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世界を生き抜く悪党の美学  作者: 横切カラス
3章 悪党は美術館がお好き
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第18話

魔力枷によって拘束されたリリーナとルナは魔力が使えず剣まで奪われて、ただ鶏冠達についていくしか無かった。


少し行くと急な階段に差し掛かる。


両手を拘束されている二人は、バランスを崩さないように慎重に降りている。


「大丈夫ですかお嬢様方?

なんなら俺達が支えてあげましょうか?」


「なんだってお二人方共、手の引っかかりのいい凹凸が多い体してますからね」


「おいおい、そんな所支えたらお二方共足腰立たなくなってしまうじゃねぇか」


兵士の男達は下卑た視線を二人に浴びせながら、ギャハハと下品な笑い声をあげる。


その屈辱に歯を食い縛って耐えながらも二人は、絶対にバランスを崩してなる物かと必死に階段を下っていく。


やがて、天井の切れ目から一筋の月明かりが差し込む大きなホールへと辿りついた。


その奥は行き止まりになっており、中心付近に台座が二つ並んでいる


「まさかここが……」


ルナはこの場所を見て一目見て悟った。


「王女様はお気付きになりましたか。

正しくここが王家の財宝が隠されている場所。

ついにその大いなる力がドーントレスの物に!」


「大いなる力って何の事?」


「おやおや、王女様もご存知無い?

いいでしょう。

時間も少しある事だし教えて差し上げましょう」


鶏冠が得意気な様子で話始める。


「かつて我らがホロン王国が戦乱真っ只中にあった頃。

周辺諸国を圧倒的な力で捻じ伏せていた力。

それがここに隠されている。

この力を恐れて周辺諸国は次々と和平を申し出て来た。

にも関わらず!

何が平等な和平だ!

我らがホロン王国にひれ伏すべきでは無いか!」


「そんな歴史は存在しないわ!

各国々が散って行った命や流した血を悔いて、同じ過ちを繰り返さないように和平を結んだのよ!」


力説する鶏冠にルナが王女として反論する。

しかし、鶏冠の心には一切響かない。


「ああ、なんと嘆かわしい。

王女とあろう者が世界の本質を理解していないとは……

このままでは我らがホロン王国は衰退していく一方。

いや、やがて周辺諸国の毒牙にかかり消滅してしまう」


あまりの突拍子の無い話にルナは頭痛すら感じていた。

だが、鶏冠は決して大袈裟に言っているつもりではなく、本心からそう思っている。


彼だけでは無い。

ドーントレスの思想が王国史上主義なのだ。


「歴史の授業なんて今はどうでもいいわ。

それより、その大いなる力ってのを手に入れてどうするつもり?」


話が通じないと感じたリリーナが鶏冠に問う。


「もちろん、かつての強いホロン王国を取り戻す為。

そして今度こそ世界の全てをホロン王国に塗り替える為。

ドーントレス!ホロン王国に新しい夜明けを!」


「「「ドーントレス!ホロン王国に新しい夜明けを!!」」」


鶏冠の後に続いて兵士達が一斉に復唱する。


その異様な迫力にリリーナとルナはなんとも言えない恐怖に陥る。


「おっと時間だ」


鶏冠が台座へと向かっていく。


月が傾いて月の光が台座に真っ直ぐ伸びている。

その台座の上にロビンコレクションのダイヤモンドを置いた。


月の光がダイヤモンドに入り、屈折した光がもう一つの台座の方へと5つの光となって伸びる。


次にもう一つの台座に天秤を置く。


真っ直ぐ伸びた光の一つが天秤に埋め込まれた宝石を通って屈折して反対の壁に当たる。


「知っていたかい?

この人と鳥の像は重さが全く一緒なんだ」


鶏冠は二つの像を同時に持ち、天秤の両皿に乗せる。


天秤は傾いたまま動かずに、他の光が丁度それぞれのルビーに当たる。

そして、

ルビーを通った光は屈折して、赤い光として天秤を貫通した光と壁で重なった。


すると壁がゆっくりと音を立てて下がっていき、その奥に大きな部屋が現れる。


「ついに、ついにかつての王国の力が!」


完全に壁が下へと沈み切ると、一本の禍々しい剣が地面に突き刺さっていた。


その奥には一際目立つ巨大なガーゴイルの像。

その四方に小さなガーゴイルの像が並んでいた。

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