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第五章 scene3 宿泊場所

騎士は去った。

鎧の足音が遠ざかり、通りのざわめきが戻る。


でも、胸に残る空気だけはまだ重たいままだった。


 


サーヤは、しばらくその背中を見つめていたけれど――

横で大きく伸びをしたレオンの気配で現実に戻る。

くるっと振り向く。



「…………あのさ」


レオン

「ん?」


サーヤ、ぐっと眉を寄せる。


「――あんた何者!?」


通りに響く声。


周囲の人がちょっと見る。

でもサーヤは止まらない。



「さっきの推理!!

あれ!! 普通の旅商人の発想じゃないでしょ!!」


「なんでそんな、裏の構造とか隊列運用とか……

“考え慣れてる人”の考え方なのよ!!」


ぐいっと詰め寄る。


「探偵!?

元役人!?

諜報員!?

裏社会の参謀!?」


レオン、面倒くさそうに頭を掻く。


「……まぁ――」


ちょっとだけニヤっとして。

「“考えなきゃ死ぬ世界”で生きてきただけだよ」



サーヤ

「ごまかした!!??」



でも怒ってる顔のまま――

少しだけ笑ってしまう。

(やっぱりこの人、ただの軽口野郎じゃない)

(頼りになる時は、ちゃんと一番頼りになる)



……ふと気づく。



サーヤ

「…………あっ」


レオン

「ん?」


サーヤ

「ねぇ――」


「今日どこ泊まる?」


 

沈黙。



レオン

「……………………」


サーヤ

「……………………」



二人

「「………………はっ!!!」」



妹、思わず吹き出した。


「ふふっ……」


そして少しだけ遠慮がちに、でも優しく言う。

「あの……もしよろしければ」

ぎゅっと手を胸に当てる。

「泊まる場所……

――うちに来ませんか?」


サーヤ

「いいの……?」


妹は小さく笑う。

「兄さんの……命を救ってくれた人たちですし、」


サーヤ&レオン

(…いや、むしろ熊から命を救われたんだけど…)


「それに――」

少し照れくさそうに続ける。


「……話を、もう少し……聞いていたいんです」



レオンは照れ隠しみたいに肩をすくめる。


「じゃあ、お言葉に甘えるか」 


サーヤ、深く息を吸う。

張り詰めてたものが、少しだけ緩む。

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