第四話 契約
目の前の異形の影を前に手足が震える、そして立て続けに起こる予想外の展開に脳が痛む
あの影はUMAらしい、俺が昨日戦ったドーバーデーモンと同じ奴らって事だよな?それに選ばれたってなんだ?霜葉さんは、何か考えてる様子だ、何か知っているのか?とりあえず最低限の情報だけでも教えてもらわないと。
そう思っていたら、先に霜葉さんが口を開いた
「景虎、地面、よく見てくれる?」
「地面?特に何も……っ!?
動いてる、少し動いている!」
「うん、多少だけどやっぱ動いてるよね、景虎──多分私達はこの後の光景以上のものを多分見れないよ」
「それってどう言う事だ?」
再び地面を見てみる、やはり少し動いている、それになんだこの音は、微かだが聞こえてくる、それになんだ、もう遠くのはずの海の音がいる
ドン!!!!!
かつてないほどの轟音が耳をつんざく、それに伴い脳が揺れ立ち眩む、目が見えない!
なんだ、耳をすましすぎたのが原因か?それになんの音だ?なんでこんなに大きく聞こえる?まさか原理の影響?
まずい…思考の整理ができない、なんだこの音は、まるで重いものを引きずってる時のような音…
「……げ……ら……!」
霜葉さんの声、まずい状況のらしいな、早く見なければ……?
目が見えるようになってきた……これは、海?さっきまで地面を見ていたのに、なぜ…?
「景虎!下じゃない!前を見て!」
その言葉に従い目の前を向く、そこには信じられない光景が映る
「なんだ、これ…」
島が、大陸が移動している…!
「やっぱ始まっちゃうか」
始まる?何が?
そう困惑しているうちに、大地の移動は終わっていた、だがそれと同時に、青い円状の壁みたいなものが、東京あたりを中心に周りに広がっていき、俺たちはそれに飲まれた
そして目を開けると、四角形の薄い青色の空間に気づいたらいた
「ここは、なんだ?霜葉さん、何か知ってるか?」
「わからないなぁ…壁にぶつかると思った次の瞬間にはここにいたからね、だけどまぁ、この状況は理解できる、かな」
状況は理解できる?やはり何か知っているのか…
「教えてくれ霜葉さん、この状況はどうなって…!」
「そんな焦らなくてもいいと思うよ、多分、説明してくれるから」「説明?誰が?」
彼女と、彼女の言葉でより困惑してさらに質問しようとしている景虎の間に突如言葉が響く
〈こんにちは、鈴蔵景虎様、朝露霜葉様、私の名前はリグ、第一ゲームのサポートを致します〉
「ど、どう言う事だ?説明が欲しい!」
〈了解しました、説明を開始します〉
〈このゲームは首都東京およびその周辺の県を含むフィールドにて行われます、フィールド上にいる、または入ってきた人間はこの空間に案内されます。
人間はこのゲームに参加しプレイヤーになるかこの参加を拒否し、この第一ゲームから出るかを選ぶ事ができます
一度参加を選んだ場合、ゲームが終わるまではフィールドから出られません、参加を拒否した場合、この第一ゲームには二度と参加できません。〉
この空間はそのゲームってやつに入る前の控え室みたいなものか、そして引き返せない扉でもあるってことか、参加するかはまだ決めれないな、そのゲームの説明が欲しい
「そのゲームの説明をくれないかな?」
あ、先に言われてしまった、おとなしく聞くか
〈このゲームは、多人数でアイテム、「武の箱」を奪い合う対戦型ゲームです、勝利条件は武の箱の獲得、勝利特典は武の箱です〉
対戦型ゲーム、多分殺し合いか、やる意味がわからないがおそらくその武の箱ってのがなにかしら重要なものなんだろうか
「今回はそう言うタイプのゲームなんだ…じゃあルールとか、やっちゃいけないこととかある?」
〈ゲームの運営を妨害する行為、ゲームを破壊する行為、ゲームのシステムに不正に介入する行為などのゲームが停止する行為以外何を行なっても構いません〉
何を行なっても構いません、か…あくまでも運営側はゲームを停止させる事以外では何もしないってことか
それにしても、何を行なってもか…。
「本当に何を行なっても大丈夫なのか?殺人とか、法律でやっちゃいけないこととかも?」
〈はい、何を行なっても大丈夫です、禁止事項を行った場合以外は、いかなる場合でも罰せられる事はありません〉
そう言い終わった後、リグが何かを振りかけるような動作をしたと思ったらたちまち空間の前と後ろに扉が出てきた
〈説明は終わりです、参加する場合は前の扉に、参加を拒否する場合後ろの扉にお入りください、以上でサポートを終了します〉
「早くないか?まだ聞きたい事があるんだけど」
問いかけてみるが、反応がしない、本当にサポートを終了したのか…説明が足りなすぎる、プレイヤーに厳しすぎるだろ…!
