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ハズレと笑われた『罠』スキルの俺、実は超激レアな最強スキルでした  作者: シマリス


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『キューブ』レベルアップ

新スキル『キューブ』を取得してから数日。


悠太は睡眠時間以外のすべてを魔素の循環に捧げる効率生活を続けていた。その熱心な試行回数が実を結び、ついに『キューブ』のスキルレベルが2へと上昇した。


「設置時間は……うん、45秒」


これまでの1分から15秒の短縮。さらに同時設置数も3つに増え、戦術の柔軟性が増した。

そして何より悠太が注目したのは、新たに追加された特殊効果『クラック低減(小)』だった。


「あの曇りガラスみたいな質感、汚れじゃなくて無数のヒビだったのか」


よく観察してみれば、捕食を開始するキューブの表面には髪の毛よりも細かな亀裂がびっしりと走っていた。それが対象の抵抗によって広がり、粉砕を招いていたのだろう。

この効果によって、これまでの2回に1回という手痛い破壊確率は40%程度まで減少した。

依然として完全ではないが、捕食の成功率が目に見えて上がったことは精神的にも魔素効率的にも大きな前進だった。


(これで少しは安定するな。そろそろ、牙ネズミばかりの第二階層じゃ物足りなくなってきたか)


魔素の最大値も順調に伸びており、悠太はより強い負荷を求めて第三階層への進出を検討し始めていた。そんな中、思わぬ変化が訪れる。


いつも通り、キューブの保険として仕掛けておいた『落とし穴』の底で、一匹の牙ネズミが絶命した。その死体が消えた後、地面に残されていたのは、いつもの魔石だけではなかった。


「んん? 魔石の他にもなんか落ちてるぞ?」


それは一本の鋭い『牙』


これまでの討伐では死体と共に消えていた部位だ。手に取ると、それは単なるネズミの歯というにはあまりに硬質で微かに魔素を帯びて冷たく光っている。


「もしかして、これがドロップアイテム!?」


キャンプの最終日、如月の紹介で会った生産系の瀬戸が言っていた話を思い出す。魔石以外の希少な素材。落とし穴のスキルレベルアップ時に付与された『アイテムドロップ率アップ』の効果が、ついにその真価を発揮したのだ。


「瀬戸さんに見せてみるか」


瀬戸の顔を思い浮かべながら、悠太は牙を丁寧に布で包み、ポーチに収めた。


午前の部を終え、地上へ戻った悠太はそのまま真っ直ぐ自宅へと向かう。この一ヶ月弱、狂ったようにダンジョンに潜り続けた結果、悠太の手元には学生が持つには充分過ぎるほどの現金が貯まっていた。


「ただいま!」


玄関を開けると、居間からはいつものように規則正しい内職の音が聞こえてくる。母は少し顔色が優れないように見えたが、悠太の顔を見ると安心したように微笑んだ。


「お帰り、悠太。今日もお疲れ様」


悠太は無言で歩み寄ると、鞄から封筒を取り出し、テーブルの上に置いた。


「これ、受け取って」


「何?どうしたの?」


「十万円入ってる。今月、ダンジョンで結構稼げたから。母さん、内職は少し減らして、しっかり休みなよ」


母は驚いて絶句し、封筒と息子の顔を交互に見つめた。手持ちの現金の半分に当たる大金だ。悠太にとって、これは単なるお金ではなく、自分が強くなったことで手に入れた家族を守る力の象徴だった。


「悠太……。そんなに無理をして……」


「無理じゃないよ。今の俺にとっては、これが仕事なんだから。母さんは病気を治すことだけ考えてくれればいいよ」


母の肩を軽く叩き、悠太は自分の部屋へと戻った。少しだけ鼻の奥が熱くなったが、それを振り払うように身支度を整える。


(さて。午後は、約束していたところへ行こう)


悠太はポーチの中の『牙』を確かめる。


自分一人の力では、この牙はただの骨の塊でしかないが、繋がった縁を辿れば、それは自分をさらに高めるための一部になるかもしれない。


悠太は期待と少しの緊張を胸に再び家を出た。


目的地はかつて遠い世界の話だと思っていた覚醒者たちが集う『取引』の場所だった。

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― 新着の感想 ―
母親に10万円渡している描写があるけど、生活保護を受けているんじゃなかった? 現実の世界と同じかは分からないけど、最低生活費(自治体で異なる)は、両親子供2人の4人家族だと月25万位。 高校生の勤労…
結構な数倒してると思うけどやっと一個ならドロップ率1%もなさそう
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