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ハズレと笑われた『罠』スキルの俺、実は超激レアな最強スキルでした  作者: シマリス


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オーク討伐(+現在のステータス)

第四階層の草原、夕闇に似た青白い光の中で悠太は草むらに身を潜めていた。


視線の先には、転送装置の淡い光の柱と、その横で巨大な斧を杖代わりに居座る一匹のオーク。その圧倒的な重量感は第三階層のリビングアーマーとは比較にならない威圧さを放っていた。


(今の俺が持っている『フィニッシュスキル』は、落とし穴とキューブの二つ……)


脳内で自身のスキルセットを確認する。


『バネ床』で跳ね飛ばして隙を作るか、『スネア』で足止めをして、その隙に転送装置へ駆け込むのが一番楽な方法だろう。だが、それはあくまで緊急回避だ。これからこの階層を主戦場にするつもりなら、まずは真っ向からこいつを仕留め、自分の実力を証明しなければならない。


(まずは正攻法……キューブで動きを止め、落とし穴に落とす。これで行こう)


悠太はステータス画面を脳裏に浮かべ、消費魔素を計算した。


キューブが40、落とし穴が80。


もしキューブが破壊されて二重の罠を起動させることになれば、一匹倒すだけで合計120もの魔素を消費する計算になる。


「……満タンの状態でも四匹しか狩れないじゃないか。効率悪すぎだろ」


思わず独り言でツッコミを入れる悠太。

だが、今は効率を論じている場合ではない。ここを突破し装置を起動させなければ、明日からの探索自体が始まらないのだ。


悠太はいつもの必勝パターンを構築するため、オークから少し離れた位置に罠を仕掛け始めた。しかし、肝心のオークが転送装置の横から一歩も動こうとしない。


(仕方ない。おびき寄せるしかないか)


心臓の鼓動が耳に届くほど速くなる。悠太は意を決して草むらから立ち上がると、自らが囮となってオークへと近づき始めた。


一歩、また一歩。


数メートル進むごとにオークの圧倒的な圧力がのしかかる。鼻を突く獣の臭いと、重苦しい魔素の感覚。悠太の膝は恐怖でわずかに震えていた。


あと少しという距離まで迫っても、オークは微動だにしない。悠太は冷や汗を流しながら、じりじりと距離を詰め、その間合いに踏み込んだ。


「ブモォォォォー!!」


大気を震わせるような雄叫びが上がる。


オークの濁った瞳が悠太を捉え、敵だと認識する。巨大な腕が動き、石を削り出したような無骨な斧が頭上に振りかぶられた。


「来い!」


悠太はネズミシューズの性能をフルに発揮し、あらかじめ仕掛けておいた罠の方向へと全力で反転した。


咆哮と共にオークが一歩、地響きを立てて前進する。その巨足が設置座標を踏み抜いた瞬間、『キューブ』が即座に反応した。


キン!


オークの巨体が、曇りガラスの立方体に閉じ込められる。悠太は一気に距離を取ってその行方を見守ったが、間近の獲物をロックオンしたオークは怒りに我を忘れ、持っている石斧をあたり構わず振り回す。


「ゴガギィィ!」という凄まじい音と共に、キューブの壁面に無数の亀裂が走る。次の瞬間、魔素の檻はバリンッと派手に砕け散った。


あっという間にキューブを破壊し、自由を取り戻したと思ったオークだったが、咆哮を上げて再び踏み出したその足元。


キューブの真下に重ねて設置していた本命――『落とし穴』が無慈悲にその口を開けていた。


「ブモッ? ブモー―!!」


オークの巨体が重力に従って穴の底へと吸い込まれていく。


底の見えない虚無の深淵。落ちた瞬間に存在を消失させるその暗闇に飲み込まれ、オークの巨体は一瞬で消え去った。


後に残されたのは大きな魔石と武骨な石斧だった。


「やった!二度目のドロップアイテム。リビングアーマーは全然落とさなかったのに幸先いいなぁ!」


悠太は震える手で戦利品を回収し、思わず顔をほころばせた。初めての第四階層、初めてのオーク討伐。緊張から解放された安堵感と目に見える成果が重なり、胸が熱くなる。


だが、その斧を手に取ってみると、ずっしりとした重みが腕に響いた。


(俺には使い道ないな。重すぎて振れないし。いくつかまとまったら、また瀬戸さんに売りに行こう)


悠太は転送装置に触れて自分の情報を登録した。装置が青白く発光し、登録の完了を告げる。これで明日からは、受付のゲートから直接ここへ来ることができる。


魔素が底をつきかけたため、悠太は受付へと転送で戻り、そのまま帰路についた。


電車の中で悠太は今日の戦いを振り返る。


事前に調べていた情報では、オークの魔石は一つ二千二百円。


(罠との相性はいいけど、魔素消費120に対して2,200円か……)


罠にかかりやすい性質は悠太にとって絶好の獲物だが、消費に対する報酬のバランスはあまり効率が良いとは言えなかった。


「明日からはもっと工夫しないとな……」


第四階層の初日は、予想を上回る結果で幕を閉じた。


--------------

ステータス

【甘露寺悠太】

◇最大魔素量:572

◇固有スキル:トラップメイキング


◇装備

体:リビングアーマー・レプリカ

足:スウィフト・ラット・シューズ

  (通称 ネズミシューズ)


◇罠スキル早見表

『落とし穴』Lv3 

取得スキルポイント:初期スキル

同時設置数:3

設置時間:30秒

特殊効果:擬態(小)、アイテムドロップ率アップ


『バネ床』Lv3 

取得スキルポイント:初期スキル

同時設置数:3

設置時間:30秒

特殊効果:発動時の衝撃(小)、出現時間変更


『スネア』Lv3 

取得スキルポイント:100

同時設置数:3

設置時間:30秒

特殊効果:オートアジャスト、サイズ自動調節


『キューブ』Lv2 

取得スキルポイント:300

同時設置数:3

設置時間:45秒

特殊効果:クラック低減(小)


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― 新着の感想 ―
うーん…転送装置が遠くからでもわかるなら、なんで大輝くん達は見つけられなかったのかな?空間把握あれば更に見逃しそうもないけど。
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