01 彼女の記憶ー教室
まだプロローグです、、、
「雨、止んだのか?」
隣の席の女子に聞く。聞いているのはどうやら自分の様だ。
「えーとぉ・・・止んだのかな?」
疑問を疑問で返されても困る、と言おうと思ったのだがーーー声は、音は、出なかった。
そこでやっと認識する。今の自分自身は言って見れば空気、人間関係としてなどではなく、存在そのものが無いものなのだろうと。
あくまでも推測に過ぎないが自分の記憶を見ているようだ。何か抜け落ちた様なそんな記憶を。
「んーとねぇ、なんだか降ってる気もするし、降ってない気もするよ?」
「なんで見て分かんないんだよ・・・こういう時は水溜りを見るんだよ」
降っていれば波紋がたってすぐ分かる、よく使う手だ。パラパラと降っている時では空をみても分からない時もある。
どうやら「自分」は、降っていると判断したらしい。窓の外を見て首を横に振った。
「間違いなく降ってるし、てか目視でも十分わかるぐらい降ってんじゃん・・・」
どうやら彼女は自分で判断してくれ、と言いたかったようだった。
「ねぇ、秋夢はどこ目指してるの?」
目指している、というのはなんのことだろうか、そう思った瞬間だった。答えは「自分」の口から出ていた。
「お前と同じとこ。家から近いし、進学校だしさ、一応」
「えっ、そうなのっ!?じゃ、じゃあこれからもよろしくだねっ」
「急によろしくとか言われてもさ・・・てかまだ受験すらしてないし」
進学校、受験という言葉からして、どうやら自分は受験生らしい。同じく、彼女も。
「えっとね、今日の放課後お参り行くんだけど、一緒に行かない?」
「一緒にか?お参りって一緒に行くもんなのか?」
「いいじゃん別にー、来年も同じ学校に行けるって二人で願えば効力も倍ってことで!」
彼女は「自分」に対して上目遣い且つ手を合わせるといった手段でお願いをしている。「自分」がどう思っていたかは思い出せないが、ある程度予想できる気がする。
少なくとも断る方向には思考が向いていないだろう。彼女とはそういう関係だった、そんな気がするのだ。




