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7.宮廷魔術師長、もうすぐ終わる。

王国の知の頂点、宮廷魔術師長の視点のお話。


勇者が城を脱出する前日です。


儂が先代より宮廷魔術師長の座を奪い取り――……もとい、座を受け継いでから、もうすぐ10年が経とうとしておる。


苦節10年。長かった。実に長かった。


つまらぬ雑事に忙殺される日々。


研究のための時間も碌に取れず、悶々とする毎日。


しかし、それも後1週間ばかりで終わりを迎える。


そう思えば、少しは感慨深い――……事は無いな。うむ、全く無い。


普通に清々するわい。



「……勇者の教育も、もうすぐ終わる……そうすれば思う存分研究できる……それまで辛抱せねば……」



異世界より勇者を召喚し、相応しい教育を施す。それが無事に成された暁には、褒賞代わりに勇者召喚陣の研究に没頭できる時間をいただく事になっておる。


勇者召喚陣に近付くためには、勇者召喚陣の技術的価値を碌に理解しておらぬ愚物の許可が必要という理不尽が故に、ここまで苦労を強いられてきたのだ。


如何にも愚物らしい愚かな妄執に取り付かれ、あの素晴らしい技術の結晶を出し渋るとは、本当に愚かな事よ。


愚物の度し難い愚かしさのせいで、儂の貴重な時間は無駄に浪費され続けておる。全く忌々しい。






今より千年前。千年に一人の大天才が、国家滅亡の危機という極限状況化において顕現せしめた奇跡。


二つの異なる世界を繋ぎ、人間の安全な移動を可能とする、空前絶後の御業。


当時の研究資料は混乱の内に消失し、今となっては儀式の中核を成す勇者召喚陣の現物しか残っておらぬ。




研究したい。勇者召喚陣を研究したい。果たしてどれだけの知見を得られるであろうか。他の技術と掛け合わせ応用すれば、どれほどの事が可能となろうか。


過去に宮廷魔術師長の座に就いていた者どもは、研究者としては木っ端も木っ端の無能揃い。大天才の遺産を前にして、碌に解析もできぬ役立たずどもばかりであった。


しかし、この儂は違う。千年振りに王国に誕生した大天才たるこの儂の手にかかれば、奇跡を成さしめる技術の秘密を解き明かせる事は間違いなかろう。


研究のための十二分な時間さえあれば、それが可能なはずなのだ。そう、時間さえあれば、時間さえあれば可能なはずなのに。




本来であれば、宮廷魔術師長の座に就いてすぐにでも研究に取り掛かろうと思っておったのに、あの愚物めが邪魔しよったせいで、それは叶わなかった。


大天才たるこの儂を頼りにしたくなる気持ちは、わからぬでもない。だがその気持ちは抑えて、儂に研究のための時間を喜んで与えるべきであろう。我が国のためにもそうするべきなのは明らかであろうに、あの愚物にはそれがわからぬらしい。世俗の些末事の処理などを儂に押し付けてきよるのだ。どうしてこの儂が、そのような下らぬものに煩わされねばならぬのか。


