第83掌 デート・・・してたはずだよね?
リリアスとのデートその二です。
学園の施設を見学する俺達。
まあ、いつもの隠蔽と隠密行動のスキルで誰にも気づかれることはない。逆に生徒たちは自分たちが俺に見られているかもしれないというプレッシャーに震えていたようだが。
「リリアス、どうだ?」
「すごい楽しいです!」
「それは良かった」
今は魔法戦闘の授業を端でこっそり見学中だ。生徒同士の戦闘であるからか、全然ダメだ。俺どころか、リリアスにも完敗するだろう。まあ、魔法限定だったらリリアスの召喚魔法で召喚できるのは現在、グラスプのメンバーだけだ。つまり、自分より同等か強い相手しか出てこない。召喚魔法、最強じゃないか!(遠回しに自分を最強と言っているタカキ君)
「リリアスは召喚魔法以外にも何か覚えたいか?」
「・・・はい。今は弓とかこの世界の知識でしか役に立っていませんから。やれることは多いにこしたことはありませんし」
「そうか。俺は使い方とかなら教えることは出来るけど、覚えさせるのは分からないからな」
「メインは召喚魔法でもいいんですけど、せめてもう一つくらいは覚えておきたいです」
「じゃあ、通ってみるか?」
「え?」
「ここに通ってみるか?」
「い、いいんですか⁉」
「ああ。リリアスならしっかりしているだろうし、いざという時には召喚魔法で俺とか他のみんなを召喚出来るからな」
「はい!ありがとうございます!」
「話はハフナーさんにでも頼んでおくよ。でも、召喚魔法のレベルを上げてからだ。それがここに通うための条件だ」
「分かりました!」
「最低でもレベル7くらいまでは上げてなくちゃいけないぞ」
「はい!目指せレベル10です!」
「おう!その意気だ」
見る場所も見たし、そろそろ別の場所に行くか。
「一旦学園長に挨拶してから出るか」
「はい!」
言葉通り、学園長に挨拶してから学園を後にした。挨拶しに来た時に隠蔽と隠密行動で完全に気配を遮断していたから現れたときにビビってたな。
余談だが、学園長は俺達が帰ったことを言わないことにしたらしく、その日一日は生徒も教師も震えて過ごしたらしい。
そんなこととはいざ知らず、俺達は昼食を取っていた。場所は結構高そうなお店だ。まあ、値段が高くて雰囲気がいいだけで、貴族御用達とか、ドレスコードがあるわけではないので気楽ではある。
「すごいおいしいですね」
「ああ。特にこのベトネアスって料理は最高だな!」
「それ、ベトネスのお肉を使った料理ですね。かなりおいしいけど高いって評判の料理です」
「ベトネス?」
「モンスターですよ。ハウリングモンキーの仲間ですね」
「・・・・え?」
俺、サルを食べたの?・・・マジで?