が、今はこの少ない説明で判断しなければ
どうしようか、参加するかしないか…参加を拒否したらどこに返されるのか、このゲームの外の状況はどうなっているのか、聞きたい事はまだあったんだがな…まぁまずは霜葉さんのどう動くか次第か。
そう思っていたところ、彼女が口を開く
「景虎、君はどうするの?参加するかんじ?」
お、俺か、そりゃ他人の意見は欲しいよな、俺もだ。
「悩んでいるけど、結局は霜葉さん次第だな、責任を投げ出すようで申し訳ないが…」
「うーん、まぁそれが正解だと思うよ、外もどうなってるかわからないしね、じゃあその上で答えるけど、私は参加するよ!」
やっぱり参加するか、何か知ってそうだしなぁ…生き抜く術があるのかもしれない、ただ一応理由が聞きたいな、普通に考えるならここは参加を拒否して存在しているかわからないが第二ゲームあたりから装備を整えて参加するというのもあると思うし
「そう答えると思ってたよ、ただ一応理由を聞かせて欲しい」
霜葉さんは「まぁそうか」と言ったような表情で質問に答える
「うーん、一番の理由はさっきリグが説明してた〈参加を拒否した場合、このゲームには二度と参加できません〉ってのが理由かな
一応ボスに聞いた話ではこのゲームは全部で第六ゲームまであるんだけど、このリグってのがゲームを第一ゲームだけと考えてるのか第六ゲームまでの全てののゲーム含めて考えてるのかわからないんだよね、聞こうとしても反応しないし、
それで何がダメなのかって言うと私の入ってるところは前から次のゲームには参加するって話だったんだよね、だからここで参加しないで帰るよりかは参加して、フィールドの中で同じく参加してるであろうボス達と合流した方がいいかなって理由、どう?一緒に来る?」
なるほどな、そうやって考えてみるとやっぱリグ説明不足すぎるだろ…!
ここで参加を拒否しても帰るとこないからそのボスがいる組織しか当てがないんだよな、多分中は危険だろうけど危険を犯すべき理由はある!参加しようか
「俺も参加する、あいつらUMAの事も、そのボスにあえばわかるんだろ?なら参加する以外の手はない!
霜葉さんは一瞬覚悟を問うような厳しい顔をしたが、それに俺が頷くとそれを見て厳しい顔を解いてすこし笑った
「じゃあよろしく景虎!ボスと合流して一緒に勝つぞ!」
人生の決定的な瞬間こそ気分を上げるべきだ、例えどんな状況であろうと!
「よし、やってやるぞ!よろしく!」
目標は定まった、あとは一歩を踏み出すだけだ!
俺たちが前の扉に入ろうとした瞬間、それまで沈黙を貫いていたヤギが喋り出す
「お前ら、止まれ」
「どうした?まさかゲームに参加したくないのか?その場合お前一人だけ後ろの扉から出ればいい」
「違う、儂はお前らのために言っておるんじゃぞ」
「どう言う事?説明してよ」
食い気味だな…だが気持ちはわかる、急になんなんだ
「お前ら、その扉を通ったらどこに着くかわかってるのか?」
「それはわからないけど、さっき参加する場合は前の扉に行けってリグが説明してたよ」
「参加はできるだろうが、その先どこに着くかは説明されとらんじゃろ?」
「それはそうだけど…」
「例えば攻撃してくるやつに囲まれた場所とか空中とか海の中に着くかもしれんぞ、それに着く場所が二人とも違うかもしれん、もしそうなったら戦闘ができないこの景虎は危険になるな?」
「もしそうだとして、それを俺たちに話す意味はなんだ?お前は霜葉さんの敵なんだろ?」
「じゃから助けてやると言っておるじゃろ、儂のこの悪魔の能力なら場所を指定した上で二人ともまとめてフィールドに転送する事ができる」
にわかには信じられない、もしかしたらこのヤギに宿っている悪魔が俺たちを罠に嵌めようとしているのかもしれない…どうすべきだ?
「なんで君の能力ならそんな事ができるのかな?もしそれができるとして私達を助ける意味は?」
「知らん、じゃがこの体に宿る悪魔が言っておる、『確実にできる』と
儂は一匹で参加しても参加を拒否しても未来はないんじゃ、やつらUMAは儂の体にいる悪魔の仲間なんじゃろ?じゃからお前らを助けるからお前らは儂を助けろ
これは悪魔の契約じゃ、乗るか乗らんかはお前らが決めろ」