幾度、この座を捨ててしまおうかと思ったか知れぬ。そのたびに歯を食いしばって耐えてきた。


今はまだ駄目だ。勇者召喚陣の研究のために宮廷魔術師長の座に就いたのに、つまらぬ雑事のせいで無駄に忙しすぎて、まだホンの少ししか触れられておらぬのだ。


今はまだ辞められぬ。そう思い続けて、ここまで耐え続けてきた。


それも、後もう1週間ばかりの辛抱だ。


ここ最近は特に苦労も多かったが、それもこれも全ては勇者召喚陣の研究のため。その苦労が報われる日は近い。






条件術式を施した勇者召喚陣を起動し、異世界より今代の勇者を召喚したのは、今から3週間ばかり前の事。


召喚された勇者は、一見すると普通の若い男性のようであった。


しかし、見た目に騙されてはならぬ。過去の事例によれば、神話の魔物が人間の皮を被っておるかのような恐ろしい者が召喚された事もあるという。


実力も人格も知れぬ内から迂闊な真似をして、万が一にも勘気に触れれば、如何な行動に出るやも知れぬ。


儂も魔術師としての実力には相応の自信を抱いておるが、魔物に匹敵するほどの危険な存在ともなれば、どうにかできる保証は無い。




決して気を抜いてはならぬ。そう気を引き締めた次の瞬間、あの愚物め、やらかしよった。


得体の知れぬ勇者に向かって、事もあろうに『魔王のよう』などと抜かしよった。


一瞬本気であの愚物の頭を引っ叩いてやろうかと思ったわい。




確かに、黒目黒髪に黒衣を纏う姿は、伝承にある魔王を彷彿とさせるものではあった。だがまさか勇者本人を前にして、そんなふざけた事をほざくとは、考え無しにもほどがあろう。どれだけ愚かなのだ、あの愚物は。


嫌な冷や汗をかかされたが、今代の勇者は随分と鈍いようで、愚物に侮辱的な事を言われたとは気付いておらぬ様子であった。


我が国にとって扱いやすい勇者が召喚されるよう条件術式を弄ったのが功を奏したらしい。つまり、助かったのは儂のおかげという事だ。


とは言え、愚物に何度も同じような真似を続けてられては、如何にも鈍そうな勇者であっても、さすがに気付かれるやも知れぬ。それに、扱いやすいとは言っても限度はあろう。このままというのは非常によろしくない。


勇者が侮辱に気付かぬように、かつ、いい気分にさせて我が国の勇者として動かしやすくなるように、そこから先は綱渡りのような遣り取りの連続を強いられる事となった。




あの愚物はただの愚物ではない。我が国の頂点に立つ愚物だ。


ただの愚物の言葉なら頭ごなしに否定すれば良いが、我が国の愚物の頂点の言葉ともなれば簡単に否定する訳にもいかぬ。


平静を装い、愚物の言葉に適度に同調しつつも勇者が不快にならぬように方向性を変えるという作業は、本当に本当にしんどかった。


どうして儂の明晰な頭脳を、そのような下らぬ些事のために使わねばならぬのか。我が国にとって、これほどの損失があろうか。


本当ならば些事は別の誰かに押し付けたかったが、この時はまだ勇者の存在は秘匿事項であったが故、儂が何とかするより他に無かった。




勇者のスキルに話が及んだ時などは、本気で焦らされた。


今代の勇者の保有するスキルは、その場で効果を確認するのが困難なほどに特殊なスキルであった。それは裏を返せば、凄まじく強力なスキルである可能性を示唆しておる。


過去の事例によれば、勇者のスキルは特殊なものが多い。その特殊性が高ければ高いほど強力な効果を有し、またそれに比例するように勇者自身も強力となる。反面、特殊性が高ければ高いほど制御が難しく、暴発の危険性も増す傾向にある。


暴発するなら、それでも良い。それならそれで、敵諸共自滅するよう仕向けるなどすれば良いだけの事。無力であれば役には立たぬが、強力であるなら、使い勝手が悪くとも使い道はある。然程問題では無い。


スキルの特殊性の高さを知り、勇者への期待は高まったが、問題はあの愚物だ。目に見えてわかりやすく効果を示さねば、あの愚物はそれを理解できぬ。わかりやすいものしか理解できぬ、わかりやすい愚物だ。


目に見えて不機嫌そうな愚物の様子からして、理解しておらぬのは一目でわかった。先刻の『魔王のよう』という失言は運良く流されたが、もしもあの愚物が次に何か大きな失言をすれば、今度は無事に終わる保証は無い。


