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19/25

5/12(日) <準備>

今日は自転車に乗って古本屋へ行き、マンガの立ち読みをしていた。

特に戦記物マンガを読んで、戦略についての知識を得るためだ。


家に帰ってから『なろう』を読んでいると、気になる小説があった。

『寝る前5分は全知全能』という小説だ。

読み始めると、背筋に寒気が走った。

書いてある内容が僕の身に起きていることそのままだった。

まるで自分の日記を他人が書いているかのようだ、気持ち悪い。

いったいどういうことだ?


しかしおかげで、昨日僕がセティとどんな話をしたのか見直すことができた。

やはりこれは、ダモス帝国と戦争する流れになってしまったのだろう。

国の民にまた苦しい思いをさせるかもしれないと思うと、気が重かった。

椅子の前にはヴィダが待機していた。


「神様、昨日はお疲れ様でした」


ヴィダはいつも通り、にこにこと優しい顔をしていた。


「戦争することになったけど、あれで良かったのかな?」

「はい。むしろ不可侵条約を結ばないかヒヤヒヤしていたくらいです」

「そ、そうなのか?」

「もともと我々は帝国でクーデターをし、失敗して逃げて来た者ですからね」

「つまり、帝国を嫌ってる人が集まって出来た国なのか」

「そうです。帝国では以前より……おっとこの話はまた今度に。今、戦略について議論している所なので、参加して頂きたいです」

「わかった、僕で良ければ」

「それと、開戦は明後日の予定です。宣戦布告の使者はもう出しました」

「えぇ! 早すぎない?」

「帝国が準備する前に叩きたいですからね、早い方がいいのです」


ヴィダはニコッと微笑みながら言った。


家の1階では何人もの人が地図を見て戦略について話し合っていた。

タッセは皇帝の城を中心に4つの壁で囲まれているらしい。


「最初の壁は簡単じゃ。最初の壁は下級農民の物、我々の元仲間の物じゃ。問題は2つ目以降の壁じゃ。1ヶ月前のクーデターでは突破できんかった」


アドル翁という人が僕にそう語った。


「前回と違い今回は魔法がある。じゃがMPが足りん。まず神様にはMP切れの補填に大砲や投石機を作って欲しい」

「わかった、できるだけ作るよ。剣や槍も欲しいよね」

「うむ。一点突破で城まで攻め、皇帝を城から出せば勝利じゃ」

「案外簡単そうだね」

「難しいぞ、敵も一点集中で防御するからの。早くて3日はかかる想定じゃ」


3日か、思ったより長い。


「アドル翁の通り、神様には兵器の量産をお願いします」


ヴィダにそう言われ、僕は魔法の訓練していた所に向かった。


訓練所にはソルア達が居た。

僕はその近くで兵器の量産を始めた。


「おう神様。昨日は良かったぞ」

「ありがとう。魔法の調子はどうだい?」

「あぁ、今は少ないMPで強い魔法を打つ方法を探ってるんだ。これが結構楽しいようだ」

「省MP魔法か。多分、経験あるのみだよね。パラメータ表示で経験値も見れたよね?」

「あぁ。死にかけると早く経験値がたまるみたいだぜ」


死にかけるのが経験値効率がいいのか……。

そこで僕は閃いた。

武器を作る作業を止め、1辺が50mくらいの四角い巨大なハコを作った。

そのハコの中の空間に『明るい』『急速回復』『死なない』という設定を上書きした。


「ソルア、これの中に入ってみて」

「お、おう。オレの勘がヤバいって言ってるぜ……」


ソルアがハコの中心に来たあたりで、僕は後ろから槍でソルアの心臓を突き刺した。

槍を抜くとソルアの胸から血が大量に出てきたが、すぐに何事も無かったかのように治った。


「なんじゃこりゃあぁ」

「ハコの中を不死空間にした。ここで命がけの訓練をすればすぐ強くなれるはずだよ」

「そんなん有りかよ……」


これで兵の訓練も急速に出来るはずだ。

全ては明後日からの戦争のために――

現実世界に戻ると『なろう』の『寝る前5分は全知全能』が更新されていたので、最新話を読んだ。

今さっき自分の身に起きたことがそのまま書かれていた。

マンガを立ち読みしたこと、『寝る前5分は全知全能』を見つけたこと、開戦に向け準備したこと、不死空間を作ったこと……。

気味が悪い。

更新時間は22:00ちょうどなので、僕が異世界に行った瞬間に投稿されたということだ。

何が起きているのか、さっぱりわからなかった。

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