プロローグ
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プロローグ
怒号が飛び交い、燃え盛る街。
木々は倒れ、大地は荒れ果てていた。
「ここまでか……」
建物になだれ込んでくる人々を見て、彼は呟いた。
「すまない。私が不甲斐ないばかりに」
「いいわ、あなたのせいじゃないわ」
やがて、足音が彼のいる部屋へと近づいてきた。
「しょうを……あの子を頼むわ」
「ああ、任せておけ」
息子を守れる確証などない。
それなのに、なぜこんな無責任な言葉が出てしまうのか。
だが、そんなことを悔いている時間などない。
足音は、もうすぐそこまで迫っていた。
「あなた、早く行かないと」
「……」
言葉が出ない。
なぜ、こんなことになる。
なぜ、このようなことが許される。
世界が憎い。
そんな思いばかりが、頭の中を駆け巡る。
「大丈夫よ。あなたなら、きっとやり遂げられるわ。そして、この子に私がしたかったこと、見たかったものを見せてあげて」
妻は私を抱きしめながら、そう言った。
「じゃあ、もう行くよ」
妻は優しく微笑み、言葉をかけた。
「うん。また会えたら」
私が言葉を唱えると、私と息子は光に包まれ、姿を消した。
「必ず生き残ってね……」
彼女はそう呟き、迫り来る人々を見つめた。
その日、一つの家族の物語は、誰にも知られることなく幕を閉じた。




