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ハズレと笑われた『罠』スキルの俺、実は超激レアな最強スキルでした  作者: シマリス


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転送装置への道

翌日。

二学期の授業が本格的に始まった放課後、悠太はいつものように東京ダンジョンの地下へと潜っていた。


今日の目的地は昨日まで主戦場にしていた第三階層ではない。その先、大輝たちがトラウマを植え付けられ、そして先日ようやく突破したという第四階層だ。


「まずは足場を固めないと」


悠太は第三階層のリビングアーマーを極力無視し、脇目も振らずに下層へと続く階段を目指す。


ソロ探索者にとって、何よりも恐ろしいのは退路を断たれることだ。今日の最大の目標は第四階層の『転送装置』を見つけ出し、登録を済ませること。一度登録さえしてしまえば、地上から一瞬でここまで来られるし、緊急時の脱出も可能になる。


仲間の助けがない悠太にとって、避難経路の確保は生存のための最優先事項だった。


迷宮の通路を悠太は軽快な足取りで駆け抜ける。


今日の格好は、いつものジャージの上にリビングアーマー・レプリカを装着し、足元には昨日手に入れた『スウィフト・ラット・シューズ』、通称ネズミシューズだ。


(全身グレーだな。アーマーがあるだけましか)


自虐的な考えが頭をよぎるが、その性能には驚かされるばかりだった。


足を踏み出すたびに、靴底のスリットから魔素が効率よく排出され、身体を前方へと押し出す。瀬戸が熱弁していた通り、瞬発力も制動力もこれまでの運動靴とは次元が違った。


(さすが瀬戸さんお勧めだけのことはある。……見た目はともかく、性能は本物だ)


やがて、第四階層へと続く巨大な下り階段にたどり着いた。


悠太はそこで一旦立ち止まり、深く息を吸う。心臓の鼓動が恐怖と高揚で少しだけ速くなる。


『バリアント』の気配はないか。


一ヶ月前、如月たちを蹂躙した絶望の象徴が、この先に潜んでいないか。


全神経を研ぎ澄ませて周囲の魔素を探り、問題ないと判断すると、悠太は一歩一歩、慎重に階段を降り始める。


階段を抜け、第四階層に到達した瞬間、視界が劇的に開けた。


「これが、第四階層」


そこには迷宮の閉塞感とは無縁の、広大な草原が広がっていた。天井の岩盤には発光する地衣類がびっしりと張り付き、夕暮れ時のような幻想的な光を投げかけている。


だが、そののどかな景色とは対照的に、遠くには巨大な影が点在していた。


丸太のような腕をぶら下げ、のそりのそりと歩く亜人。


オークだ。


悠太は草原の起伏に身を隠しながら、その様子を観察する。


怖れはない。むしろ、なんとかやっていけるという静かな自信があった。


事前に調べていた通り、オークはリビングアーマーと似たタイプだ。圧倒的な体力とパワー、そして並の攻撃では怯まないタフネス。

だが、動きは鈍く、知能も高くはない。


それは罠を設計し、確実に一撃で仕留める悠太のスタイルにとって最も相性の良い相手だった。


「とにかくまずは転送装置だ。一度登録すれば、次からはその周辺を拠点に戦えばいい」


悠太はネズミシューズの性能を活かし、草原を低空飛行するように駆け抜ける。


オークの視界を避け、風のように草原を横切る。目標の光柱——転送装置の光が遠くに見えてきた。


だが、現実はそう甘くはなかった。


目標の転送装置。そのすぐ傍、まるで門番のように一匹のオークが居座っていた。周囲に他のオークはいないが、あいつを退かさない限り装置への接触は不可能だ。


悠太は草むらに伏せ、静かに魔素を練り始める。


オークの巨体。その皮膚は鋼のように硬く、並の剣士では傷一つ付けられないだろう。


(やるしかない。ここを越えなきゃ、先へは進めないんだ)


悠太は意を決し、オーク討伐の構想を練る。


孤独な探索者の第四階層初討伐。

その設計図が悠太の脳内で描き出されていく。


ネズミが巨人を喰らうための罠を冷徹に編み始めた。


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