4/27(土) <悩み>
GWは初日から寝てばかりだ。
起きてゲームして、ベッドで寝て、起きてマンガを読んで。
いつもどおりの怠惰な休日だった。
ただ少しだけいつもと違う。
今日は一日中『あの夢』のことを考えていた。
22時ピッタリになると行ける、あの世界のことを。
これほど何かを待ち遠しいと思ったことは過去になかったと思う。
そして、今日もまた22時になった。
またこの世界に来られた。
いつもどおりの教会の地下室。
昨日作った米の山は、減ってはいるがまだ残っていた。
今日は人が少なく司祭の他に3人しか居ない。
今日は僕の方から司祭に話しかけてみた。
「今日の願いは何? なんでも聞くよ。えっと名前は……」
「ありがとうございます、私の名はタラスです。おかげさまで食料をお恵みいただければ他には願いはありません」
「そんなことないでしょ。何か有るんじゃないの」
「いえ、ございません」
どんな人だって悩みの一つや二つはあるはずだ。
僕はこの世界では何でも出来る。
心を読むくらい出来るに違いない。
僕はタラスのおでこに手を当てた。
「な、なにを!」
「大丈夫、悪いことはしないっ!」
タラスの思考を汲み取って自分に流し込む感じをイメージする。
すると大量の思考や知識が僕の中に流れ込んできた。
悩みだけでなく、宗教の話や帝国の話や様々なことが全て混ざった状態で同時に流れ込んできた。
ぐちゃぐちゃでなにがなんだか分からない。
蛇口全開のホースを口に突っ込まれたような気分だ。
しんどくてすぐに読み取るのをやめたが、ひとつは悩みが見つかった。
「家か。建築家が居なくて、米を置く建物も建てられてないんだね」
「は……はい、おっしゃる通りです。しかし神の手を患わせずとも……」
「やらせてよ」
タラスの返事を待たず、僕は地上へワープした。
僕が突然現れたからか、村人たちが驚いた顔で見てきた。
そんなものは無視して、僕は家を作るのに良さそうな土地を探し始めた。
ここは元は遺跡だったのだろうか。
教会以外にも崩れた石造建築がちらほらあり、どれも苔むしてボロボロだった。
それと並んで石器時代のような家がいくつもある。
人口は思ったよりも多そうだ。
教会から離れると家も減り、適当な土地はすぐ見つかった。
ここに家を建ててやろう。
家が建った状態を頭の中にイメージしながら、地面に気合を送り込む。
「はあっ!」
現代日本の家の形をした物がドンッと現れた。
だが、これは失敗。
壁も柱もないスカスカな家だ。
もっと具体的にイメージしないとダメらしい。
具体的なイメージ……自分の家を細かく思い出しながら再挑戦。
階段、ドア、柱の位置、壁の配置――
再度気合を込めると、見慣れた自分の家が出来上がった。
悪くないクオリティだ。
作った家を眺めているといつの間にか村人が集まっていた。
中を見たがっていたので「入っていいよ」と言うと、村人達は雪崩のように家の中へ押し寄せていった。
そんな無邪気な村人たちを見ていると、何か違和感を感じた。
何がおかしいかはすぐ気づいた。
この村、男しかいない。
女性らしい人の姿が全く見当たらない。
聞き出すため、適当な村人を呼び止めた。
「ねえ、この村に女の人は居ないの?」
「か、神様! 私なんかに声をかけていただきまことに……」
「前置きはいいから、女の人は居ないの?」
「オンナノヒト? さぁ、そのような名前の人は存じません」
そんなバカな――
ここで元の世界に戻された。
男しかいない村だなんて、どうやって発展するつもりなんだ?
そもそも、女性ってものの存在すら知らないかのような反応だった。
あの世界には男しかいなくて、単性生殖しているのか?
あの村の異常性の原因と対策についてあれこれ悩んでいたら、いつの間にか眠ってしまった。




