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ハズレと笑われた『罠』スキルの俺、実は超激レアな最強スキルでした  作者: シマリス


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第四階層

灼熱の太陽がアスファルトを焼く地上とは対照的に、ダンジョン第四階層は肌を刺すような冷気と濃密な魔素の気配に満ちていた。


「剛田、来るぞ! 右だ!」


「分かってるわ! 『シールド・バッシュ』!」


剛田の咆哮と共に、巨大な盾がオークの突進を真っ向から受け止める。凄まじい衝撃音が通路に響くが剛田の足は一歩も引かない。


「佐々木、今だ!」


「OK。貫けぇ!」


剛田の盾の脇から、佐々木の鋭い氷の刺突がオークの喉元を正確に貫く。さらに、仕上げとばかりに大輝が踏み込み、魔素を纏わせた剣でオークの首を鮮やかに跳ね飛ばした。


「……ふぅ。これで五体目か。だいぶ安定してきたな」


大輝は額の汗を拭い、自らの掌を見つめた。


あの忌まわしきバリアントとの死闘。圧倒的な力に蹂轙されたトラウマは、しばらくの間、彼らから第四階層へ挑む勇気を奪っていた。

しかし、夏休みの猛特訓は彼らを確実に変えた。


「今の連携は良かったね。次はもう少し右に流れてくれれば、私の射線がもっと通りやすくなる」


凛が『見えざる手』を引き戻しながら淡々と告げる。その姿はかつて大輝が憧れた高嶺の花としての輝きをさらに増し、研ぎ澄まされた刃のような美しさを放っていた。


「ああ、悪い。次は任せてくれ。……にしても剛田、お前、魔素量また上がったか? さっきの突進、びくともしなかったな」


大輝が問いかけると、剛田は鼻を鳴らして笑った。


「おうよ! 昨日測ったら620を超えてたぜ。佐々木はどうなんだ?」


「私は610くらいかな。でも大輝、あんたが一番伸びてるじゃない。もう700に届きそうなんでしょう?」


佐々木の言葉に、大輝は少しだけ誇らしげに胸を張った。


「まあな。680ってところだ。……けど、如月には全然届かない。800超えなんて、もはや次元が違うよ」


覚醒してからわずか二、三ヶ月。この短期間で第四階層を安定して攻略できるまでになった彼らは、学校関係者からも将来有望な精鋭として、密かに注目を集め始めるほどの成長を遂げていた。


「俺たち結構いい線いってるよな。この調子なら、夏休み明けには第五階層も狙えるんじゃねえ?」


剛田が景気のいい声を上げるが、凛の表情はどこか遠くを見つめたままだった。


「そうね。効率は上がってる。でも、今の戦い方は『力押し』に近い。もしまたバリアントみたいなイレギュラーが現れたら、今のままじゃ足りないよ」


凛の冷静な指摘に、場が少しだけ静まる。大輝はそんな彼女の気を引こうと、休憩の合間に隣へ腰を下ろした。


「如月。……俺に足りないものはなんだ? もっと強くなれば、お前は……、その、俺のことを認めてくれるか?」


その先を言葉にするのはプライドが邪魔をした。だが、凛は視線を落としたまま、感情の読めない声で答えた。


「足りないもの?  別に、何もないんじゃない? 松坂くんは十分強いし、リーダーとしてパーティーをよく見てくれている。私たちがこうして第四階層にいられるのは貴方の成長のおかげだと思ってるよ」


素っ気ない。褒められてはいるが、そこには興味の欠如という、大輝にとって最も残酷な壁が存在していた。


「……そうか」


大輝は拳を握りしめる。自分はこれほど努力し、結果を出している。剛田も佐々木も自分を認めている。なのに、彼女の瞳には自分が映っていない。


凛が視線を向けているのは、もっと別の何か。


彼女が時折、ふとした瞬間に思い出すのは、キャンプの記憶。


泥臭くも詰みの形を設計して、ありのままを披露した少年の姿。


(甘露寺くん……。いま何してるのかな)


彼女は知っている。自分たちが恵まれた環境で最高効率のパーティーを組んでいることを。

 

自分達が第四階層を歩いている間にも、彼はたった一人で、誰も行かないような場所で、自分だけの答えを探し続けていることを。


250という微々たる魔素量でも、あの時彼が見せた執念と自分の予想を裏切るような戦い方の美学。


大輝たちが「力」を積み上げる一方で、彼は「理」を構築しているような、そんな得体の知れない期待感。


「おい大輝、如月! 湿っぽくなってんじゃねえよ。次、行くぞ!」


剛田の声に、大輝は「ああ、分かってる」と立ち上がった。


華やかなエリートたちが集う第四階層の最前線。


その眩しい光の中に身を置きながら、凛の意識は、暗い地下のどこかで人知れず罠を編んでいるであろう、一人の少年の現在地を探っていた。

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― 新着の感想 ―
主人公サイド以外の話する時サブタイか話の冒頭に○○視点とかあると良いかも
なんで魔素量250なの?202じゃなかった?
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