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ハズレと笑われた『罠』スキルの俺、実は超激レアな最強スキルでした  作者: シマリス


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レベル上げ

第五階層

静寂が支配する草原の一角。


悠太は新調された『スーパーネズミシューズ』の性能を確認するように木々が乱立する林へと向かっていた。


「すごい。確かに瀬戸さんの言ってた通りだ」


ショップでの試し履きとは比べ物にならないほど、ダンジョン内での実戦性能は凄まじかった。

湿った腐葉土の上でも、剥き出しになった滑りやすい木の根の上でも、ソールが吸い付くように地面を捉える。


足との一体感が極限まで高まったことで、まるで自分の脚そのものが強化されたかのような錯覚さえ覚える。これほどのグリップ力と小回りが利くなら、直線的な速度では勝るグレーウルフ相手でも、草原で逃げ回ることすら可能ではないかと思えるほどだ。


(あの人、実はとんでもない天才なんじゃないか?)


少し不思議な店員である瀬戸の底知れなさに改めて戦慄しつつ、悠太は目的地である林の深部へと到着した。そこはグレーウルフの群れがねぐらにしているエリアだ。


悠太は立ち止まり、深く息を吐いてから作戦を開始する。慎重に一歩一歩、細心の注意を払って進んでいくと、悠太のグリッド線に生物らしき凹凸が見えた。


「きっとうまくいく。自分を信じろ」


悠太は気合を入れるように自らにそう言い聞かせ、幾度となく繰り返してきたシミュレーションを思い浮かべた。


その内容は至ってシンプルかつ冷静な計算に基づいたものだった。


まず群れに襲われないギリギリの距離まで近づき、身を隠しながら『ウッルの目』の構築を開始する。虚空に魔素の火花が散り、複雑な術式が編み上げられていく。

発動までには三分という長い沈黙が必要だ。

その間、悠太は周囲の環境に最低限の保険をかけていく。


「構築――『キューブ』」


通路となる木々の合間に透明な立方体を二つ設置した。これは先制攻撃用ではなく、あくまで予備のセーフティネットだ。


本来であればキューブも積極的に併用したほうが効率はいいだろう。

しかし、今回の目的は何よりも『ウッルの目』のスキルレベルを上げることにある。

そのため、キューブを多用して敵を殲滅する誘惑を、悠太は敢えて断ち切っていた。


逃げ回るのが限界に達した時、傷の浅い個体が複数体残った時など、何らかの抗し難い事態が起きた場合に、しつこく追ってくる個体をここにおびき寄せて駆逐するためだけの最小限の備えだ。


『ウッルの目』の発動時間は三分。

しかし、悠太は冷静に分析していた。


今のスキルレベルでは、一度の発動で群れの全個体を確実に仕留めきれるほどの威力はない。だが、確実に手負いにすることはできる。


(一度目の発動でダメージを与え、再度発動可能になるまでの『空白の三分間』をひたすら耐える……たとえ残りが一匹だったとしても、『ウッルの目』だけで仕留める)


非効率かもしれないが、早々にこのスキルの真価を引き出すにはこれしかない。手負いとなったウルフであれば、林の障害物とスーパーネズミシューズの機動力で逃げ切れるはずだ。


「……よし。準備は整った」


林の奥から、複数の低い唸り声が響き始める。


グレーウルフたちが侵入者の気配に気づき、ねぐらから這い出してきたのだ。その数、四匹。


悠太の視界の端で、スキルのカウントダウンが刻まれる。


『ウッルの目』完成まで、残り十秒。


悠太はあえて遮蔽物から一歩外へ出た。


木の影から姿を晒し、グレーウルフたちの獰猛な金色の瞳に、自らの存在を焼き付ける。


「こっちだ。来い!」


視線が交差した瞬間、林の木々に刻まれた魔素の瞳たちが一斉にその瞼を見開いた。


悠太を敵と判断した一体が排除しようと地面を蹴る。

それと同時に脳内には無機質なアナウンスが響いた。


「スキル:『ウッルの目』の設置が完了しました」


(タイミングはバッチリだ。頼むぞぉ、狩猟の神よ!)


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