不機嫌になった愚物を、いまだ未知の部分が多い勇者と対面させておくのは危険すぎた。仕方なく、かなり強引に会談を打ち切り、その日はお開きとした。


あの時ほど、やはり愚物は始末しておくべきだったか、などと無駄に葛藤した瞬間は無かったわい。






果たして、あの勇者は何者であるのか。本人は言葉を濁しておったが、間違いなく貴人であろう。おそらくは小国の王族に準ずるほどの高位の貴人。それは一目見ればわかった。


髪、肌、指先、隅々にまで手入れが行き届いた様子からして、日常的に手間暇をかけて身を磨かれる立場にあったという事であろう。それも、ただ裕福なだけの者とは手入れの質の高さが明らかに違う。


あの愚物めは、髪が黒いというだけで碌に目にも留めておらぬようだが。


身に纏う黒衣に至っては、もはや異常とすら言える代物であった。王室お抱えの職人でさえ作れるかどうかも知れぬほど、布地も縫製も質が高い。金を積めば誰でも手に入れられるようなものとは完全に一線を画しておる。


ほとんど装飾の施されておらぬ黒一色の地味さ故に、あの愚物は完全に興味を失っておったようだが。


何故あの愚物は気付かぬのか。飾り気の微塵も感じられぬ黒衣は、貴人が公的な場にて着るようなものではない。あれは私的な場にて着るものであり、日常的に着潰しても良いものなのだ。


王室お抱えの職人でさえ作れるかどうかも知れぬほど高品質の黒衣を無造作に身に纏う様からして、あの勇者は明らかに只者ではない。


そうかと思えば、態度や言動には不釣り合いな卑屈さが時々垣間見える。何らかの事情により隠して育てられた御落胤、とでも言ったところであろうか。問い詰めて吐かせるべきか否か、少々悩まされた。


勇者が元は何者であろうと、本質的にはどうでも良い事ではある。元はどうあれ、今はもう我が国の勇者となったのだ。我が国のために働かせる事には変わりない。


しかし、単なる駒として使い潰すよりも、担ぎ上げた方が益が多いようであるならば、愚物と首を挿げ替えるか否か、一考の余地はあろう。大昔の事ではあるが、過去にそのような前例もあるにはある。


ともあれ、当面は戦場の駒の一つとして使う事になろう。駒として以外の価値の見極めは追々でも良い。




庶民の大半は、わかりやすく派手なものにしか価値を見出せぬ。一見すると地味にしか見えぬものの価値は、庶民には理解できまい。


王都にて勇者を披露する際には、庶民が遠目に見ても高価であるとわかるような装いに変えねばならぬであろう。下々の者どもの感性に合わせた装いをするなど面倒極まり無いが、どうせ合わせるのは儂ではない。


国威発揚のためにも、精々道化のように派手派手しく飾り立ててやろう。


それはそれとして、至近距離で見たはずなのに価値を理解できぬ愚物は、もう本当にどうしたものか。もう捨て置きたい。捨て置きたいが、あの愚物を捨て置くと、いずれ勇者に向かって取り返しの付かぬ真似をブチかますかも知れぬので、そうもいかぬ。


あの愚物の面倒を見るの、誰か変わってくれぬものか。






現在までのところ、勇者の教育に関しては概ね順調に進んでおる。正直、これに関しては予想外であった。多少の教育不足は想定の内、実用上では問題無いと言い張るつもりであったのだが、嬉しい誤算と言えよう。


当初の計画では、過去の資料を参考にし、勇者に余計な考えを抱く暇を与えぬように過密日程での詰込み教育を行う予定であった。


それが教育開始を目前にして勇者を披露する日程が変更となり、それに合わせて教育にかける時間を圧縮せざるを得ず、儂の目から見てもさすがにこれは無茶がすぎると思えるような超過密日程を組む羽目となってしまったのだ。


