうやってここまで……」


「そんな事、今重要?」


「何やってるの!

さっさとこいつを……

え?」


秘書の方を見て絶句する。


秘書は後ろからその美貌が霞む程綺麗な女の子に、首筋に齧りつかれて血を吸われていたのだ。


秘書はみるみる血の気が引いていく。


「マ、マスター……」


その力ない言葉を最後に干からびて絶命した。


「ご馳走様でした。

やっぱり悪党の血は美味しい」


女の子が満足そうに酔いしれる。

だが、その目はギルドマスターの女性をロックオンしていた。


「お前からも美味しそうないい匂いがするな」


「ひぃ!」


捕食者の目をした女の子に、恐怖のあまり悲鳴をあげて腰が抜ける。


「ソラ。

今回の依頼はあなたが1番貢献したからご褒美よ」


「やったね。

なら早速」


「イヤー!!!」


ソラが飛びかかって、地を這って逃げようとするギルドマスターを馬乗りになって抑えつける。


「嫌よ!

あんな姿になって死ぬなんて絶対に嫌!」


「いただきます」


ソラはお行儀良く手を合わせてから、叫ぶ彼女に容赦なく齧り付く。


スミレはギルドマスターが干からびていくのを見下ろしていた。


「外は終わりました」


ルリが現れてスミレに報告する。


「お疲れ様。

早かったわね」


「マスターにも褒められた超一流の暗殺者ですから」


ルリは得意そうに小さな胸を張った。


「美味しかった。

ご馳走様でした」


ソラは干からびた死体の上で両手を行儀良く合わせた。

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