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魔神教殺しの男

燃え盛るサゲーナ大森林。

テイルは魔神教の教徒達を皆殺しにして、生き残った最後の一人に、これまでの経緯を話す。

紙芝居を放り投げる。


「ここまでが俺の人生のあらすじでした、ご清聴感謝申し上げます。」


朽木から立ち上がり、教徒の胸ぐらを掴む。


「で、お前は魔神教のボスの居場所をしってるのか?知ってるなら早く答えた方が身のためだぞ!」


「し、知らな──────」


教徒の顔面に打撃が入る。

倒れる教徒の頭に、全力の蹴りが放たれた。


「知らねぇのかよ!時間の無駄だったな!」


その時、魔神教の増援が現れる。

等間隔でテイルを取り囲む。


「一匹見つけたら百匹いるってヤツだな。」


襲いかかってくる教徒達。

今度の敵は魔法使いではない、全員が剣を持っている。


その中の一人がテイルに急接近し、剣を振り下ろす。

一閃──────


華麗に躱す。


続く背後からの斬撃を察知したテイルは、目の前に居た剣士の胸ぐらを掴みそのまま振り返り、盾とした。


肉が切り裂かれ、鮮血が吹き出す。

それが背後の敵の視界を奪う。


剣を奪い、盾を蹴り飛ばす。

敵同士が衝突し、そのまま地面に倒れる。


すかさず剣を刺し、二人まとめて貫く。


「一丁あがり!」


「あがッ!?」


背中に激痛が走る。

調子に乗っていたところを背後から切り裂かれたのだ。


「クソ野郎!やりやがったな!」


振り返り背中に剣が刺さったままドロップキックをかます。


背中に刺さった剣を抜き、それを手に持つ。

傷が再生する痛みを感じるが、まだ全然動ける。

悪戯な笑みを浮かべながら、無言で挑発のジェスチャーをすると、魔神教の教徒達は一斉に襲いかかる。


多数の教徒達に少し押されるテイル。

だが、再生前提の最恐の自壊戦術で一人ずつ確実に敵を屠る。


その姿は、まるでダンスを踊っているようだった。


気がつくと、敵は一人になっていた。

自分一人しか残っていないことに気がついたその男は、雄叫びを上げながら突進してくる。


テイルは無言で剣を投げる。

それは一直線に飛び、そのまま頭蓋を貫く。

男はその場に倒れた。


周囲を見渡すと、もう立っている人間は居なかった。

死体が溢れ、血と炎で紅く染まった森を見てテイルは笑う。


「最高!これこそカタルシス!俺は最強になったんだ〜!」


両手を突き上げ天を仰ぐ。

森の中にイカれた笑い声を響かせていると、視界の端に動くものが見えた。

顔を向けると、三人の人間が恐怖した表情でテイルを見ている。

男二人に女が一人。


「見世物じゃねぇぞ!お前らも魔神教の関係者か!?もうヤダ…本当に百匹いるんじゃないの?」


落ちていた剣を二本拾い、両手に持つ。

軽い足取りで彼らを殺そうとすると、先頭に立った男が口を開く。


「ち、違います!俺たちは冒険者です!この森に薬草を採取しに来ただけなんです!」


テイルは足を止める。

その言葉が信じるに値するかどうか見定めていると、彼らは冒険者バッチを取り出し見せてくる。

全員が銅級。


魔神教以外の人間に殺意を向けてしまったテイルは、後方に剣を放り投げ、わざとらしく口を抑えて彼らに謝罪する。


「あ!マジで!?ごめんごめん、ちょっと立て込んでたもので…」


歩みは止めない。

むしろ同業者に会ったことを嬉しく思い歩調が早くなる。

襲われると思った三人は一歩後ろへと下がる。


「俺も冒険者!しかも銅級、おそろっちだね。」


拳を突き出すが誰も合わせてくれない。

男が質問する。


「こ、ここで一体何を…?」


「見りゃ分かるだろ、バーベキュー…ちょっと激しめの。」


散乱する死体に燃え盛る森、しまいには返り血まみれの男。

バーベキューと言うにはあまりにも悲惨でカオスだった。

ドン引きする一行、笑っているのはテイルだけ。


「冗談!ここだけの話、魔神教って言うヤバい集団を倒してたんだ、ヤツらは脳みそに怪電波を浴びてイカれちまってる、俺がここで食い止めることによって電波の流出を防ぎ…」


男は、聞いてるだけで気が滅入りそうな長話を止める。


「あ、あぁもういいです!分かりましたから!」


一行の後方に隠れていた少女が声を上げる。


「ま、魔法や暴力で人を傷つけることは犯罪ですよ!」


テイルが少女の方に視線を向けると、魔法職と思われる装備が目に入った。

クレアの事を思い出し暫く見つめていると、だんだんと少女の目に涙が浮かび始める。


「ふえぇ…」


彼女の涙に気がつく。

だがその原因が自分という事は気が付かない。


「分かる、ショックだよな?仲間と楽しくピクニックに来たと思ったら森がこんなグロいことになってて…これじゃ…せっかく作ってきたサンドイッチが食べられない、思い出すと吐いちゃうかも…」


先程作った人間の串刺しを思い出し、それを指さす。


「ハハ、見て、アイツらサンドイッチみたい。」


それを聞いた少女は更に瞳に涙を溜める。

まるで理解不能な怪物と対峙してしまったようだ。


「とにかく、このくらいで挫けちゃいけない、俺も目の前で仲間を失った、挫けそうになったが今はこうして立ち直ってる、挫折は人を強くするんだ。」


「以上、先輩冒険者からのアドバイスだ、頑張れよ。」


少女の頭を撫でる。

黒髪に返り血がべっとりと付着する。

それを肌で感じ、ついに限界に達した少女はその場に膝をつき泣き始める。


自分の激励がそんなに心に響いたのか、と思いながらテイルはその場を去ろうとする。


歩いていると段々と足に力が入らなくなってくる。

視界もボヤけているし、意識も朦朧としてくる。


「ま、まさか…固有能力(スキル)の反動ってヤツか…?おかしいな、アイツが使ってた時はこんな…」


違和感を感じた時には遅かった。

テイルは力なくその場に倒れた。


チクショウ…固有能力(スキル)を貰っても、俺はザコのままかよ──────


テイルの意識、自責の思考は、徐々に闇へと呑まれていった。

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