「まあ、食用としても有名ですから気にしないでください」
「・・・うん」
テンションダダ落ちの俺。そのまま昼食を終わらせる。
「次はどこに行く?」
「そうですね。せっかくだから依頼を受けませんか?二人で」
「二人か」
「はい。なんだかんだで最初の依頼以外はタカキさん一人かみんなで受けてましたから」
「確かにな。それに最初の依頼もちょっとおかしかったし」
緊急依頼の原因みたいなものだったし。
「だから簡単な依頼を受けませんか?」
「おう。そういうことなら早速行こう!」
そんなわけでギルドへと向かった俺達。
「こんなのいいんじゃないか?」
ギルドに入ってG級の依頼とかを物色する俺達。そんな俺達を顔を引きつらせながら見つめる受付嬢。
「どうしたんだ?そんなにジト目をして」
「いえ、A級のタカキさんやE級になったリリアスさんがG級の依頼を物色していたらどういうことだと混乱しますよ」
「そうか?」
「タカキさんはS級以上の力を持っているでしょうし、リリアスさんもC級以上の実力を持っているでしょう。そんな二人ならもっと高い階級の依頼を受けてもらいたいと思うのは受付嬢として当たり前の感情です」
「それはすまん。まあ、今回は気まぐれだと思って気にしないでくれ」
「はぁ。分かりました」
「それじゃあ、これを受けるから受注頼む」
「はい。・・・・・・・出来ました。それではG級依頼、王都周辺にあるクシュルナ草の収集をお願いします」
「おう」
「はい」
まさにこの依頼は最初の依頼のやり直しだ。結構楽しみだな。
「早速行ってくるぜ!行こう、リリアス!」
「はい!」
と出発してから一時間。ギルドに帰って来た俺達は報告をしていた。
「あの・・・」
「おう」
「どうしてこんなことに?」
「いや、すまないとは思っているよ?」
「いや、そんなことはどうでもいいんです。でも、なんでクシュルナ草を取りに行ってウインキャットを連れてくるんですか!」
そう。俺の方には現在、ウインキャットという猫が乗っかっている。
「にゃー」
「しかも、メチャクチャ懐いているじゃないですか!何したんですか!」
「いや、怪我していたから水魔法で綺麗にしてから植物魔法で応急処置してやったんだが」
「この猫は!災厄と言われる猫なんです!この猫がいたからという理由で滅んだ国すらあるんですよ!」
え?何それ怖ーい。
鑑定してみるか。
ウインキャット メス
種族 ウインキャット
レベル 32
HP:320/320
MP:320/320
STR:320
DEF:320
INT:320
AGI:320
MND:320
固有:もう一人の自分
スキル:疾駆 レベル3
衝撃吸収 レベル2
夜目 レベル2
魔法:風魔法 レベル2
闇魔法 レベル2
この猫、固有スキル持ってんだけど。何これ?っていうか、ステータス高!スキル多っ!
説明を見てみるか。何々?
対象をもう一人増やす能力か。しかも、その増やしたもう一人が自分の本性を曝け出しているというおまけ付きか。なるほどね。それで国が滅んでしまったってわけか。
「まあ、これくらいなら大丈夫だ」
「そんなことを言えるのはタカキさんぐらいですよ」
リリアスが呆れ顔で言う。おいおい。やめてくれよ。
「まあ、ここまで懐いたら勝手についてくるでしょうし、飼うしかないでしょうね」
「そうか」
ちなみに名前がない場合は種族が名前になるらしい。だが、この世界で人間の赤ちゃんが生まれた場合、最初に鑑定すると名前がある。これは生まれる前に赤ちゃんの名前を付けているからであり、名前を付けていない場合、名前がヒューマンになっている。生まれたばかりの赤ちゃんを鑑定しようとなんてしないだろうしな。
「にゃー?」
「おう。出来るだけ固有スキルは使わないでくれよ?」
「にゃー!」
分かった!みたいな返事をするウインキャット。頭も良さそうだ。こちらの言葉も理解していそうだし、これは安心できるな。
「名前を決めないとな」
「どんなのがいいですかね?」
「リアとかどうだ?」
「リアですか?」
「ああ。リリアスのリとアメリアのアだ。グラスプの女性陣の名前から取ってみた。この猫もメスみたいだしな」
「可愛いですね!そうしましょう」
「よし。それじゃあこれからよろしくな、リア」
「にゃ~!」
ちょっと早いが、拠点へと帰ることにした。結局依頼で外に出たらこんな拾い物をしたしな。残りの時間はリリアスと一緒にリアを可愛がるとしよう。
そんなわけでリリアスとのデートはペットが出来て終わった。
その後・・・というかなんというか。
拠点でリリアスと二人でリアを可愛がっているとダンガとアメリアが帰って来た。拠点を出たときにはいなかった猫がいるからかなり面を喰らっていたが、まあ、可愛いからいいかとなり、見事にグラスプの一員となったのだった。
そんなわけでマスコット、ウインキャットのリアがグラスプに加入したのだった。
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デートだったはずなのに気づけばペットが増えている。
あれ?何がどうしてこうなったんだろう?




