7.いまのはわざと間違えてみただけだ
精神的残酷()描写によるダメージ注意
※受けるダメージ箇所が頭か腹筋か過去のトラウマかは個人差があります※
ダンスホールはその声のあとしんと静まりかえった。
動けないから俺も黙ってて
これでもニーシャがまだ逃げる気かどうか見張っていると
そんな静寂状態をくずさないようにささやかなささやきがぞわりとはじまったみたいだった。
くすくすくす
くすくすくす
ききまして?
くすくすくす
くすくすくす
名誉既存ですって
くすくすくす
くすくすくす
あのケルウィンケ様がそんなことを
くすくすくす
くすくすくす
どなたか教えてさしあげたら?
くすくすくす
くすくすくす
貴族は大口開けて笑うのははしたない風潮にあるから手で口元を隠してクスリと笑うのが一般的に普通
さっきまでとは違って笑いものは俺一人だから先に言っておくが俺は俺は別に顔を真っ赤になどしてはいないが果実が熟してくように顔色が変わるのはとめれないみたいだった。
ゲイルも俺の肩をつかむ手が思わず弛んだみたいで、もごもご言いづらそうに口をひらく。
「あー、っとー……ケルウィンケ?
非常に言いにくいのだが、その、なんといえばいいか……
えー……それをいうなら名誉毀損の間違いでは?」
それくらい知っている。
いまのはわざと間違えてみただけだ
視線の先のニーシャは壁に手ついてさっきのウソ泣きとは違う意味で顔を伏せてるみたいだった。
学園の授業でちゃんとならったから通じると思ってたがこの様子だと言いたいこと伝わったらしい
わからなかったらもう結構攻撃的なジョブで闇系の仕事するしか手がなかったんだがな。
俺は熟れてる果実の顔のまますっとゲイルの手をのけてふたたびニーシャにずんずん行く。
ゲイルは自分のうっかりだから慌ててまた止めようとしてたみたいだけど
ギャラリーの一部が俺に近づくのを止めてるみたいな気配がわずかに感じられた。
さっきのでクスクス笑ってる奴は何がおかしいんだ?
動けないまま敵の逃走をくい止めただけじゃん
見事な発言だと感心はするがどこもおかしくはない
だいたいがだなクスクスされても守るためだから全然恥ずかしくないんだが
顔真っ赤じゃないだよ適当いうな全然余裕の笑顔で笑ってるんだが
俺は歩きながらもギャラリーから露骨な視線感じるから
ダイヤモンド・パワーの精神力で心まで鋼鉄に理論武装すると
顔色を意思の力でおさえこめたからニーシャの近くでもういっかい言った。
「おいニーシャなに笑ってんだ裁くぞ。
俺はお前を名誉既存に訴えると言っている
おい聞いてるのか」
するとニーシャはやめてと言うのだが訴えられるの怖いからでた発言でなく
腹筋に効いてるから言ったみたいに聞こえた。
ニーシャが振り返って顔あげたらやっぱり想像通りムカつくにやにや顔で
「あのですねえサファエアさん?
私ちょっと分からないのですが、名誉既存とは、フッ、どのような罪でしょうか?
不勉強なものでして、名誉棄損の罪ならば、フフッ、知っているのですが」
という。
改めてにっくきのニーシャから言われると俺の耳色が変わった。
ちなみにこれは生理反応であって赤色とは無関係。
「馬鹿だなニーシャ名誉既存も知らないのか。
俺が勉強に教えてやる俺は優しいからな
貴族は恥かかされたら相手をボコボコに裁ける法律の力がバックについている。
訴えられたらいろいろ調べられて人生ゲームオーバーになる
衛兵の魔の手がのぶて行く以上貴族階級からはのげられない」
俺がマジメにそういいはったらそしたらなんか何が笑えるのかニーシャとギャラリーの一部がこらえきれず笑いはじめたから
「うるさい、気が散る。
一瞬の油断が命取り(二回目)」
というとギャラリーは黙った(二回目)
けどニーシャは黙らず人生ゲームオーバーの言葉がよほど笑えたのかケラケラしたままだった。
ギャラリーはだいたいの大半がクスクスだったが目に浮かぶ色には次にはどんなことを言い出すかと畑をみる害虫のような貪欲な興味だった。
貴族はだいたいがうわさ話がなんでも好みで
良いも悪いも含めてなんでも知りたがりであった
それはどこにチャンスやピンチがあるかもしれないのを敏感に察知する
貴族が生まれないがらに今日まで受け継いでる性格
そんな好みをもっている貴族の半人前の目の前で
みにくい男女のいい争いに声を荒げて喚き続けるさまのつづきが見えそうになってる。
これは貴族の一番の大好物の一つ
特定個人の誰か他人が不幸に落ちぶれる話
他人の不幸を蜜にできるかどうかの感性は貴族のだいたいができていた。
さっきのニーシャの演説モドキで区切りがつくならそれで満足に噂するだろうが
まだまだ続きがありそうならもちろん見逃すはずがない
俺は区切られたら困るからつづきを見せただけ。
やるのは一時の恥でやらなきゃ一生悪徳令嬢なら俺は恥かしくても恥をやるだろうな
「まあまあゲイル様。無理に止めようとしてはいけません。あなたこそ落ち着くべきかと」
「我々が立会人となってもう少し様子をみようではないか」
「謙虚な淑女で人気者のケルウィンケ嬢の普段とは一味違う姿……このまま眺めているのもいいか」
この騒動には全然関係ない卒業生の声がぽつぽつ聞こえないこともないが俺は興味なかったんだが俺の狙ってた反応ではあった。
俺がしているのは『そんなに恥を見たがってるなら逆に見せつければいい』という
両刃の刃で場を荒らすあんこくのアビリティ。
ギャラリーがここで終わるのはもったいないと思うくらいの話で無粋ものの誰にも止めようとは思わせない大炎上大作戦
これは俺にもダメージ残るけど実はサファエアに残るのは今日の大ショック直前までだけの記憶だと思うし次起きたらまずたぶん忘れてることになるだろうから後から今日の揚げ足取りされても
「大暴走?」「なにかあったの?」「ごめんなさい私覚えていないの」
ほらこんなもんだからいわゆる点でノーリスクのノーリスクハイリターンアクションだった
ただし覚悟してもらうけどニーシャにはそれなりの大ダメージ受けてもらうつもり
ニーシャはもう今日のイベントは終わったみたいな気でいるだろうがここからは延長戦だから退場できなくなった。
ニーシャが逃げたくなってももうギャラリーのふいんきが許さないでしょう
俺が思うにどうやらギャラリーはまだ見てたいみたいだからな?
ここまでは俺が冤罪を防衛だったがここからは俺がニーシャを攻める晩になった。