表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
もしかして悪役令嬢 ~たぶん悪役令嬢なので、それっぽいフラグを折っておきます~  作者: もののめ明
■第二部 マクニール魔法学院四年生

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

391/393

王国に留学してきた理由は

 あれは、私が7歳のときだっただろうか?

 アルダー・ル雑貨店に、帝国の商人オットーさんが一人の少年を連れてきたことがある。その少年の名が、ウルだ。今、目の前にいるウルとは全然容姿が違うけれど。

 オットーさんからは、親戚だと紹介されたのよね。たぶん、ウソだろうなとは感じていたけれども。

 そして―――ウルに店を案内していると、"帝国へ来い。同郷の者とも会える"と言われ。

 それで私は初めて、帝国には天恵者の村があると知ったのだった。私が帝国へ行く切っ掛けになった人物、とも言えるだろう。

 あのとき。

 ウルはいずれ、ゆっくり話をしよう―――と言った。

 だけど結局、彼とはそれっきりだ。だから、もう二度と会うことはないと私は思っていた、のに。

 ―――ウルリッヒは嫌そうな顔をしているアルを無視して、私を覗き込む。

「そなた、帝国へ来たのだろう?それをあとで知って……ああ、初めて会ったときに、きちんと名乗っていれば良かったと後悔したぞ。名乗っていれば、私に会いに来てくれただろうに」

 ……え?

 思わぬウルリッヒの言葉に、私は目を丸くする。

 いやいや、別に会いに行ったりしないよ?私が気になったのは、他の天恵者のことだけだもん。

 でもウルリッヒは自信満々で、"そんなことない"と言われるとは思ってもいない様子だ。

 アルがぐいっと私を引いて、自身が前に出る。

「アリーは……アリッサは、僕に会いに来てくれただけだ。兄君の用事で他国へ訪問したついでにね」

「まあ……そういうことにしておいてやろう」

 ウルリッヒはしたり顔で頷いて、私にウィンクした。

 うわぁ……やだぁ。なに、この自信?!

 なんか、皇女さまだけでも面倒なのに、もっと面倒くさそうな人まで同じクラスになっちゃったじゃん。私の四年生、一体、どうなるの?


 なんとか二人を案内し、次の時間からは授業に。

 アルは心配そうに自分のクラスに戻ってゆく。

 さて、ウルリッヒとベルティルデは、私にとって厄介そうだけど……クラスメートには大人気だった。まあ、二人とも美男美女だし、どちらも婚約者がいないらしいから、そりゃ、盛り上がるよねぇ。

「まさか、お相手探し?」

 みな、興味津々。

 まだ婚約者のいない者は、休み時間になるとさっそく声をかけに行く。

 二人は意外と愛想が良くて……この調子だと、あっという間にファンクラブが出来そうだ。

「アリッサ。彼、あなたに気があるんじゃないの?」

 昼休み。

 ジョージーナがニヤニヤしながら言ってきた。

 一年生のときは、お互いに"様"をつけて呼び合っていたけれど、今は内輪のときは様付け無しだ。

 ジョージーナがからかうのは、ウルリッヒが私に「一緒に食事を」と誘ってきたからだろう。

「興味ないもん」

 私は顔をしかめて、返事する。

 クラスメートたちも、ウルリッヒはもしかして私狙いでは?という見解がすでに起こっているようだ。

 あああ、迷惑~……。

 でも身分的には、そう考える人も出てくるよね……。

 ウルリッヒは伴侶探しなんて一言も言ってないけど、どうやら否定もしていないようだし。

 ケイティが私の肩を叩いた。

「うんうん、だってアルフレッド殿下の方がカッコいいもんね!」

「あら、ウルリッヒさまも悪くないでしょ。自信に溢れてて、男らしくて、それに紳士的だわ!」

「それは全部、アルフレッド殿下にも当てはまるじゃない」

「でも、アルフレッド殿下は人と線を引いているところがあるもの。そこがまた良いとも言えるけど……ウルリッヒさまは、とても親しみやすいわ」

 シェリーが熱弁をふるう。

 ケイティがそそくさとペンと紙を取り出した。

「これはもう……アリッサを巡って、三角関係ね!」

「ケイティ、違うわ。あの皇女さまはアルフレッド殿下を狙っているらしいのよ?四角関係よ~!」

「きゃ~、創作意欲が湧く~~~!」

 止めて……ネタにしないで……!


 ただ、翌日、ウルリッヒがこっそりとこの国に来た本当の理由を教えてくれた。

「他の者には内緒だぞ?……我が国は渡り者を優遇した結果、魔道具がかなり発展した。おかげで魔力の少ない者でも、便利に生活が出来るようになった。一方で、便利な道具に頼るせいで、魔法が廃れつつあるのだ」

 このときのウルリッヒは、上に立つ人間の顔だった。真剣に、国のことを考えている人の、顔。

「魔力の少ない民は、魔法が使えなくても構わぬ。しかし魔力のある貴族までもが、魔法を覚えるより、魔道具を使う方が良いとなっては……駄目であろう?」

「でも、魔法は使えるようになるまで大変だし、個人差も大きいから……仕方ないんじゃないですか」

 学院に入学してから、魔法を使うのに苦戦しているクラスメートたちを私は結構見ている。便利な魔道具に流れるのは、自然の流れだと思う。

 しかし、ウルリッヒは厳しい表情で首を振った。

「だが、魔法は国を守る力だ。ブライト王国には及ばぬが、我が国にもいくつか重要な古い魔法が掛けられている場所がある。その魔法を正しく継承し、行使してゆかねばならんのだ」

 ふうん……。

 ウルリッヒははっきりとは言わなかったけれど、どうやら、帝国では古い魔法を使える人がいない……ようだ。帝国に残っている、重要な古い魔法が上手く作動させられなくて、困った事態になっているっぽい。

 なるほど、だから、ブライト王国に留学してきたのね。

 ベルティルデも同じ考えだという。意外と、二人とも真面目じゃん……?

「アリッサは、相当な魔法の使い手と聞いている。ぜひ、いろいろと教えて欲しい」

「はあ。でもアルも……アルフレッド殿下もすごいですよ?」

「あやつには教わらん!」

 ありゃりゃ。即答されちゃった。

 ―――ちらっとアルに聞いたところによると、前に帝国の魔法の授業で、ウルリッヒをこてんぱんにやっつけたことがあるらしい。

 以来、ウルリッヒに敵視されているのだとか。

 まったく……アルも、そこはウルリッヒの顔を立てて、適当に負けておいてあげたら良かったのにねぇ。

 ま、アルも結構負けん気が強いから……ムリかな?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
いつも楽しく読んでます! 女子が集まれば恋バナの時間かな! 女性特有の『勘』も働いていろいろ盛り上がるね(笑) さて、真面目な理由もあるけど、現代でも便利と不便(でも伝統、技術)の狭間は色々あるよ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