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5/9(木) <国を守る>

僕は授業中に魔法について考えていた。

どんな魔法を使えるように出来るだろうか。

火や風はイメージしやすかったけれど、氷魔法や雷魔法を使わせるにはどんなイメージをしたらいいだろう。

僕は22時になるまで、できるだけ多くの『なろう』の小説を読んで知識を蓄えておいた。

こっちの世界に来るなり、僕はソルアに会いに行った。


「ソルア、この村の軍を集めてほしい。強化したい」

「強化ってのは、何か神様の武器でもくれるのか?」

「この村の軍を魔法軍に変える」


僕のセリフを聞いてソルアは怪訝な顔をしながら、招集の合図を出した。


この村の軍は30人ほどだった。

その一人ひとりに手をあて、魔法を使えるように力を込める。

風魔法、炎魔法、水魔法……。

一人につき一種類ずつ魔法をランダムで割り当てた。

割り当てた後は実践だ。

広い空地に行きフルパワーで魔法を使わせた。

個人差は有るが、半径30mを一瞬で焼け野原にするような人も居た。

予想より強い、嬉しい誤算だ。


「ソルア、どう? これなら帝国に対抗できそう?」

「やるじゃないか、これなら戦える。魔法とか言われたときは正直信じてなかったがな、ハッハッハ」


魔法の試し打ちをさせていると、軍の中の一人が僕に話しかけてきた。


「あの、神様。ひとつよろしいでしょうか?」

「良いよ、なんでも聞くよ?」

「はい……タッセが神様の力で消されたと噂を聞いたのですが、事実でしょうか?」

「事実だよ。僕が滅ぼした」

「この村のように、タッセも復元出来ますか?」


僕は答えに困った。

なんでそんなことを聞くんだ?


「出来ると思うけど、する必要ある?」

「おい神様、ちょっとこっち来い」


突然僕はソルア腕を捕まれ、少し離れたところまで引っ張られた。

ソルアは他の村人に聞こえないように、僕に話しはじめた。


「お前さん、いま村が二つに分かれそうだって知ってるか?」

「いや、知らない」

「だろうな。オレは腹の探り合いが嫌いだからハッキリ言うが、タラス派とヴィダ派の二つに村が割れそうなんだよ」

「は? タラスは死んだぞ」

「タラスは生前『神の力はコントロールできない、頼ってはいけない』と言っていた。その意見の支持者がタラス派だ。ヴィダ派はヴィダを中心に『神の力が無いと村が成り立たない』と主張している」

「それが今の話と何の関係が?」

「街を消したって噂のせいで、今タラス派が増えてるんだ。タッセに残した友を殺した神、友を生き返らさない神は信じられないってな。そこで『街は戻さない』なんて言ってみろ、タラス派が村をぶち壊すぞ」

「そうなったら僕がタラス派を粛清するよ」

「バカ! どっちの派閥も、この国の民だぞ。国民を救うんだろ」

「そ、そうだけど……」

「タッセの話はまだ噂の段階だ、タッセを直して噂は嘘だと言えば良い」

「あの報復を……『無かった事』に……?」

「ああ、そうだ。悪い事は言わねぇ、噂を嘘に変えるんだ。村を一つにするためにな」

「……わかった」


僕はソルアの言葉におされ、すぐにタッセの跡地へワープした。

何もない広大な焼け野原だった。

その中央へ行き、千里眼で過去を見ながら大きな街を作り直す。

僕を中心に城や家や人が地面から現れる。

コツを掴んだのか、復元作業は意外にサクッと終わった。

タッセの街に、また活気が戻る――

結局、タッセを復活させてしまった。

なんだか納得出来ない感じもするけど、そうしないともっと面倒になるという気は薄々感じていた。

その心の隙をソルアに突かれた気分だ。

帝国を元に戻してしまったという後悔と、これで面倒な問題が回避できるという安堵の入り混じった気持ちの中、僕は眠りについた。


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