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断罪後から始まる泣き虫悪役令嬢の泥だらけ領地再生記 ―追放先の辺境村で干ばつを止めたら、商人ギルドに目をつけられました―  作者: 夜凪ユリエ


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第33話 『連盟の条件』

 南部連盟――仮称。


 ラグナ、ローヴェル、ブレイン、そして小規模二村。


 合計五領。


 規模は小さい。


 だが、合算すれば無視できない備蓄量になる。


 ラグナ村の集会小屋は、これまでで最も人が多かった。


 アデルが中央に立つ。


「まず確認する」


 冷静な声。


「これは救済組織ではない」


 視線が各代表をなぞる。


「共倒れを防ぐための合理的枠組みだ」


 ブレイン村の代表が苦い顔をする。


「……助け合いではないのか」


「助け合いは感情だ」


 アデルは即答する。


「これは生存戦略だ」


 空気が張る。


 エリシアが板を出す。


「三原則を提示します」


 一、情報完全共有

 二、備蓄最低基準の統一

 三、出荷調整による価格抑制


「違反は?」


 ローヴェル側の書記が問う。


「罰則」


 エリシアは静かに言う。


「備蓄未達成領は融通対象外」


 ざわ、と空気が揺れる。


「厳しすぎる」


「甘ければ崩れます」


 レオンが後方で小さく頷く。


 切り捨てを知っている目。


 アデルが口を挟む。


「さらに条件を追加する」


 全員が見る。


「感情的暴動が発生した場合、その領は一時的に連盟権限停止」


 ブレイン村代表が立ち上がる。


「暴動は不可抗力だ!」


「だから停止だ」


 冷たい。


「市場は感情を利用する」


 アデルの瞳が鋭く光る。


「内部が揺れれば、連盟は崩れる」


 正しい。


 だが痛い。


 エリシアは静かに言う。


「暴動を防ぐのは、設計です」


「理想だ」


 アデルが返す。


「責任です」


 視線が交わる。


 火花のような緊張。


 ミレイアが低く言う。


「価格はさらに上昇中」


 板に数字を書く。


 前日比五%増。


 炎は強まっている。


「時間がない」


 ナディアが言う。


「決めろ」


 沈黙。


 やがて、ブレイン村代表が息を吐く。


「……参加する」


「罰則も受け入れるか」


「受け入れる」


 声は震えているが、覚悟はある。


 次々に同意が出る。


 南部連盟、暫定成立。


 だが。


 その瞬間、外から馬の音。


 王都からの使者。


「通達!」


 封蝋はギルド。


 エリシアが開く。


『南部流通監査強化。無許可の備蓄移動は違法とする』


 囲い込み強化。


「……潰しに来ましたね」


 ミレイアが呟く。


 アデルは笑わない。


「市場は待たない」


 エリシアは板を見つめる。


 連盟成立。

 だが流通封鎖。


「正面からは戦えません」


「迂回するか」


 ナディアが言う。


「はい」


 エリシアは決断する。


「内部消費を優先」


「価格調整は?」


「限定的」


 完全な対抗は無理。


 まずは持久。


 そのとき、集会小屋の外で声が上がる。


「売れ!」


 南部の行商人たちだ。


「価格が上がってる今が好機だ!」


 揺れる。


 連盟成立直後に、誘惑。


 アデルが冷たく言う。


「これが試練だ」


 エリシアは外へ出る。


「売りません」


 行商人が怒鳴る。


「損するぞ!」


「承知しています」


「なぜだ!」


 静かに答える。


「炎に油を注がないためです」


 沈黙。


 行商人は舌打ちし、去る。


 だが全員が納得したわけではない。


 連盟は始まったばかり。


 市場は敵。


 内部は不安。


 夜。


 焚き火の前。


 アデルが隣に立つ。


「あなたは本気だ」


「はい」


「失敗すれば、あなたが責められる」


「承知しています」


「怖くないのか」


 少しだけ間。


「怖いです」


 アデルは小さく笑う。


「正直だな」


「責任ですから」


 干ばつは続く。


 価格の炎はまだ消えない。


 だが、南部は初めて枠を作った。


 囲い込みの影の中で。


 連盟は、揺れながら動き出す。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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