あの愚物が無駄に出しゃばったせいで酷い日程となったにもかかわらず教育が順調に進んでおるのは、儂の差配の妙によるものであろう。そうに違いあるまい。




一般教養については、熟達の女史に担当していただいた。これまでに多くの傑物を見事に育て上げた実績があり、信頼の置ける女史だ。


唯一、我が国の愚物の頂点だけは教育に失敗しておるが、猿並みの愚物を人並みの愚物に更生させたのだと見れば、失敗無しの実績の持ち主と言っても良かろう。


実際、女史の勇者への教育はうまく行っており、今日まで全く問題は出ておらぬ。


かつて第一王子の教育係を務めたボンクラ爺が出しゃばろうとしてきたが、断固拒否して正解であった。




女史からは教育の進捗状況の報告とは別に、勇者への教えやすさが所感として報告されておる。


一を聞いて十を知る天才ではないが、十を知るために十の努力を厭わず、明らかに高度な教育を受け慣れた様子が見受けられる、と。


育ちというものは、隠しても隠し切れぬものだ。




戦闘訓練については、若くして騎士団長の座に就いておる公爵家の小倅に一任した。


若さ故の経験の浅さは見られるが、それを補って余りある才能と見識の高さを併せ持つ実力者であり、若いながらも一団を率いる長として部下からの信頼も厚い。


とうの昔に引退させられた敗残の老将が出しゃばりたがっておったようだが、それも鮮やかに一蹴したようだ。若い割には、なかなかに頼もしい。




騎士団長からは、訓練開始時点で指導する事がほぼ無い状態だと報告されておる。


過去の事例にある通り、召喚の副次効果によって勇者の身体能力は上がっておるようなのだが、問題はその上昇幅だ。完全に常軌を逸したものであるらしい。


駆ければ駿馬よりも速く、剣を振るえば剣圧で雲が裂け、どれだけ動いても息一つ乱さず、汗一滴かかず、あらゆる面で人間の域を超えておる。人間離れした超戦士を相手に、いかに凄腕の剣士と言えども、只人が指導できる事など無い。


ただ、召喚直後の勇者は身体能力が上昇しすぎた副作用で身体感覚が噛み合わず、まるで剣を握った事も無い新兵のように動きが雑で隙だらけらしい。現状では、万全とは言い難い状態にある。そこは訓練の余地があるようだ。


今はとにかく感覚を修正するために、実戦訓練と称して騎士団員達とひたすら剣を交えさせ続けておるという。より正しく言うなら慣熟訓練とでも呼ぶべきものだが、その言い様では、自らの身体すら碌に御せぬ無能とでも言っているかのように思われるかもしれぬ。勇者の耳に入れば不快にさせる恐れがある故、実戦訓練と呼んでおる。


騎士団長が直々に剣を交える事もあるようだが、とても勝てる気がせぬと零しておった。


刃を潰した訓練用の剣とは言え、鉄剣の全力の一撃を食らわせて怪我一つ負わぬどころか痛がる素振りさえ見せぬ相手に、全く勝ち筋が見えぬらしい。今は動きが雑なので負けぬが、あまりにも頑丈すぎて倒せもせず、部下の手前、歯が立たぬとも言えず、なかなかに苦労しておるようだ。


若造の苦労の甲斐あってか、勇者の動きは日々良くなっておるようなので、訓練を任せた儂としては喜ばしい。




魔術の授業については、儂が自ら担当しておる。数多の魔術師達の頂点に座す儂が初心者に魔術の基礎から教えるなど時間の浪費としか思えなかったが、事が事だけに余人には任せられなかった。


あの勇者は魔術系スキルを持たぬ故、生身での魔術の行使はできぬ。だが、魔術が使えずとも魔術の知識があれば、敵の魔術に対抗する一助となる。戦場に向かわせる前に必要最低限の知識だけでも仕込んでおけば無駄死には避けられるであろう。


せっかく召喚したからには、同じ死ぬにしても、有意義に死んでもらわねば採算が合わぬ。当初はそのつもりで教え始めた。


授業を始めて3週間ばかり。ここまでの率直な感想として、あの勇者は戦場に送るには惜しい。できる事なら研究の助手に欲しい。


女史の所感にもあった通り、どうにもあの勇者、教えを受ける事に対して慣れが見られる。幾何的な図形を把握するのに優れ、数字の計算にも長けておる。何より、勇者自身が魔術に興味があるようで、教えるほどによく学ぶ。


あれは久々に当たりの弟子だ。非常に教え甲斐がある。


気が付けばついつい興に乗りすぎて、高等魔術の魔法陣の理論構築に関する講義にまで至ってしまったわい。


魔術に関してはもう当初の予定分はすでに履修を終えておるのだが、ここで打ち切るのも切りが悪くて気持ちが悪い。予定通り、後1週間ばかり教えるのは悪くない。




先日、興味本位で勇者の魔力を量ってみたのだが、その身に内包された魔力が尋常では無かった。さすがは勇者と言うべきか。


常人であれば耐えられず爆発四散してもおかしくないほどの凄まじい魔力量。魔力密度も凄まじく、結晶化せぬのが不思議なほどであった。


あまりの魔力密度の高さ故、魔力がほとんど体外に漏れ出ておらず、傍目には庶民と同程度の魔力量にしか見えぬ。興味本位で精密検査をした事で初めて判明した事実だ。


生身では魔術を使えぬ者でも、魔法陣を介してならば魔術は使える。あれほどの魔力があれば、魔石に頼らずとも大規模な魔法陣を起動できるであろう。


惜しい。研究助手に欲しい。暴発の危険はあるが、何があっても儂の身が無事で済むよう対策を施した上で、うまく使う手を真剣に検討するべきかも知れぬ。






いずれにせよ、今のところは概ね予定通りに推移しておる。うまく行っておらぬのは、勇者の篭絡に関する事くらいであろうか。そちらは儂の管轄にはない故、何とも言えぬが。


勇者付きの侍女は御手付き無し。


第八の小娘は念入りに御膳立てされておるのに友誼を結べる気配すら無し。


騎士団員達との訓練時の様子からして、男色の気も無し。


人妻などにしか興味が沸かぬ御仁かと、幾人か用立てたようだが、そちらにも目立った反応は無し。


薬品を食事に混ぜるなどの手も使ったようだが、勇者の身体には効かなかったようだ。


度重なる小細工が気に障ったのか、勇者は余人が私室に踏み入るのを拒むようになり、手詰まりとなっておる。


もしかすると、幼い頃より、その手のものへの対処を身に付けるよう育てられてきたのかも知れぬ。その可能性は十分に考えられる。


如何にも愚物の好みそうな下らぬ手など、そも初めから然程効果は期待しておらぬので、儂の立場からすれば概ね予定通りと言って差し支えなかろう。


愚物の策に期待するほど耄碌はしておらぬ。






勇者の教育期間も残りわずかとなった。


今から1週間後、勇者を広く民に披露し、戦場へと向かわせる。


それを見届けた後、儂は石室にこもり、勇者召喚陣の研究に没頭する。


その間、あの愚物が何かやらかすかも知れぬが、儂の知った事では無い。儂がおらずとも、誰かが愚物の愚行の尻拭いをするであろう。


すでに言質は取ってある。これからは儂の貴重な時間を余す所無く研究のために使うのだ。




ああ、今から楽しみでならぬ。だが、ここで浮かれてはならぬ。最後の1週間、最後の最後で大きな失敗をせぬよう、気を引き締め直して掛からねばならぬ。


すべては勇者召喚陣の研究のため。もうすぐなのだ。もう少し辛抱するだけで終わるのだ。



「……寝る前に、明日からの予定を改めて確認しておくかの……」



後もう1週間だからこそ、念のために再確認を怠らず、万全に備えてから、この日は眠りに付いた。


苦節10年。その苦労も、もうすぐ終わる。そう思えば、良い夢が見られそうであった。


宮廷魔術師長は、王国の知の頂点です。


人格イメージは、某ムスカ大佐を老獪かつ老害にした感じ。

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― 新着の感想 ―
異世界召喚で、元の世界、元の時間軸に戻せない召喚は誘拐と同じです。 相手世界からの報復は覚悟すべきですね。 宮廷魔術師長は召喚魔法陣及び研究データ全てと共にこの世から消滅すればいい。 その上で、召喚さ…
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